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知っておきたい年金のはなし    第250号 2010年8月23日発行

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残暑お見舞い申し上げます。
残暑と言うより、まだまだ、「暑中お見舞い」と言いたいくらいですね。

平成21年度の国民年金保険料納付率は60.0%と公表されました。
昨年より2.1ポイント低下し、過去最低となりました。
国民年金保険料納付率には、免除や特例は除外されています。

それだけ、生活が苦しいのか、年金制度への不信があるのか、
免除制度が知られていないのか・・・

苦しいときだからこそ、年金の手続きはきちんとしておきたいものです。
いつか、「助かった!」と思うときがあるかもしれません。

さて、今日は、70歳以降働き続ける場合のお話です。

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第250号 在職老齢年金
★★★ 70歳以降も働くと? ★★★
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良夫さんは、今月71歳になります。
現在も、会社勤めです。給料もそれなりにもらっています。
会社の定年は60歳で、継続雇用は65歳までですが、65歳以上の高齢者も数人働いています。
最高齢は80歳。
そんな職場です。

良夫さんも、まだ働くつもりです。
ただ、在職老齢年金のしくみで年金の一部がカットされています。
この金額が時々変わるので、よくわかりません。
ボーナスの支給額によって変わっているようです。
いったい70歳以降はどんなしくみになっているのでしょうか。

●厚生年金保険料

70歳以降は、厚生年金保険料の徴収はありません。
70歳で厚生年金保険の被保険者ではなくなるということです。

●8月21日が70歳の誕生日の人は?

誕生日の前日、8月20日が厚生年金の資格喪失日です。
ですから、8月分の保険料負担はありません。

●会社は手続きをするの? それとも自動的に?

会社は「70歳になったので資格を喪失する」という届出を出さなくてはなりません。
年金事務所から会社に対象者を記載した「厚生年金被保険者喪失届」が送られてきます。
それに印鑑を押して返送します。
(全国すべての年金事務所がこのような対応をしているかどうかはわかりませんので、ご注意ください。)

●提出しなかったらどうなるの?

喪失届を提出しないと、70歳をすぎて対象者でなくなっても、会社は保険料を引かれ続けます。
あとで提出すれば、さかのぼって返還されますが・・・

●70歳以上だとわかっているのに?

そうです。わかっているのに自働的にはストップしません。

●年金は全部もらえるの?

70歳以降、厚生年金に加入しなくなりますが、在職老齢年金のしくみはずっと続きます。
会社をやめるまで、年金の調整があるのです。
給料が多ければ、いつまでたっても老齢厚生年金を受け取れない場合もあります。

●厚生年金に加入していないのに、給料はどうしてわかるの?

在職中の人は、毎年「算定基礎届」といって、その年の9月からの保険料について必要な手続きをします。
また、給料が大幅に変更になったときは、4ヵ月目に届出することになっています。
そのような届出を70歳以上の人についても行います。

●75歳以上の人

75歳になると、健康保険から脱退し、後期高齢者医療制度に加入します。
ですから、会社の給料からはまったく社会保険料は引かれません。
こうなると、ますます忘れられがちですが、在職している限り、70歳未満の人と同様の届出を出し続けます。

●退職時には

70歳以上の人が退職するときには、「70歳以上被用者非該当届」を出します。
これは、健康保険の資格喪失とは別に出します。
健康保険の資格喪失届だけを出していると、年金上、在職のまま、残っていきます。
そうなると、在職老齢年金で不利益を受けることもあります。

●死亡後も在職者?

本人が亡くなって、日本年金機構に死亡届を出しても、「非該当届」が出ていないと、在職者として残ってしまうというようなことが起こります。

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日本年金機構のシステムは、もう少し、現実的なものにならないのでしょうか。
70歳以上の人が健康保険の資格喪失届を出したら、同時に年金も非該当にするとか、1枚の届け出で兼ねられないのでしょうか。
健康保険と年金は違いますなんて、言っていないで・・・

最近、70歳以上の人の月額変更届が出ていないと、ある事業所に年金事務所から連絡がありました。
健康保険の月額変更だけを出して、70歳以上の書類を忘れていたのです。
もともと在職老齢年金に影響するような給料ではありませんので、何ら影響はなかったのですが。

驚いたことに、それは、2年前の手続きでした。
2年間、忘れていたのではなく、やっと2年前の手続きを確認するところまで追い付いたということでした。

手続きを合理化すれば、こんな無駄な作業はなくなると思います。

良夫さんのように70歳をすぎても元気で働こう高齢者は今後増えてくるでしょう。
年金でいろいろとトラブルにならないようなシステムを考えてほしいものです。

また、70歳から平均余命まで年金をもらうとしても、10数年です。
ここまで、在職老齢年金でカットしなくてもよさそうに思いますが、どうでしょうか。

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■□■ お知らせ ■□■
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9月25日(土)福岡(担当講師:菅野美和子) 
年金を事例で学びます。
基礎から、重点ポイントまでをわかりやすく、お話します。
http://www2.fplabo.co.jp/school/school922_nenkinseido3_apply.html

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9月26日(日)13:00〜16:30 
福岡市中央区 中央市民センター 今回のテーマは「年金事務所での相談窓口業務(老齢編)の手順」です。
4〜5回のシリーズで予定しています。
年金相談を仕事としたいと考えておられる方はぜひ、ご参加ください。
(仕事のあっせんではありません)
会員外のオープン参加も受け付けています。
お問い合わせは アサヒSR年金研究会 → info@asahi-sr.com