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知っておきたい年金のはなし    第284号 2012年1月5日発行

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あけましておめでとうございます。
昨年の震災で今もつらい思いをされている方がたくさんおられます。
おめでとうとは言えない気持ちで新しい年を迎えられた方もおられるでしょう。

今年をよい年にしていきたいという気持ちをこめて、みなさまに「おめでとう」の言葉をお送りします。

今年は、年金関係も大きく動くかもしれません。
いろいろな情報に目が離せなくなりそうです。
私たちにとって、不利益な制度にしないという意味で、注目していきたいと思っています。

年金確保支援法にかかわるご相談も増えてきています。
24年10月1日までにはスタートする予定ですが、今から準備しておくことが必要でしょう。

それでは、今日のお話をはじめます。

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第284号 年金確保支援法
★★★ 年金増額へのチャンスはある? ★★★
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美子さんはもうすぐ60歳です。

若いころに会社勤めをし、厚生年金加入期間が17年。
その後、国民年金に加入したりしなかったりで、今のところ、年金をもらうのに年数がたりません。

同い年の自営業の夫は、5年ほどの厚生年金加入期間があるだけで、あとは全部未納。
このままでは、夫婦そろって無年金になります。

さすがに、夫婦でまったく年金がないというのはつらいと美子さんは思います。
年金をもらえない美子さん夫婦にも国民年金の納付書が届いています。
今後、見込みがないのであれば、保険料を払いたくありません。
もし、年金を受け取れる見込みがあれば、過去の分を払っても年金を受け取りたいと思っています。

美子さんは、過去10年分の保険料を納付できるようになるという話を聞いたのですが、ほんとに年金をもらえるようになるのでしょうか。

●保険料納付の時効は2年

国民年金の保険料を納付できるのは2年間に限ります。
2年を過ぎると、保険料を納付することはできません。

●年金確保支援法の実施で

年金確保支援法が実施されても、時効が2年であることにかわりありません。
時効が10年に変更になると思っている人もあるようですが、そうではありません。
特例的に10年までさかのぼって納付できるということにすぎません。

●10年さかのぼる

法律の実施は来年の秋となるでしょう。(実施日は今のところ未定)
仮に10月1日にスタートすれば、その時点で10年以内に国民年金の未納期間があれば納付できるということです。

●美子さんはどうなる?

今年60歳になる美子さんは、過去10年以内に未納期間がありますので、その期間について納付できるということです。

●強制的に?

納付は希望者のみです。
希望する人は申し出て、納付額を計算してもらい、納付するということになります。

●保険料には加算あり

当時の保険料ではなく、加算がつきます。

●この制度にはどんな効果があるの?

美子さんのように、年金を受給できない人は、納付することによって受給できるようになります。
ただし、納付しても25年に満たない場合は、この制度で救済されません。

●65歳以上の人は要注意

65歳以上の人は特に注意が必要です。
65歳以降は、年金をもらう権利がない人でないと、納付できません。

●年金額を増やしたい人は

「年金はもらえるが、額が少ない、だから納付したい」という人もあるでしょう。
そういう人は、65歳になる前に納付しなければなりません。

●65歳に近い人

制度実施時に65歳がせまっている人は、早く決断し、実行しましょう。

●任意加入と合わせて考える

60歳以降、年数の不足は任意加入でも補えるわけです。
過去分の納付と任意加入を組み合わせることにとって、より有利になる場合もあります。

●美子さんはできるだけ早く納付する

美子さんは本来25年の期間を満たしていれば60歳から老齢厚生年金(2階の年金に該当する報酬比例部分)を受け取ることができたのです。
老齢基礎年金は65歳からですが、老齢厚生年金のことを考えると、できるだけ早く納付して、老齢厚生年金をもらったほうがお得です。
のんびりとはしていられません。

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仮に、20歳から40歳まで未納、40歳から50歳まで厚生年金加入、50歳から60歳まで未納という人がいたとしましょう。
このひとは60歳時点で10年の納付済期間しかありません。
このままでは任意加入しても年金はもらえませんが、新制度を利用すると年金をもらうことができるようになります。

50歳から60歳までの10年分を納付する、そして60歳から65歳まで任意加入する。
そうすれば、65歳から年金を受給することができるのです。
これも、迷っていると、65歳からの支給開始にまにあわなくなります。

特に年金の加入期間が不足する人は、今のうちに調べておきましょう。
この制度は3年間の時限制度であることにも注意してください。

ねんきん定期便が送付されるようになりましたが、それを読み取ることは意外に難しいのです。

年金相談に来られるお客様にはていねいに説明しますが、「そんなことには気がつかない」「わかるわけがない」と言われます。

そうなのです。どんどん記録を送っても、それだけではわからないのです。
国は苦労して作成しているのでしょうが・・・

年金確保支援法がスタートしたらなおさらです。

不足月数の確認、納付時期、ねんきん定期便に書かれていないカラ期間などの確認。
それらをていねいにみていかなければなりません。

過去の保険料を納付するにはまとまったお金も必要です。
最小限の納付で年金受給につなげる方法も検討しておかねばなりません。

そういった相談が増えてくるのかなと思っています。

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