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知っておきたい年金のはなし    第279号 2011年10月21日発行

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先日、障害年金の請求をお手伝いさせていただきました。
なんとしてでも、受給につながってほしいと、ご本人といっしょに努力してきました。

障害年金のポイントは、保険料納付要件を満たしているか、障害の状態が等級に該当するかということだと思います。

保険料納付要件を満たさず、障害年金をもらえない人もいます。
自分が滞納しているのならしかたないと思われるかもしれませんが、複雑なしくみで、知らずに滞納となっていたという人もいます。

今日のお話もそうです。

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第279号 障害年金の保険料納付要件
★★★ 未納期間はなくなったのに! ★★★
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英子さんは22歳です。
誕生日は3月3日です。ひなまつりの日に生まれました。
20歳の誕生日は大学生でした。
国民年金についてのお知らせを受け取りましたが、学生で収入もなかったので、学生の納付特例を利用することにしました。
手続きに行ったのは3月29日。
手続きしたので安心しました。

ところが、その年の秋ごろ、国民年金の保険料の督促がきました。
おかしいと思いつつ、病気で具合がわるかった英子さんにかわってお母さんが学生納付特例の手続きをしました。

ちょうどそのとき、英子さんは、うつ病で治療を受けていました。
うつ病はもっと早くから発症していたのでしょうけれど、病院へ行けませんでした。
両親が心配して、20歳になった年の7月にはじめて病院へ連れていきました。

そのあと、治療の甲斐がなく、英子さんの病状は重くなり、大学もやめました。
働けるような状態ではなかったので、障害年金の手続きをすることになりました。

ところが、手続きをしたところ、保険料を滞納していたから、障害年金はもらえないと言われたのです。

なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。

●国民年金は20歳から

3月3日が誕生日である英子さんは、3月から国民年金の被保険者期間となります。
つまり、3月分の保険料を納付する義務が発生します

●学生の納付特例

大学生であった英子さんは。保険料を払うのが大変なので、学生の納付特例の申請をしました。英子さんの行動は正解です。

●納付特例が認められた期間は

学生の納付特例期間は4月から翌年3月までのサイクルです。
3月に20歳になった英子さんは手続きをしましたが、納付特例と認められたのは、初年度の3月だけだったのです。

●毎年申請?

そうです。大学生といっても退学する可能性もあるので、毎年申請です。
申請が遅れても、年度当初の4月から特例期間として認められます。

●4月からの納付特例は

英子さんは3月が誕生日で3月に申請に行ったので、4月以降に、次の年度分の手続きをしなければなりませんでした。

●そんなこと知らなかった

英子さんは3月に申請したのです。
4月からの申請が必要なんて知りませんでした。
だから、大丈夫と安心していたのです。

●督促の通知がきた

4月以降の申請がなかったので、保険料は滞納状態です。

●障害年金の初診日

7月に病院を受診しました。初めての受診です。そこでうつ病と診断されました。
その後、病気が悪くなって障害年金を請求することになりました。

●保険料納付要件は?

障害年金の請求において、大切なことは、初診日がいつかということです。
初診日の前日において、初診日が属する前々月までに未納がないかどうかを確認するのです。

●保険料納付要件を満たしていない

7月に初診日があるので、7月の前々月というと、5月です。
5月までに3分の1以上滞納がないか、直近の1年間に滞納がないか。
どちらの要件にもあいません。

●あとで学生の納付特例の手続きをしたのに!

そうです。秋ごろ気がついて、手続きをしました。
4月から学生の納付特例は認められ、未納はないはずです。

●初診日の前日

つまり、あとで手続きして、過去の未納がなくなってもだめなのです。
初診日の前日で判断します。
初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていることが必要です。

●たった2か月のために

英子さんは4月と5月が未納となっていたため、一生障害年金をもらうことはできなくなってしまったのです。
今では未納期間でないのですが・・・

●それってあんまり・・・

法律はそうなっているのです。
しかし、3月に学生の納付特例を受け付けた職員は、4月からの手続きを当然案内すべきだったでしょう。
4月に手続きが必要ですと言われたら、英子さんは手続きに行ったでしょう。

本人の責任とだけ言えるでしょうか。

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今月も厚生労働省へ社会保険審査会の公開審理を傍聴に行く予定です。
今度は24件予定されているということなので、しっかり学んでこなければ!

年金は難しいです。
もっともっと勉強しなければと思っています。

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