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知っておきたい年金のはなし    第257号 2010年11月15日発行

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このごろの年金相談では、ほとんどの方がねんきん定期便を持ってこられます。
資料があるので、説明もしやすくなりました。

しかし、勘違いが多いこと!
間違って理解されている方が大半です。

また、むずかしいので、みてもわからないという方も。
確かに、むずかしいし、不親切です。

ねんきん定期便を変更するときに、一般の人や年金を専門とする社労士の意見を取り入れてくれるといいのになあと思います。

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第257号 遺族厚生年金と老齢厚生年金
★★★ どうせもらえないのなら・・・ ★★★
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真紀さんは、来月60歳になります。
夫が亡くなって、早10年。現在は遺族厚生年金とパートの収入で暮らしています。

結婚する前に勤めた期間があり、60歳から老齢厚生年金をもらえると、ねんきん定期便に書いてありました。
60歳からの老齢厚生年金は約20万円です。

真紀さんは、60歳以降は、遺族厚生年金と老齢厚生年金は、両方もらえないと聞きました。
現在、約100万円遺族厚生年金をもらっていますので、当然、遺族厚生年金の方がいいに決まっています。

しかし、自分の老齢厚生年金は、一生もらえないのでしょうか。
もし、そうであれば、60歳になっても、老齢厚生年金の手続きをしなくてもいいのではないかと思います。

さて、どうでしょうか。

●遺族年金

夫が死亡した時、真紀さんには17歳の子どもがいました。
真紀さんは、遺族基礎年金102万円と遺族厚生年金50万円を受け取ることになりました。

●子どもが高校を卒業して

18歳になった子どもが高校を卒業すると、4月から遺族年金額が変わりました。
遺族基礎年金はなくなり、遺族厚生年金だけとなりました。
遺族厚生年金には中高齢寡婦加算(約60万円)が加算されています。
全部で約110万円の遺族年金となりました。
子どもが高校を卒業すると、それまで152万円あった遺族年金が110万円に減ってしまいました。

●国民年金保険料

遺族年金で生活してきた真紀さんは、国民年金の保険料免除(全額免除)を受けてきました。
生活が苦しくかったこともありますが、遺族年金をもらえるのであれば、国民年金の保険料を払う必要はないと考えたからです。

●60歳をむかえて

60歳になって、真紀さんには、報酬比例部分の老齢厚生年金(2階部分だけ)の権利が発生します。
金額にすると20万円ですが、年金を受け取ることができます。

●いずれかを選択

ところが、真紀さんにはふたつの年金があります。
60歳から65歳になるまでは、いずれかひとつを選択することになります。
遺族厚生年金と老齢厚生年金は、両方もらえません。

●どちらを選ぶ?

原則として金額の多い方を選ぶことになります。
真紀さんの場合は、遺族厚生年金が有利です。

●働き続ける人は要注意

金額が多い方を選ぶといっても、60歳以降、在職老齢年金の仕組みで年金が全額支給停止になる人は、金額にかかわらず、遺族厚生年金が有利です。
遺族厚生年金は在職中もカットされません。

●遺族厚生年金を受け取るなら、何もしなくていい?

わざわざもらえない老齢厚生年金の手続きはしなくてもよさそうに思えますが、65歳以降を考えて、手続きはしておくべきです。

●65歳以降

65歳以降は、自分自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金を優先して受け取ります。
そして、本来の遺族年金と自分の老齢厚生年金の差額を、遺族厚生年金として受け取るという、なんとも複雑なことになります。

●なんだかわかりません!

要するに、年金制度の1階部分は自分自身の老齢基礎年金を受け取り、2階部分は老齢厚生年金と遺族厚生年金の組み合わせで受け取ると理解してください。
特別に、異なる年金を組み合わせることができるようになっています。

●60歳まで

60歳までの真紀さんは、50万円に中高齢寡婦加算が約60万円(594,200円ですが、計算を簡単にするため約60万円とします)が加算された遺族厚生年金110万円をもらっていました。

●65歳以降の2階の年金額

65歳以降は、自分自身の老齢厚生年金20万円と遺族厚生年金30万円、そして、経過的寡婦加算が約14万円(真紀さんの場合。生年月日によって異なる。)で64万円。
2階部分は少なくなります。

●65歳以降の1階の年金額

1階の年金は真紀さんの老齢基礎年金がどの程度あるかによります。
免除期間が長いと、老齢基礎年金額が少なくなり、結果として、65歳前よりも年金額が少なくなることもあります。

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要するに、遺族年金があるから安心ということではないのです。
遺族年金は、子どもの年齢によって金額がかわり、また65歳以降は、自分自身の老齢基礎年金をベースにして、受け取ることになります。

遺族年金があるからといって、保険料を未納のままにしたり、また、免除期間が長くなると、65歳からの年金受取合計額が減ります。

ひとりで暮らす老後への不安が残ります。

遺族年金をもらっている人は、国民年金の保険料免除をすすめられることもあるようですが、自分自身の将来を考えたとき、保険料を支払えるときに支払って、老後に備えたほうがよいとも言えるでしょう。

遺族年金をもらっているから、老齢厚生年金や老齢基礎年金の手続きをしなくてよいということではありません。
老齢厚生年金や老齢基礎年金の支給開始年齢が来たら、手続きしましょう。

※お断り 65歳以降の遺族厚生年金と老齢厚生年金については省略して説明していますので、詳細は、具体的な事例でお問い合わせください。

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