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知っておきたい年金のはなし    第273号 2011年6月28日発行

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先日の年金相談会に、ひとりの女性が来られました。
60歳で老齢厚生年金を受給できる人ですが、年金の手続きをしたくないと言われるのです。
理由は、「まだもらいたくない」
年金がない方が、これからもまた働こうという気持ちになるとのことでした。

60歳で年金の手続きをしても何のデメリットもないこと、手続きを遅らせても年金額が増えないことなどお話しました。

でも、結局は、「気持ち」に戻りました。
「制度はわかった、でも、まだもらいたくない」と。
もしかすると、年金をもらうことに「老い」を感じてしまうのかもしれません。

その気持ちになったら手続きをしてください、しかし、65歳前には必ず手続きしてくださいと、それだけを強調して年金相談は終わりました。

人の気持ちはいろいろなのですね。

さて今日は、共済年金のお話です。

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第273号 退職一時金を返還する
★★★ 高すぎる利息 ★★★
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佳代さんは、結婚するまで、私立学校で先生をしていました。
結婚で退職。子育てが一段落したあと、再就職。もう一度、私立学校の先生にもどりました。

そして、60歳をむかえます。
すぐに、年金の手続きをしようと思っています。

共済組合(私学共済)に問い合わせていたところ、過去に受け取った一時金を返還するようにと通知が届きました。

昔のことなので、よく覚えていませんが、結婚退職時に、お金を受けとった記憶があります。

通知によると、一時金として受け取った額は263,700円。利息が922,856円。
全部で約108万円を返還することにより、過去の期間分も含めて、退職共済年金が受給できるとのことです。

佳代さんは驚きました。
利息ってこんなに多いのですか?
お金を借りた覚えはないのに、90万円の利息を払うのですか?

●退職一時金制度

退職一時金は昭和54年12月31日までに退職した人に適用された制度です。
再就職することはないので、受け取っておこうと思った女性が多いようです。
未来の年金より、今のお金と考えたのですね。
あるいは、知らずに受け取ったかもしれません。

●一時金を返して年金をもらえるの?

退職一時金を受給した期間が算定期間になる場合は、請求をすることによって退職共済年金を受給することができます。
ただし、過去に受給した退職一時金については返還が必要になります。

●こんな制度はあったかしら?

これは共済年金に限った制度です。
厚生年金にはこのような制度はありません。
厚生年金の脱退手当金を受け取った人が、お金を返して年金をもらいたいと思っても、それはできない相談です。

●一時金を返還すると

一時金として受け取った期間についても、年金の対象期間となるのです。
年金として、終身受け取ったほうがいいですね。

●利息がつくの?

利息が加算されます。
利息については、法律で利率が定められています。
佳代さんは90万円以上の利息を請求されているわけですが、利率で計算したら、このような金額になったのです。

●利息が多すぎない?

お金を借りていたという意識がないのに、これほど多くの利息になって、びっくりされる方も多いと思います。
しかし、間違いではありません。

●一度に返すの?

退職一時金の返還方法には、次の2通りがあります。
年金請求時にいずれかの返還方法を選択します。
1)年金の支給期ごとにその支給額の2分の1を返還額として順次控除する方法
2)1年以内に返還が終わるように、一括又は分割して現金で払い込む方法

●分割するとまた利息が?

分割しても利息は追加されません。
一度に返還しても割引はありません。
そう考えると、分割して返還していくほうがお得です。

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利息があまりにも高いといって相談に来られる方もいらっしゃいます。
過去に受け取ったお金はすでに手元にありません。
そのお金に利息を加えて返せというのです。

返還してでも年金がほしいと思う、厚生年金脱退手当金を受け取った人には、うらやましい話かもしれません。

しかし、この利息は高すぎるように思います。
言われのない利息を請求されているような気がするのは、私だけでしょうか。

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≪補足説明≫ 退職一時金

1、昭和36年3月31日までに退職した人は、加入者期間が6か月以上20年未満の場合に、退職一時金が支給されました。

(この期間は、「退職一時金を全額受給した加入者期間」になります)

2、昭和36年12月31日までに退職した人は、加入者期間が6か月以上20年未満の場合に、通算退職年金を支給するために必要な財源(凍結額)を差し引いて、退職一時金が支給されました。

3、昭和54年12月31日までに退職した人は、加入者期間が1年以上20年未満の場合に、通算退職年金を支給するために必要な財源(凍結額)を差し引いて、退職一時金が支給されました。

2や3に該当する場合でも選択権がある人は、申し出により、凍結額を差し引かないで退職一時金を全額受給することもできました。

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