★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第272号 2011年6月3日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ Facebookを始めました。 Facebookとは、インターネット上の交流の場とでもいうと、わかりやすいでしょうか。 使い方もよくわからず、使いこなせていませんが、書き込みをすると意外な方から連絡をいただいたりします。 また、しばらく交流の途絶えていた方ともネット上で再会できました。 それにグループ間での連絡には便利です。 あまりたいしたことは書いていませんが、「メルマガ読者です」と明記して連絡していだたくと「友達承認」しますので、よかったらFacebookに入ってみてください。 Facebookで検索してください。 さて今日は、健康保険や厚生年金の保険料に関するお話です。 4月から改定があり、またまた複雑になりました。 …………………………………………………………………………………………… 第272号 社会保険料の決定 ★★★ 残業が多いと保険料も増える ★★★ …………………………………………………………………………………………… 優子さんはある企業の総務課で仕事をしていますが、毎年3月から5月までは大変忙しいのです。 社員の入れ替わりの時期です。退職する社員や新入社員の手続き、新入社員教育、おまけに6月が決算なので、何かと仕事が増えます。 残業が多くなります。残業手当はきちんとつきますが、あるとき、4月から6月まで残業が多いと、1年間の社会保険料が高くなるという話を聞きました。 確かに社会保険料の負担は大きいです。 優子さんの会社では無理かもしれませんが、4月〜6月の残業が少なければ、1年間の社会保険料を節約できるのでしょうか。 ●社会保険料の決め方 毎月の社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)は標準報酬月額に保険料率をかけたものです。 ●標準報酬月額って何? 標準報酬月額とは、わかりやすくいうと、社会保険料を計算する上での基準となる「給料」です。 ●実際の給料とは違うよね? そうです。違います。実際に支給される給料は、残業などによって多い月があったり、少ない月があったりします。 ●社会保険料決定のルール 社会保険料は実際に支給された給料をもとにして保険料を計算するのではありません。 基準となる「給料(標準報酬月額)」を決めておき、1年間(9月から翌年8月まで)、その「給料」をもとにして保険料を計算するというルールです。 ●会社へ入ったとき 入社時には、今後予定される給料で標準報酬月額を決定します。 たとえば、基本給が20万円、通勤手当が1万円だとすると、合計は21万円。 標準報酬月額の等級表にあてはめると22万円の等級です。 22万円に保険料率をかけたものが保険料です。 会社が半分負担します。本人負担は半分です。 ●給料は同じではない ところが、給料は入社時と同じというわけではありません。昇給もあります。 何らかの理由で、給料が下がってしまうこともあるでしょう。 もともと変動するものですから、変更も必要です。そのため、毎年決まった時期に標準報酬月額を見直しすることになっています。 ●7月に見直し その見直し作業を7月に行い、4月、5月、6月に支給された給料をもとにして、9月からの保険料を決定します。(10月支給分の給与から変更) 4月とは4月に支給された給料、5月とは5月に支給された給料という意味です。 優子さんの会社は3月分を4月支給しますので、3月分、4月分、5月分の給料が対象となるということです。 ●残業代も込み? 3ヵ月の平均を出すのですが、残業代も含めて平均を出し、標準報酬月額を決定します。 決定した保険料は9月から翌年の8月まで。残業が少なく、給料が少ない月も同じ保険料を負担することになります。 ●他の月で残業が多くなったら? 4〜6月は残業が少ないけれど、年末が忙しく残業も多くなるという職場もありますね。 残業のため給料が多くなったからといって、そこで保険料が上がるというわけではありません。 ●保険料が高くなってメリットはある? 負担する保険料は少ないほうが良いと考える人も多いかと思いますが、標準報酬月額が高くてメリットになることもあります。 ●傷病手当金 病気やケガで会社を休み、給料の支給がない、あるいは少ないときには、健康保険から傷病手当金(健康保険からの休業保障)を受けられますが、これは標準報酬月額が多いほど、受け取り額も増えます。 ただ、病気をしなければ、メリットは感じらませんよね。 ●年金額 すべての人に関係のあるのが年金です。 老齢厚生年金は、給料(標準報酬月額)やボーナス(標準賞与額)の平均で年金額を計算します。 つまり、標準報酬月額が高いほど、年金も増える仕組みです。 より多くの保険料を納付した人が、より多くの年金を受け取れるというしくみです。 ●今年の改正 今年4月に法改正がありました。 時期的に4月から6月までが忙しく、残業代も多いというケースに対応する改正です。 年間平均と4月から6月の平均を比較して、標準報酬月額に2等級以上の差が生じる場合は、年間平均額で標準報酬月額を決定してもよいことになりました。 ●標準報酬月額を低くすることができる つまり、年間平均額が低ければ、低い方を標準報酬月額としてもよいということになったのです。 優子さんの会社にはあてはまるかもしれません。 ●条件を確認 どこの会社でも年間平均と4月から6月の平均を比較できるのではありません。 優子さんの会社のように、毎年、この時期が忙しい場合に限るという条件がついています。 その証明も必要です。 ●本人の同意 本人の同意も必要です。 …………………………………………………………………………………………… 同意を求められたら、どうするか、保険料の負担軽減を取るか、将来の年金を取るか、ちょっとむずかしいですね。 会社としては本人の年金額よりも保険料負担を減らすということを優先して考えるでしょう。そうなると同意を強制される可能性もあります。 しかし、今は保険料を払ってもよいので、将来少しでも多い年金をもらいたいという人もいるでしょう。 この手続きについては、近いうちに日本年金機構から詳細が出されるようです。 いずれにしても、昨年の7月から6月まで、今年の4月から6月までの平均を出して、2等級以上の差が出るようなら、可能性があるわけです。 手間はかかりますね。 法律をあれこれいじると、だんだん複雑になり、結果として手間ばかりかかるのです。 なぜ、こんな改正が行われるようになったのでしょう。 経済界からの要望があったのかもしれません。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ 年金相談室のご利用案内 ■□■ 「女性のための年金相談室」では、メールによる無料相談を受けております。 詳細はホームページでご確認ください。(男性・女性にかかわりません) 電話・面談による相談は有料ですが、メール相談(回数制限あり)は無料です。 すべての相談について、菅野美和子がお答えします。 返信可能なメールアドレスでご連絡ください。 |