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知っておきたい年金のはなし    第246号 2010年6月14日発行

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昨日、住民税と国民健康保険料のお知らせが私のところにも届きました。
国保は、扶養家族があっても、保険料等を支払っていても、何の控除もないので、いやになるくらい高いです。
見たくもないのですぐにしまいましたが、口座からは落ちていきます。

国民年金の保険料も、高いと感じる人が多いでしょう。
払えない、免除を受けたいと思っても、手続きに行ったら過去の未納分が請求されるかもしれない・・・
そうなると、とても払えない。
それがこわくて、免除の問い合わせにも行けないという人がおられます。

いい加減に考えて保険料を払っていない人、絶対に払うものかと思っている人もいます。しかし、払っていないことを真剣に悩んで、かといって窓口では相談もできない・・・
そんな人たちがいることも、知ってほしいと思います。

私は個人で相談を受けていますので、「役所には聞けないけれど教えてほしい」というご相談も多いのです。

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第246号 2回目の定期便
★★★  50歳の困惑 ★★★
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克子さんは5月で50歳になりました。
27歳で結婚するまでは家業を手伝い、自営業の夫と結婚しましたが、結婚後1年もたつと、夫の仕事がうまくいかず、お金に困るようになりました。

ちょうど妊娠していた克子さんは実家の援助を受けて出産していましたが、その後の生活は苦しく、とても国民年金の保険料を払える状態ではありません。

それからも夫は借金を重ね、結局、離婚となりました。
克子さんは、娘を育てるために働きましたが、厚生年金のある会社に勤めたのは数年で、それ以外、年金の保険料を払ったことがありませんでした。

昨年、49歳で届いたねんきん定期便には、年金額が書いてありましたが、わずかなものでした。
そして、今年50歳になって受け取った定期便には、年金額が書いてありませんでした。
金額を書くべきところに、数字はありませんでした。

克子さんはびっくりしました。
昨年まで書いてあった年金額は、もらえなくなってしまったのでしょうか・・・

●50歳で変わる定期便

50歳未満の人と50歳以上の人の定期便にある年金見込額は、内容が違っています。

●50歳未満の人

50歳未満の人の定期便に記載されている年金見込額は、定期便作成時点での実績にもとづくものです。
将来年金を受け取る権利があるか、ないかにかかわらず、実績ではどのくらいになるかということです。

●50歳以上の人

50歳以上の人の年金見込額は、60歳まで現在の年金制度に加入した場合の見込み額です。

●49歳のとき

克子さんが受け取った定期便は、これまでの実績に基づくものでした。
数年でも加入期間があれば、年金を受け取る権利が発生するかしないかなどの条件は抜きにして、年金額が計算されています。
克子さんには、厚生年金が2年ほど、国民年金の全額免除が4年ありましたので、それに基づく見込額でした。

●50歳になったら

受給権の確認できない人、つまり、原則25年の期間が確認にできない人については、見込額は示されていません。「*****」というマークになっていて、金額の記載がありません。
今の時点で、受け取る資格のない人には、見込額も表示されないことになっています。

●年金がなくなってしまったわけではない

克子さんのこれまでの年金が消えてしまったわけではありません。
しかし、このままでは1円ももらえないということなのです。

●不足期間

20歳以降国民年金に加入せず、結婚した夫が自営業であれば、サラリーマンの妻としてのカラ期間も取れません。
その後、未納が続き、年齢がすすんでいけば、25年の準備期間は満たせません。

●あと19年

克子さんは現在50歳です。
厚生年金のある会社にお勤めしなければ、今から19年、国民年金に加入して、69歳でやっと年金を受け取ることができます。
60歳になるまでは免除も受けられますが、60歳以降は任意加入なので、自分で保険料を払っていかねばなりません。

●お勤めすれば

厚生年金加入しても、克子さんの年齢では、厚生年金加入20年で年金がもられえるという特例にも該当しません。だから、厚生年金期間であっても、あと19年必要です。

●年金をもらえないのなら、保険料を払わないほうがいい?

国民年金は強制加入ですので、「加入しない、払わない」という選択もできません。
滞納のままにしておくと、督促はくるし、強制執行ということにもなりかねません。

●今となっては遅いけれど

克子さんは、ほんとに苦しい生活をしてきました。
今から考えると免除申請をしておけば、免除に該当したでしょう。
それをしなかったことが、無年金につながっていきます。

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今から保険料を払っても、期間が不足してもらえないというご相談があります。
そんなとき、もし、免除を受けられるのなら、免除を申請してくださいとお話します。
なぜなら、老後の年金はもらえなくとも、障害年金に該当することもあるからです。
障害年金は、今のところ、初診日の直近1年間に未納がなければ該当することになっています。
すべてをなくすまえに、障害年金や遺族年金を考えて、手当をしておきましょう。
ただし、いずれにしても、過去の未納分は請求がきます。
納付については、担当窓口と相談してください。

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■□■ お知らせ ■□■
●高齢者雇用のための月刊誌 エルダー6月号
高齢者雇用事業所の職場紹介等最新の雇用好事例や助成金制度を中心に、身近な高齢者雇用問題を取り上げた事業主向けの啓発誌です。
(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 発行 定価480円)
6月号に、年金記事を執筆しました。「60歳以降の働き方と年金」
ただ今、WEB上でご覧いただけます。
http://www.jeed.or.jp/data/elderly/elderly01.html#01