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知っておきたい年金のはなし    第268号 2011年4月18日発行

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被災地へ支援に行かれた方のお話を間接的に聞いたのですが、テレビで報道されている以上に深刻な状況だそうです。

厚生労働省から、社会保険関係の特別対策や支援策が出されています。
突然、すべての財産を失って、職も失ってしまった人たちのために、充分な支援をのぞみます。

国民健康保険料の減免や住民税の減免などは必要です。
保険料や税金は「猶予」ではなく、減免措置を取らなければならないと思います。

災害に遭った場合、国民年金保険料は免除申請できます。
財産を失い、生活を再建しなければならないときに、1ヵ月約1.5万円の保険料は大変でしょう。

ところが、国民健康保険料の減免と、国民年金の免除には大きな違いがあります。
国民年金保険料が免除を受けても、結局、その結果、将来の年金が減額されてしまいます。

震災のために免除を受ける、そのため、将来の年金は減ってしまう。
第3号ではなかった期間を第3号として認め年金を払おうとしたくらいです。
免除による不利益は、なんとかならないのでしょうか。

さて、今日は、運用3号は取り止めとなりましたが、ずっと気にかかっていたことを書いてみたいと思います。

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第268号 3号になるための収入基準
★★★ 運用3号は廃止になったけれど… ★★★
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主婦の年金問題をいろいろと聞くうちに、直子さんには、心配になってきました。
自分自身もさかのぼって第3号をはずされるのではないかという心配です。

直子さんの夫は結婚当初からサラリーマンです。
直子さんは出産を機に仕事をやめたあと、第3号被保険者となりました。

その後、育児も一段落して、直子さんは、パートで働くことになりました。
当初は短時間勤務だったのですが、しだいに仕事をまかされるようになり、気がつけば、毎日、8時間働いていました。毎月の給料も15万程度になります。

ところが、会社から社会保険に関する話はありません。
夫の会社から何も言ってきません。
直子さんも扶養のままのほうがよいので、特に何もせず、そのままにしていました。
昨年の収入は150万円を超えました。今年も同じように働く予定です。

今でも直子さんは第3号のままです。
主婦の年金が話題になったとき、収入が基準を超えてしまい、第3号にならない人が第3号のままになっているケースがあるという話が出ていました。
自分のことを言われているようでどきっとしました。

このまま第3号というわけにはいきませんよね。
運用3号とは、このような人も救済してくれる仕組みだったのでしょうか。

●運用3号とは?

夫が退職後も第3号のままになっていた・・・
収入が基準を超えているのに第3号のままになっていた・・・
そのような期間についても、2年以上前の期間については、第3号として年金を支給するというのが「運用3号」でした。
批判をあびて3月8日で廃止となりました。

●夫の退職後

サラリーマンの夫が退職すれば、退職後、夫は第1号被保険者となり、妻も第1号被保険者となります。
夫が第1号なのに、妻が第3号などというのはあきらかに間違いです。
記録の間違いについては、夫婦の記録を突き合わせれば、すぐにわかるはず。

●なぜわからなかったの?

基礎年金番号で年金を管理しているのですから、夫が退職したときに、妻の記録も変更できるようにしておけばよかったのです。
そういった仕組みを作ってこなかったからですね。

●第3号の収入基準

夫が退職するという他に、妻が第3号からはずれてしまうケースとして、収入が基準を超えるということがあります。
第3号被保険者として認められるのは、年収130万円未満です。
しかし、これがわかりにくい!

●なぜ、わかりにくいか

過去の収入ではないからです。今から先の見込みです。
それに通勤手当も含んだ金額です。
所得税と混乱して、通勤手当を含むとは思わない人もいます。

●チェックが入らない

配偶者控除を受けられないのに配偶者として申告していれば、必ず税務署から連絡があり、追加で税金を納付することになります。
所得税の間違いは見逃されません。絶対に追徴されます。
しかし、第3号被保険者には、こういったチェックが甘いのです。

●事業主がチェックする

つまり会社が所得証明を提出させたり、それだけではわからない場合は、通勤手当込みの給与証明を出させたりして確認しない限り、わかりません。

●会社はそこまでするか?

会社にもそこまで知識がなく、チェックをしないことが多いでしょう。
直子さんの場合は、夫の会社もよく調べず扶養のまま、直子さんの勤め先も社会保険加入義務についてわかっていません。

●過去にさかのぼって第3号は取り消し?

本来ならそうです。
第3号にはなれません。
まさしく、収入超過しているのに、第3号のままだったというケースです。
もし、運用3号が廃止になっていなかったら、第3号になれない期間についても、第3号として年金をもられるようになっていたのですね。

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第3号というのは、ほんとにあいまいな制度です。
また、しっかりチェックが入らないので、うやむやになりがちです。
わざとではなく、知らなくてそのままになってしまうこともあります。

このまま第3号被保険者としての制度を続けていくのなら、第3号の基準に該当しているかどうか、徹底して調査をすることが必要です。

運用3号は廃止になりました。しかし、収入が超過にもかからず第3号のままになっている人は、結局、「運用3号」状態になってしまうのではないでしょうか。

ほんとは、3号という制度はやめて、もっと保険料を安くして、みんなが保険料を払うのがよいのではないかとも思います。さて、どうでしょうか。

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