★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第264号 2011年1月14日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 「年金1年生」はお読みいただけましたか。 物語に登場する夫婦は、とてもいい感じの夫婦です。 こんなふうに、いっしょに老後を送ることができればなあという私の気持ちが書いたものです。 韓国ドラマに夢中になる妻や、風呂掃除をしている夫は、実は我が家の風景でもあるのです。 年金らしくない年金の本ですので、ぜひ、お手に取ってください。 さて、今日は、「運用3号、実は1号」の話、2回目です。 対象者は100万人以上の可能性もあるとか。 不公平ではないかとの声も出るなかで、厚生労働省は、法律には反しないとの見解を示しました。 …………………………………………………………………………………………… 第264号 運用3号 ★★★ 正直に手続きしたばかりに・・・ ★★★ …………………………………………………………………………………………… 千恵子さんは、今、怒りがこみ上げています。 千恵子さんは、夫が60歳になって年金の手続きをするときに、いっしょに自分の年金記録も調べてもらいました。 すると、記録に間違いあることがわかったのです。 千恵子さんは昭和61年4月になって、夫の第3号被保険者となりました。 その後、夫が転職しました。 当時、本来ならそこで千恵子さんも第1号被保険者となり、夫が再就職後、再び第3号被保険者となるはずでした。 しかし、どうまちがったの、千恵子さんの記録はずっと3号のままになっていました。 年金記録の確認で、そうした間違いに気がついたので、千恵子さんは、手続きをしました。 その結果、間違って3号になっていた期間は、1号の未納期間となり、そのあとの期間は、第3号被保険者の特例届出を出して、3号と認めてもらいました。 これで、本来の正しい記録となったのです。 ところが、最近、千恵子さんは、「運用3号」というしくみがスタートしたと聞きました。 調べてみると、千恵子さんの場合は、正直に手続きしないほうがよかったように思えてきました。 たとえわずかの期間であっても、3号期間であったほうが年金は多くなります。 3号ではないのに、3号と認めるのなら、私ももとの3号にもどしてほしいと千恵子さんは思いましたが・・・ さて、それは可能でしょうか。 ●運用3号 「運用3号」とは、夫の転職などでほんとは3号からはずれてしまったのに、年金記録上、第3号被保険者になっていた人を、3号のままにしておくという取扱いです。 1月1日からスタートしました。 ●なぜ間違いが起きたの 3号から1号になるときは、「種別変更届」を出すことになっています。 しかし、よくわからず、届出を出さないで、そのままになってしまったということもあるいでしょう。 ●間違いは正さなければならないのでは? 本来はそうです。 しかし、すべて正すとすれば、そのことで無年金になる人も出てきたり、影響がはかりしれません。 ですから、ほんとは1号で未納だけれど、3号のままで取扱いをしようというのです。 ●3号のままのほうがお得ですね 1号の未納期間となれば、その期間は年金額にまったく反映されません。 ところが3号は、保険料納付済み期間です。 3号のまま、認めてもらえるのなら、本人にとっては有利です。 ●届出もれの人はみんなそうなるの? 現在年金を受給している人は「運用3号」の取扱いとなります。 年金に加入中の人で、直近2年間にそのような期間があれば、直近の2年間については「運用3号」とは認めず、1号として保険料の納付をするようになります。 しかし、時効が切れた2年より前については、3号のままです。 ●千恵子さんどうなるの? 千恵子さんは、過去の間違いに気がついて、年金記録を訂正しました。 しかし、今となると、訂正しない方がよかったということになります。 訂正しなければ、運用3号となったのですから。 ●取り消しできないの? できないという見解です。 もし、あとで未納分の保険料を払っていたとしても、保険料が返還されることはありません。 ●不公平では? 手続きをしなかった人も、年金制度が複雑でよくわからないなど、本人に責任がない場合が多いでしょう。 だから、何らかの救済措置も必要でしょう。 でも、きちんと手続きをしてきた人が「不公平」と思うようなしくみはどうでしょうか。 …………………………………………………………………………………………… 年金記録問題に関しては、まだまだいろいろなことが出てくるかもしれません。 夫が会社を退職して厚生年金の資格を喪失すれば、同時に第3号被保険者である妻も、第1号被保険者に変更すればよいのです。 そして、納付書を送付する。 「種別変更届」を出し、届出がないと勧奨状を送り、最後は職権で変更するのでしょうが、これでは無駄が多いと思います。 基礎年金番号で管理しているので、自動的に変更する仕組みを作っていけばよいのです。 間違いが起こらないようなシステム作りを考えるべきですね。 しかし、運用3号のような取扱いがはじめると、今後も手続きしない方がよいと考える人が出てくる可能性もあります。 また、このような取扱いを法改正なしに実行するというのも、釈然としません。 わけがわからないことばかりです。 千恵子さんの怒りもわかります。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ 書籍のご案内 ■□■ 「年金1年生」 菅野美和子著 全国の書店で発売中! 主婦の友社発行 定価1,470円(税込) 書店等でお求めになれない方、また10冊以上まとめてご購入いただける方は、著者までご連絡ください。miwa-ss@nifty.com このほか、3作の著書があります。 ★1 ねんきん定期便の読み方をマスターしたい場合は 「ねんきん定期便がよくわかる本」株式会社BKC 定価1260円(税込) ★2 年金の基本について、わかりやすい本を読みたいという場合は 「年金、もっと知りたいな。」株式会社BKC 定価1,470円(税込) いずれも、アマゾンで購入できます。書名で検索してください。 http://www.amazon.co.jp/ ★3 夫婦の年金など「夫婦」をテーマにした年金について知りたいという場合は 「妻も年金 夫の年金」株式会社日本生活設計 定価1,470円 現在、書店では取り扱っておりません。著者が在庫を持っておりますので、著者よりお届けいたします 4冊(あるいは3冊など)まとめてご購入いただくこともできます。 著者までご連絡ください。(セット購入は送料サービス) |