★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第249号 2010年8月11日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 次々に事件が起こるものです。 行方不明になっている高齢者の問題がクローズアップされました。 「区内の最高齢者が実は30年も前に死亡していた」という事件が発端となりましたが、年金受給者の中には、おどろくべき長寿者がいるなどのうわさは、以前からありました。 年金詐欺が疑われています。 年金詐欺が目的で死亡届を出さなかったというような事件も、今後、表面化するでしょう。 不正は許せませんが、親の年金で一家が暮らし、親が亡くなったらどうしたらよいのかという相談を受けたこともあります。 複雑な問題です。 これからお話する夏子さんのようなケースもそうです。 …………………………………………………………………………………………… 第249号 行方不明になっている高齢者問題 ★★★ 誰が年金をたよりに生きている? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 45歳の夏子さんは、75歳のお母さんと15歳の娘の3人で暮らしています。 5年前に離婚、ひとり娘をひきとって、実家へ帰ってきました。 夏子さんはパートで働いていますが、身体が弱く、思うように仕事もありません。 パートの収入だけでは暮らしていけず、児童扶養手当とお母さんの年金がたよりです。 お父さんはずっと前に亡くなりました。 お父さんは自営業でした。 お母さんに遺族年金はありませんが、お母さんは自分自身の退職共済年金を受給しています。 定年まで学校の先生をしていたお母さんの年金は、たよりになる年金です。 夏子さんには心配なことがあります。 実はお母さんも病気がちです。 もし、お母さんが亡くなれば、年金という収入は途絶えます。 そのあと、生活していけるのかどうか・・・ 夏子さんは、これからの生活が不安でなりません。 ●年金の受取りは生存が条件 あたりまえのことですが、年金は、年金を受け取る本人(受給権者)が生存していないともらえません。 夏子さんがどんなに困っても、おかあさんの年金(退職共済年金)は、おかあさんが生きている間だけです。 ●生きていることの確認 そこで、生きていることの確認が重要となります。 毎年1回、誕生月に生存の確認をします。 「現況届」で確認をします。 生存の確認が取れなければ、年金はストップされます。 ●確認の方法 誕生月に送られてくるハガキを返送することにより、生存の確認をします。 本人が病気などで現況届に署名できない場合は、家族が確認するようになっています ●住基ネットで 現在は、住基ネットの利用で、毎年の現況届の提出を省略しています。 年金の手続き時に、住民票コードを記載しておくと、現況届が省略できるようになっています。 ただし、住基ネットに参加していない自治体に住んでいる場合は、従来どおり、ハガキを返送するという方法です。 ●本人確認は不十分 生存の確認をするといっても、書類上です。 面談などの確認はありません。 本人以外の人がなりすまして「現況届」に署名をしても、筆跡鑑定でもしない限りわからないでしょう。 ●死亡届が出されていないと 今回の事件のように、すでに死亡している場合であっても、死亡届が出されず、毎年の確認がされていれば、年金は支給されることになります。 本人が30年前に死亡していたという事件でも、戸籍上も住民票上も問題なかったのですから。 ●死亡月の年金 年金の支給は死亡月までです。 8月11日に死亡した場合は、8月分までの年金が支給されます。 しかし、8月分の年金を支給するときには、本人は受け取れないので、遺族に「未支給の年金」として支給されます。 ●もらいすぎていた場合 振込みのタイミングで、死亡後に、死亡した人に年金が振り込まれてしまうこともあるでしょう。 しかし、それは返還しなければなりません。 死亡届を出すのが遅れたからといって、年金で得をするようなことがないようになっています。 ●その他の意点 住基ネットの利用で現況届が不要になっても、厚生年金基金を受給する人は、毎年の確認(現況届)が必要です。 また、加給年金の対象となっている場合は、毎年の確認が必要です。 …………………………………………………………………………………………… 夏子さんのお母さんは、共済年金を受給しています。 その年金は、お母さんばかりではなく、夏子さん親子の生活も支えているのです。 年金がなくなってしまったらと思うと、病弱な夏子さんにとっては不安です。 しかし、こればかりはどうしようもありません。 死亡すれば、そこで本人の年金は終わりです。 しかし、夏子さんのお母さんが亡くなった場合、孫が遺族年金を受給することも考えられます。 孫の場合、年金が支給されるのは、18歳の年度末までです。 必ずもらえるとは言えませんが、万が一のときには、受給できるかどうか、確認してください。 どんなに困っていても年金を受給することができない人もいます。 無年金は本人の責任といっても、そうとばかりは言えないこともあります。 だからこそ、不正なことをして、年金を受け取ることは許せません。 不正受給には、もっときびしい処置が必要ではないかと思います。 行方不明の高齢者問題では、複雑な気持ちになりました。 不安なく生きていける社会保障制度がのぞまれます。 再度、付け加えておきます。 住基ネットによって、現況届は必要なくなったと思っていた方もあったかもしれません。 しかし、企業年金受給者など、現況届が必要なケースもあることも理解しておいてくださいね。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●アサヒSR年金研究会からのお知らせ 9月26日(日)13:00〜16:30 福岡市中央区 中央市民センター 今回のテーマは「年金事務所での相談窓口業務(老齢編)の手順」です。 4〜5回のシリーズで予定しています。 年金相談を仕事としたいと考えておられる方はぜひ、ご参加ください。 (仕事のあっせんではありません) 会員外のオープン参加も受け付けています。 お問い合わせは アサヒSR年金研究会 → info@asahi-sr.com |