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知っておきたい年金のはなし    第255号 2010年10月25日発行

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10月は続けて年金相談会を担当しましたが、相談会の現場でお客様のお役に立てるときは、うれしく感じるときです。
どんなに忙しくても、相談会の現場に立つことは、私にとっても大切なことなのです。

時々、お客様に言われます。
「社労士の資格を持っておられるといいですね。定年もないから、いつまでも働けますね」
早期退職した方、定年後の再就職が決まらない方がおっしゃいます。

確かに社労士には定年はありませんが、どんな仕事でもそれぞれの大変さはあります。
社労士の資格を持っているから、それだけでやっていけることはありません。
何の苦労もなく仕事をしているように思われますが、実際にはそうじゃないのですね。

人のことは、なかなかわかりません。
いろいろな立場の人がいて、それぞれが痛みを持っています。
相談員としては、それを忘れることがないようにしたいと思っています。

さて、今日は、よく相談を受ける年金の手続きについてです。

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第255号 年金の手続き
★★★ 何が必要? ★★★
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来年1月に60歳になる達也さんに、年金請求書が届き増した。
緑色の封筒を開けると、いろいろな書類が入っています。
請求書は何ページもあります。
説明書も入っていますが、見るだけでいやになります。

達也さんはずっと会社勤めです。
これまで、いろいろな手続きがあったとしても、会社でやってくれました。
年金の手続きもしてくれるものと思っていたら、自分でしなければならないそうです。

「たいしたことないよ」と先輩が言いましたが、それにしても、資料を目の前にすると、読むのもいやになってきました。
ちょっとみただけでも、言葉がわからないのです。

誰かやってくれないかなあと達也さんは思いましたが・・・

●黙っていてはもらえない

年金は黙っていてはもらえません。
年金をもらう権利があっても、手続きをしないともらえません。
年金請求書を提出しなければなりません。

●なんだかむずかしそう!

届いた年金請求書には、名前や電話番号など、わかるところだけ書いておけばいいのです。
わからないところは、年金事務所の窓口で確認しながら書きましょう。
悩まなくても大丈夫です。

●添付書類が問題

問題は、いっしょに持っていく書類です。
きちんとそろってないと、受け付けてもらえません。

●独身の人は住民票だけ

配偶者がいない人は、住民票だけです。
独身で一人世帯の人であっても、住民票を取るときは、「世帯全員」と指定してください。なお、住民票コードがわかれば、住民票を省略することができます。

●配偶者のいる人

60歳で老齢厚生年金の手続きをする人で、配偶者のいる人は、戸籍謄本、住民票、配偶者の所得証明(あるいは非課税証明)の3点を準備しましょう。

●それは何のため?

年金には夫婦ならではの加算があります。
配偶者加給年金や振替加算です。
それらを加算してもらうためには、対象となる配偶者がいるということを証明しなければなりません。

●厚生年金加入20年以上(原則)

厚生年金に原則20年(特例で15年〜19年)以上加入していないと加給年金額は加算されません。
60歳時点で20年に不足している場合も、その後、働き続け、20年以上になる場合があるので、それを考えて書類を準備してください。
今度も対象にならないという場合は、必要ありません。

●所得証明はなぜ必要?

加給年金や振替加算の対象となる配偶者は、年収850万円未満の人です。
だから、それを証明するために、所得証明が必要です。

●源泉徴収票ではだめ?

源泉徴収票は、給与の証明にしかなりません。
他に不動産収入などなければそれでも問題ないですが、すべての収入が記載されている所得証明を準備するのが基本です。
収入のない人は、非課税証明を発行してもらえます。

●雇用保険被保険者番号も!

年金の請求書には、雇用保険番号を書くようになっています。
雇用保険からの給付と調整があるためです。
もちろん、雇用保険に入ったことがないとか、昔加入したことはあるけれどそのあとずっと入っていないという人は記載する必要がありません。

●夫婦で別居の場合

単身赴任などの理由で別居している人は、それぞれの住民票を提出します。
もうすぐ単身赴任が終わり戻ってくるという場合は、戻って住民票を同じにしてから年金の手続きをする方が簡単です。
少しばかり手続きが遅くなっても、まったく問題ありませんから、簡単に手続きできる方がいいでしょう。

●事実婚の場合

事実婚の場合は、それぞれの戸籍謄本が必要です。
お互いに戸籍上は独身であるという確認のために必要なのです。

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年金の手続きは、いかにきちんと添付書類をそろえるかということがポイントです。
いろいろなケースがあって、複雑ですが、何のためにその書類が必要なのかということを考えると納得できます。

なぜ、独身で一人世帯なのに、世帯全員の住民票が必要かというと、配偶者がいないことを確認するためです。

所得証明もそうですね。
なぜ、所得がないのに所得証明が必要かと言われる方もありますが、所得がないことを証明するためです。

戸籍謄本も、婚姻関係を証明するため。
年金に配偶者の加算が関係なく、婚姻関係を証明する必要がない人は、必要ありません。

振込先の確認(通帳)も、年金は本人にしか支給できないからです。
郵送で手続きする場合は、金融機関で確認印を受け取るか、通帳のコピーを添付します。

なぜ必要かを考えてみると、少し、理解が進みます。

以上は原則的な話ですので、あらかじめ、年金事務所等で確認の上、手続きしてください。
年金の請求は郵送でも可能です。
郵送の場合は、電話で添付書類を確認してから送るのが確実です。