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知っておきたい年金のはなし    第265号 2011年2月25日発行

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陽ざしがあたたかくなり、冬の終わりを感じるようになりました。
前回も取り上げた「運用3号」
今年1月から救済措置が実施され、1月30日現在ですでに2231人が対象となりました。

ところが、総務省の年金業務監視委員会は、「運用3号」について問題があるとして、是正を求めています。
厚生労働省は、必要な措置であるとして反論しています。

細川厚生労働相は2月24日午前の衆院予算委員会で、専業主婦の国民年金への切り替え忘れに対する救済策に関して、「28日の総務省の年金業務監視委員会の結論を踏まえて、方針を早急に決定したい。それまで手続きはすべて留保する」との方針を表明しました。

さて、どうなるのでしょう。
不公平といえば、不公平ですから。

4月分から(6月15日支給分)年金額が下がりますが、在職老齢年金にも改定があるようです。
正式な発表は3月の下旬になると思いますが、一部の人は、また、下がることに・・・
今から苦情が届きそうな気がします。

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第265号 在職老齢年金
★★★ がんばって働いているのに、また下がるの? ★★★
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昭一さんは68歳です。
元気に働いています。これからも働くつもりです。
幸いなことに同じ条件で働き続けることができます。
給料も下がりません。

ところが、昨年の6月支給分の年金から、今までカットされていなかったのに、年金がカットされました。
なぜかと年金事務所にたずねましたが、計算の基準となる数値が変更になったからとか。
昭一さんにはよくわかりませんでした。

今年はどうなのでしょうか。
みんなの年金額が下がるというし、なんだか、どんどん減らされていくような気がしてなりません。

●65歳以上の人の在職老齢年金

65歳以上、厚生年金に加入して働いている人は、在職老齢年金の対象となって、年金が全額あるいは一部カットされる場合があります。
給料やボーナスしだいです。

●老齢基礎年金は全額支給

老齢基礎年金はカットされることはありません。

●経過的加算は全額

ちょっとややこしい話ですが、65歳以降は、計算上出てきた差額を支給するのです。経過的加算といいます。
これもカットされません。

●カットされるのは2階の年金

年金制度の2階にあたる年金、報酬比例部分が減額の対象となります。

●23年度から基準がかわる

現在、給与(賞与も含む)と年金の月額を合計したものが47万円を超えると、年金はカットされます。
この47万円という基準が46万円に改定される予定です。

●つまり年金が減るってこと?

そうです。47万円を超えるとその超えた金額の半分がカットされていましたが、46万円を超えると、その超えた金額の半分がカットされます。
つまり年金は減ります。
また今まで年金を減額されていなかった人でも、減額になることがあります。

●なぜ基準を変更するの?

国会で法律を改正したのではなく、数値が変わったので、自動的に改定されるのです。
名目賃金変動率が下がったことが原因となっています。
「名目賃金変動率とはなんだ?」ということは、ここではお話ししないことにします。

●65歳未満の人はどうなるの?

現在は、28万円という基準と47万円という基準で減額計算をしています。
47万円は46万円に改定されますが、28万円については改定の予定はありません。

●どうして?

なぜ、減額になる人とならない人が出てくるのか、理解しがたいですね。
計算式の違いなのです。
こんな複雑なしくみ、ほんとに困りますね。

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年金制度への信頼はゆらいでいます。
年金制度というより、日本年金機構、国への信頼ですね。

今でも思い出しします。
入社した人の社会保険加入手続きのために、当時の社会保険事務所によく行きましたが、年金手帳そのものを持っていかないと、手続きしてくれないのです。

コピーでもよさそうなものですが、「コピーはだめ、現物を持ってきなさい」と、年金手帳がないと加入の手続きをなかなか受け付けてくれません。
そんなことを国民に求めておきながら、ずさんな仕事をしていたのですね。
その後片付けのひとつが、今回の「運用3号」をめぐる取扱いでしょう。

その一方では、年金額が上がらないしくみが導入されています。
不祥事は続く、年金額は下がるとなれば、まじめに暮してきた人の心はおだやかではありません。

年金制度は、私たちの暮らしにとっては、大切な制度です。
だからこそ、みんなが信頼できるような制度であってほしいものです。

※46万円の根拠は以下のとおり
48万円×1.003×0.996×1.002×0.998×1.011×0.976×0.980=463,689円
→46万円(1万円単位で端数は四捨五入)
0.980は23年度の名目賃金変動率

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