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知っておきたい年金のはなし    第252号 2010年9月13日発行

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年金受給している行方不明者は推計で800人(85歳以上)
厚生労働省は、8月27日に発表しています。

85歳以上で、現況届(毎年の確認)を出しているけれど、健在確認ができない人が、サンプル調査の結果、推定で800人ということなのです。

不正受給というケースがたくさん出てくるでしょう。
年金をもらえず、苦労している人にとっては、たまらないことです。

年金記録問題と根本は同じ。
管理体制の甘さでしょう。

さて、今日は、傷病手当金、障害年金についてのお話です。

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第252号 傷病手当金と障害年金
★★★ 病気のときの生活保障は ★★★
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正雄さんは大学を卒業してからずっと同じ会社で働き続けてきましたが、57歳のとき、会社が倒産。その後、就職先をみつけるのは大変でした。

やっと再就職先がみつかり、がんばって仕事をしていました。
ところが、体調が悪くなり、受診したところ、病気にかかっていることがわかりました。

再就職して5ヵ月目、正雄さんは、入院のために休職です。
入社して半年に満たないので、有給休暇もありません。

正雄さんは2ヵ月ほど、入院して、それからは在宅で治療を受ける予定です。
入院はもっと長くなるかもしれません。
職場復帰は当分むずかしそうです。

再就職まで、失業期間があったため、貯蓄は減りました。
この先、病気治療が長引けば、経済的に心配です。
このまま病気がひどくなれば、働けないかもしれません。
障害年金はもらえるのでしょうか。

失業期間中、国民年金の保険料は納付していません。
免除の申請にいったのですが、妻が働いているため、収入があるという理由で、全額免除は無理でした。半額免除となりましたが、その半額でさえ、納付できませんでした。

今後の正雄さんの保障はどのようになるのでしょうか。
正雄さんは心配でしかたありません。

●傷病手当金

まず、求職中は傷病手当金を申請しましょう。
病気休職中で、働けない、給料もないといった場合に、健康保険の傷病手当金が申請できます。
金額は、給料の3分の2程度と考えてください。
(傷病手当金1日分は標準報酬日額の3分の2)

●いつまでもらえるの?

傷病手当金が支給された初日から1年6か月までです。
9月1日から会社を休んだとします。最初の3日間は対象外です。9月4日から支給を受け、再来年の3月3日までが支給対象期間となります。

●いつまで休職できるのか

正雄さんはまだ入社して6月にもなりません。
正雄さんの会社では、勤続3年未満の場合、休職期間は3ヵ月となっています。
休職期間が過ぎても職場復帰できなければ、退職となります。
特別な配慮をしてもらえば別ですが。
(休職期間については、企業ごとに就業規則等で定めます)

●退職したらどうなるの?

傷病手当金を受けている人が退職したらどうなるでしょう。
引き続き、給付を受けられる場合と、受けられない場合があります。
健康保険の被保険者期間が継続して1年ないと、退職後の傷病手当金を受けられません。

●では正雄さんはもらえないの?

3ヵ月休職して会社に在籍したとしても、1年を満たしません。
1年未満で退職すれば、退職後、傷病手当金はもらえません。

●1年6か月経過後は

仮に1年以上勤めれば退職後も傷病手当金を受け取れます。
しかし、1年6か月経過した時点で、傷病手当金はなくなります。

●障害年金

そこで考えられるのは、障害年金です。
障害年金の障害認定日は、原則、初診日から1年6か月です。
正雄さんの病気にもよりますが、病状によっては、障害年金の申請を検討しましょう。

●保険料を納めていなくても大丈夫?

失業期間中、正雄さんは国民年金の保険料を滞納していました。
しかし、22歳から57歳までサラリーマンとして働いてきた正雄さんは、35年間厚生年金に加入してきました。
障害年金については、保険料納付要件を満たしています。
正雄さんの場合は、滞納のために、障害年金がもらえないということはありません。
障害の状態に該当するかどうかですね。

●初診日はどこ?

再就職して、厚生年金加入期間中に病院へ行っているので、障害等級に該当すれば、障害厚生年金がもらえます。
ただ、以前に同じような病気で、病院にかかったことはないでしょうか。
もし、失業期間に、同じ病気で治療を受けていたのであれば、そこが初診日となり、障害基礎年金だけになってしまいます。
障害基礎年金だけか、障害厚生年金ももらえるのか、初診日しだいということですね。

●どうして免除にならなかったの?

国民年金の保険料免除には、失業者の特例があり、本人の前年所得はゼロとして考えます。
しかし、本人と配偶者の所得で判断するのです。
配偶者の所得は別です。
妻に一定の所得があれば、全額免除にならないこともあります。
正雄さんは、妻の所得のために、全額免除にはならなかったのです。
半額免除の手続きをしても、その半額を納付しなかった場合は、未納期間となります。

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正雄さんは、途方に暮れています。
病気がよくなれば問題ないのですが、そのまま退職となってしまえば、仮に障害年金を受給するほどの状態になったとしても、実際に障害年金を請求できるのはずっとあとです。
それまでどうして生活してよいのやら・・・

幸いなことに、正雄さんは、民間の医療保険に加入していました。
失業中も、これだけは継続しようと妻が保険料を払ってくれていました。
こんなときのために、公的給付以外の保障を用意しておくといいですね。

要するに、何が起こるかわからないのです。
わからないことを心配しすぎる必要はありませんが、生活費の確保はしておきたいものです。

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厚生労働省がメールマガジン「ハローワーク新卒応援通信」を配信しています。
ハローワークで行っているサービスやイベント情報を定期的に提供することが目的とされています。
助成金等の情報もあり、必要な方にとっては、情報源としては役に立ちそうです。
連絡先 厚生労働省 職業安定局 派遣・有期労働対策部 若年者雇用対策室

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