★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第248号 2010年8月2日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 猛暑が続いています。 あまりの暑さで、バイクに乗るのも控えています。 あとは、体調管理で乗り切るしかありません。 自営業は自分の都合で休めないというのが、つらいところですね。 先日、ファイナンシャルプランナーをめざす人たちに公的年金の授業をしたのですが、受講生から、こんな声が・・・ 「今日は年金の夢をみて、うなされそうだ!」 わかりますね。 初めて勉強する人にとっては、ほんとに複雑です。 100%年金制度をわかっている人なんて、いないでしょう。 そんな制度にしてしまったことが問題だと思います。 法改正だけではなく、通知等で取扱いが変わります。 今年の9月から、60歳〜64歳の人で、定年後、継続雇用される人の標準報酬月額の取扱いが変更されます。 年金を受給する人にとっては有利な変更です。 …………………………………………………………………………………………… 第248号 継続再雇用の中断みなし取扱 ★★★ いつから年金額が変わる? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 鉄平さんは、9月15日に60歳の誕生日をむかえます。 会社の定年は、誕生日の属する月の月末となっていますので、鉄平さんの定年退職日は9月30日です。 鉄平さんは、10月からは別の部署で嘱託職員として仕事を続けることになっていました。 現在、担当している仕事は8月末に納期を迎えることになっていました。ちょうどよかったのです。 ところが、その後、事情が変わり、現在の仕事は12月ごろまで、延長することになりました。 これまで鉄平さんが責任者としてやってきたので、ここで降りるわけにはいきません。 会社と相談した鉄平さんは、12月末まで現在の役職と給料のまま今の部署で仕事を続け、来年の1月1日より、嘱託職員として、別の部署へ移ることになりました。 鉄平さんはそれで何の問題もないのですが、ふと、年金のことが気になりました。 以前に年金事務所で確認したところ、定年後は嘱託職員として給料が下がるので、全額ではないけれど、10月分から年金を受け取れるということでした。 ところが来年の1月から嘱託職員となるとするとどうなるのでしょうか。 当然、12月分までは給料が多いので受け取れないと理解できますが、1月分の年金はどうなるのでしょうか。 ●標準報酬月額 標準報酬月額とは、年金上の給与とでも言えばわかりやすいでしょうか。 実際の給料を等級表に当てはめて、年金上の給料(標準報酬月額)を決定し、その標準報酬月額等で年金額を計算します。 ●在職老齢年金 60歳以降厚生年金に加入しながら働き続ける場合、60歳以降の標準報酬月額によって、実際に受け取れる年金額が変わります。 標準報酬月額が高ければ、年金をもらえない可能性が高く、低ければ、もらえる可能性も増します。 (このほかにボーナスも年金額に影響しますが、ここでは説明を省きます。) ●月額変更 標準報酬月額は年に一度見直しをします。4月から6月に支給された給与の平均でその年の9月からの標準報酬月額を決定します。(定時決定) しかし、2等級以上変更が生じる場合は、そのつど、改定します。(随時改定) そのつどの改定は、固定的な賃金が変動し、3ヵ月に支払われた給料の平均をみて、これまでの等級に比べて2等級以上の差が出る場合です。 ●定年後の継続雇用 60歳以降、再雇用された場合、給料が大幅に下がるケースが多いです。 通常の見直しであれば、3ヵ月経過しないと、標準報酬月額を下げられないことになります。(実際に変更なるのは、4ヵ月目です) そうなると、給料が下がっているのに、保険料は高いまま、おまけに、在職老齢年金の計算でも不利益を受けます。 ●同日得喪とは そこで、定年に限っては、定年時にいったん健康保険・厚生年金の資格を喪失して、同じ日にまた加入するということができるようになっています。 鉄平さんの場合、9月末が定年退職日です。 10月1日に喪失届を出し、今度は、下がった標準報酬月額で加入の届け出を出します。 そうすると、10月分の標準報酬月額が下がり、保険料の負担も軽く、また、在職老齢年金でも有利になります。 ●定年に限る? このような手続きができるのは、定年に限られていました。 定年であることを証明するために、就業規則を持っていき、手続きをしていました。定年以外では認められませんでした。 鉄平さんのように、本来の定年以外で契約を変更するという場合は、対象外でした。 ●9月1日から変わること 定年以外であっても、このような同日得喪ができるようになります。 60歳から64歳までの年金を受け取る権利のある人が退職後継続雇用されるすべてのケースについて拡大されました。 (60歳未満の人は対象外ですから、お間違いなく。) ●鉄平さんの場合 鉄平さんの場合、従来の取扱では、1月から標準報酬月額が下がったとしても、3ヵ月待って標準報酬月額を変更するということでした。 しかし、改正により、1月分から標準報酬月額を下げることができます。 大幅に下がれば、それまで支給停止となっていた年金も支給されるようになります。 3か月待たずにすむので、有利になるということです。 …………………………………………………………………………………………… 60歳以降、あらたな雇用契約を結び、給料が下がっても、それが定年年齢どおりでなければ、すぐに標準報酬月額を下げられませんでした。 結局、保険料や受け取る年金で不利益になっていました。 定年が65歳まで延長されている中で、65歳の定年を待たずして、61歳、62歳などで嘱託職員に契約を変更するということもあります。 そうした場合も対象となっていませんでした。 それが3ヵ月待たずに標準報酬月額を下げることができるようになるので、年金受給者にとっては有利になります。 ※お断り このメルマガでは、話を複雑化しないため、省略して書いていますので、ご了解ください。 詳細は、「嘱託として再雇用された者に被保険者資格の取扱いについて(通知)の一部改正について(通知)」を確認してください。 日本年金機構から案内が出ています。↓ http://www.office-pal.jp/news/taishokujidoujitutokusou100701.pdf …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●アサヒSR年金研究会からのお知らせ 9月26日(日)13:00〜16:30 福岡市中央区 中央市民センター 今回のテーマは「年金事務所での相談窓口業務(老齢編)の手順」です。 4〜5回のシリーズで予定しています。 年金相談を仕事としたいと考えておられる方はぜひ、ご参加ください。 (仕事のあっせんではありません) 会員外のオープン参加も受け付けています。 お問い合わせは アサヒSR年金研究会 → info@asahi-sr.com |