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知っておきたい年金のはなし    第261号 2011年1月11日発行

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ひとりでも多くの方に読んでいただきたいです。

それでは、今日は、1月からスタートした取扱いについてお話しします。

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第261号 運用3号、実は1号
★★★ 1号なのに3号のまま? ★★★
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江美さんはもうすぐ65歳になります。
65歳から老齢基礎年金をもらえるので、誕生日が来たらすぐに手続きしようと思っています。

これまでに年金記録が送られてきましたが、あまりよく見ていませんでした。
しかし、いよいよ年金を受けることになるので、一度確認しておこうと、自分の記録を出してきました。

いろいろと調べて、友達にたずねたりしているうちに、記録が間違っているような気がしてきました。

江美さんは、ずっと夫の扶養家族でした。
自分で国民年金の保険料を払ったのは、第3号の制度ができるまでで、それからは、ずっと第3号になっています。

ところが、夫の年金記録をみると、途中で厚生年金の記録が途切れています。
確かに転職するとき、次の仕事に就くまで、数か月、間があいていました。
夫は国民年金の保険料を納めたことはなく、数か月が空白期間となっています。
江美さんも当然、第3号ではなく、自分で保険料を納付する第1号になったはずです。
ところが、江美さんの記録は途切れることなく続いています。

なんといっても昔のことでよくわかりません。

江美さんは、下手に年金事務所で記録を確認すれば、年金がもらえなくなってしまうのではないかと心配になってきました。
でも、このまま黙っておくのも良いことではないと思い、江美さんは年金のことで具合が悪くなってきました。

●夫の退職で

会社員の夫の扶養家族として第3号被保険者となっている妻は、夫が退職すれば、第1号被保険者となります。

●60歳までは強制加入

すでに25年以上の年金加入期間があるから、国民年金には加入しなくてよいと思っている人もありますが、それは間違いです。
60歳になるまでは強制加入です。

●手続きが必要

第3号から第1号に変更になったときは、「種別変更」という手続きを取らなければなりません。
手続きを忘れていても、現在では、強制的に第1号被保険者となり、納付書も送られてきます。
しかし、過去においては、自分で手続きしない場合、そのままになってしまうということもありました。

●実は1号

江美さんも、実は1号に変更しなければならないのに、3号のままになっていたということでしょう。

●3号を取り消す

本来なら、間違いがわかった時点で正しい記録にしなければなりません。
3号を取り消して、1号とするのです。

●訂正の結果は?

当然、保険料は納めていませんね。
3号が1号未納期間となってしまうと、その期間は年金として受け取れません。
中には、1号未納期間となったため、年金そのものが受け取れないという人も出てくるかもしれません

●運用3号

そこで、23年1月から「運用3号」という取扱いが始まりました。
ほんとは1号なのに、3号のままで取り扱うということです。
直近の2年間については、1号として保険料を納付してくださいということになりますが、それ以前の期間は3号として取り扱われます。

●得するのよね?

そうですね。年金につながるのですから。

●江美さんの場合

江美さんの場合は2年どころか、ずっと昔の話なので、第3号被保険者期間ではなかったとわかっても、「運用3号」により、3号として取り扱われます。

つまり、年金はもらえるということです。
安心して、年金の手続きをしてください。

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江美さんは「ああ、よかった」ということになりますが、よくない人もいます。
これまでに、3号を1号に訂正した人です。
間違って3号になっていたことがわかって、記録の訂正をした人です。

こういう場合はどうなるのでしょうか。運用3号として認めてくれるのでしょうか。
残念ながら、過去に訂正した記録は、元にもどさないということです。

これでは「正直者が・・・」という感じになりますね。

1号なのに3号のままになっていたということは、本人が悪意を持ってしたことではなく、年金制度が複雑でよくわからなかったからでしょう。 記録の不整合に気がつかなかった国の責任でもあります。
だから「運用3号」という取り扱いも納得できるように思います。

でも、その一方では、きちんと保険料を納付してきた人もいるのです。
納付してきた人と、納付していない人が同じ年金額というのも、不公平感が残ります。

なんとも、すっきりしません。

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