★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第282号 2011年11月28日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 年末は何かとあわただしくなります。 掃除も大変ですね。 昨年、はじめてプロに掃除を頼みました。 掃除にお金を出すということには、ちょっと抵抗があったのですが、やはり、プロはすごい! 新築のようにきれいになって大満足。 今年もお願いし、すでにきれいになりました。 その道のプロは、すごいですね。 さすがプロだねと言われる仕事をしなければならないと思います。 11月末にも社会保険審査会の公開審理の傍聴に行ってきました。 私も社会保険審査会の審査委員になってみたいと思いました。 さて、今日は死亡に関してのお話です。 …………………………………………………………………………………………… 第282号 遺族の要件 ★★★ 夫婦ってなんだろう? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 60歳の次郎さんは年の離れたお兄さんとふたりで暮らしていました。 あるとき、入国管理局(入管)の調査官が家にやってきて、お兄さんの部屋を調査しました。 次郎さんはびっくりしましたが、あとでわけを聞くと、次郎さんが知らない間にお兄さんは入籍していたのです。 妻となった人は家に来たこともありません。 相手は、外国籍の人。 偽装結婚による不法滞在の疑いで調査が入り、結局、彼女は強制送還されてしまいました。 こんな事件があった3年後、お兄さんは病気で亡くなりました。 次郎さんは年金事務所で、いっしょに暮していたお兄さんが死亡したので、お兄さんの未支給年金を請求できるという説明を聞きました。 お兄さんは月に20万円ほどの年金を受け取っていました。 次郎さんは年金事務所でお兄さんには戸籍上の配偶者がいるという説明もしました。 しかし、3年前に強制送還され、しかも、一度もいっしょに暮したことがないのであれば、次郎さんに権利があると言われました。 書類を提出し、次郎さんはお兄さんの未支給年金を受け取りました。 ところが、数か月後、未支給年金を返還するように連絡があったのです。 妻に権利があると言われました。 次郎さんはびっくりしました。 妻といっても、一度もいっしょに暮したことはありませんし、3年前に本国へ帰っています。 なぜ妻に権利があるのか、次郎さんにはわかりません。 ●年金はあと払い 年金はあと払いです。 たとえば、10月分、11月分の年金は12月15日に支給されます。 ●死亡した月まで 死亡した月の年金まで支給されます。 しかし、年金を支給するときにはすでに本に残ってしまった年金を「未支給年金」といいます。 ●未支給年金を受け取れる人 死亡当時に生計を同じくしていた人で、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹までが未支給年金を受け取れる遺族の範囲です。 受け取る順番も、この順番です。 ●夫が死亡したとき 妻がいれば、妻が未支給年金を受け取れます。 しかし、妻といっても、「生計を同じくしていた妻」です。 ●夫婦とは? 夫婦は通常同居し、お互いに協力しあって生活するものです。 別居は、単身赴任などのやむをえない場合です。 お互いに助け合って生活しているカップルを夫婦というのです。 生活を共にしていない、経済的な支援もないという場合は、夫婦の実態が認められません。 ●次郎さんの場合 次郎さんのお兄さんは、ずっと次郎さんとふたりで暮らしてきました。 入籍したあとも、妻といっしょに生活したことはありません。 しかも偽装結婚の疑いがあり、妻は強制送還されてしまいました。 これが真実であるなら、夫婦の実態があるとは、とうてい思えません。 ●妻が遺族年金を請求 ところが、次郎さんが知らない間に、妻が遺族厚生年金を請求し、受給していたのです。 そうなると、未支給年金も妻に権利があることになります。 だから、次郎さんに返還するように連絡があったのです。 ●妻の言い分 お兄さんの戸籍上の妻は、夫からお金が送られてきた、経済的な支援を受けていたので、夫婦としての実態があるということで遺族年金を請求しました。 また、それが認められたのです。 ●いったい何が真実なのか お兄さんが強制送還された戸籍上の妻に3回ほど送金していたのは事実でした。 しかし、それが何のお金であったのかは、今となってはわかりません。 そして、なんのために入籍したのかもわかりません。 ●夫婦としての実態 年金でいう夫婦は、戸籍上の夫婦であっても、夫婦としての実態がなければ夫婦とは認められません。 同居の事実があればよいのですが、それがない場合、非常にむずかしい話となります。 しかも本人が死亡しているので、ますますむずかしくなります。 …………………………………………………………………………………………… 同居していた弟が未支給年金を手続きするとき、死亡した人の関係書類を出しているので、戸籍上の妻がいることはわかっていました。
その上で弟に支給決定されたのです。 |