★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第274号 2011年7月21日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 暑い毎日が続きます。 いつのまにか、7月も半ば・・・ 昨日、ネットで「2013年問題」が取りあげられていました。 「2013年問題」とは、2013年4月以降、60歳から老齢厚生年金を受給できない人が出てくるということです。 年金額はさておき、それまでに60歳になる人は、60歳から老齢厚生年金を受給できます。(必要な条件は満たしているものとします。以下同じ) しかし、まもなく、60歳からは何も受給できない時代がやってくるのです。 (女性は男性より5年遅れです。) これは、今、決まったことではなく、ずっと前に決定されていることなのですが・・・ 目の前にせまってくると、切実な問題となってくるということですね。 …………………………………………………………………………………………… 第274号 2013年問題 ★★★ 60歳から年金を受給できない世代 ★★★ …………………………………………………………………………………………… 直史さんは昭和28年4月5日生まれ。 先日、ライフプランセミナーに参加して、60歳から年金を受給できないことを知りました。 定年は60歳ですが、再雇用制度もあるし、直史さんは60歳で退職するつもりはありません。 もともと、65歳までは働こうと思っていたので、年金のことはまったく気にしていませんでした。 ところが、再雇用された先輩たちは、65歳を待たずして退職していきます。 退職の理由と聞いてみると、職種の変更についていけなかった、同じ仕事をしているのにあまりにも給与が低い、かつての部下が上司になり嫌気がさしたなどです。 近頃、会社の経営も厳しくなってきました。 定年後、どのような処遇が待っているのか、直史さんも心配になってきました。 もし、60歳で退職することになれば、年金の空白期間をどのように埋めたらよいのかと、直史さんは考えるようになりました。 ●2階建ての家が崩れた 60歳で退職したサラリーマンが、60歳から2階建ての年金を受け取っていたというのは過去の話となりました。 ●2階しかない家に住む 生年月日に応じて、1階の年金(定額部分)の支給開始が遅くなり、昭和24年4月2日以降に生まれた男性は、60歳代前半、年金の1階部分はありません。 ●さらに2階もなくなっていく なんとか、もらえていた2階の年金も生年月日に応じて、支給開始が遅れていきます。 ●そしてついに! 60歳からは年金をもらえないという世代が、60歳を迎えようとしています。 ●60歳で退職すると 働く意志があるのであれば、雇用保険の失業給付(基本手当)を受け取れます。 60歳代前半の老齢厚生年金と基本手当は両方もらえませんが、年金そのものがもらえないので、基本手当を受け取ることになります。 ●基本手当の受給期間 定年退職であれば最大で150日分。5ヵ月は基本手当という収入があるということです。 (必要な条件は満たし、なおかつ、就職が決まらない場合の話です) ●2階の年金は少ない 61歳から受け取れる年金は2階だけ。 2階の年金が支給されても、年金額は十分ではありません。 月に10万円あればよい方でしょう。もっときびしく見積もった方がいいでしょう。 (年金見込額は各自でご確認ください。) ●繰上げはできる? 支給開始が61歳となる人も、60歳から、老齢厚生年金を繰上げて受け取ることができます。 ●繰上げで年金は減る? 老齢厚生年金は減額されます。 1年繰り上げをすると、0.5%×12月で6%の減額。 ●老齢基礎年金も合わせて繰上げ 支給開始年齢61歳の人が、60歳で老齢厚生年金を繰上げ請求すると、老齢基礎年金も合わせて繰上げとなります。 ●老齢基礎年金も減額? 本来65歳から受け取る基礎年金を60歳で繰上げすることになるので、 0.5%×60月で30%の減額。 70%の老齢基礎年金額となってしまいます。 ●長生きには備えられない 当面をしのぐには繰上げも有効ですが、長生きには備えられません。 老後にどんなお金がかかるか考えてみましょう。 健康保険料や介護保険料は、終身必要です。 病気になったときも心配です。 …………………………………………………………………………………………… 人の寿命はわかりませんので、繰上げがよいのかどうか、正解はありません。 ただ、長生きしたときに安心して生活できるように、必要なお金を確保しておくことは大切です。 そのために、どのような選択がよいのか、自分で判断するしかありません。 60歳定年の企業にも、再雇用や継続雇用が義務づけられています。 しかし、継続雇用制度はあっても、実質的には継続雇用とならないような制度を導入している企業もあります。 賃金の大幅ダウン。 職種の変更。 特に、継続雇用後の職種を限定し、退職せざるをえないような制度を導入している企業もあります。 ずっと事務職だった人に、60歳以降は営業職と言われたら、継続を希望できないですよね。 実質的に60歳になった人を切り捨ているような現状があるのに、年金の支給開始だけ遅れていくことは問題です。 2013年問題は奥深い問題です。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ 年金相談室のご利用案内 ■□■ 「女性のための年金相談室」では、メールによる無料相談を受けております。 詳細はホームページでご確認ください。(男性・女性にかかわりません) 電話・面談による相談は有料ですが、メール相談(回数制限あり)は無料です。 すべての相談について、菅野美和子がお答えします。 返信可能なメールアドレスでご連絡ください。 |