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知っておきたい年金のはなし    第285号 2012年1月13日発行

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ファイナンシャルラーニング社のサイトで、社会保障コラムを担当させていただいています。
現在は、「年の差婚」を掲載中。
毎月、社会保障に関する話題を取り上げています。
むずかしい話ではありませんので、読んでみてくださいね。
http://www.flkk.co.jp/

さて、社会保障の充実が求められているのに、来年度は年金額が下がる見通しです。
まだ決まったことではないのですが、政府案のとおりでいくと、来年度は2度にわたって年金額が下がるかもしれません。
1年のうちに2回も年金額が下がるということですよ!

もともと年金額は多くありません。
それだけで暮らしていくのは、きびしいでしょう。

その金額が、また下がる!
ますます、年金不信につながりますね。
1月末には発表されると思いますので、このメルマガでもお知らせします。

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第285号 ねんきん定期便と厚生年金基金
★★★ 定期便から基金の記録を読み取ろう ★★★
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3月に60歳になる光彦さんのところへ年金請求書が送られてきました。
まもなく、年金を受け取るようになります。
「もう年金世代か」と、光彦さんは複雑な気持ちになります。

その光彦さんには理解できないことがあります。
どう考えても年金額が少ないのです。
でも、記録に間違いはありません。
途中で転職していますが、記録は正しいのです。

疑問を残しながらも、年金はこんなものかなと思っていました。
ところが、昨日、妻がこんなことを言いました。
「企業年金に加入していた人は企業年金からも年金を受け取れるんだって。あなたもそうではないの?」

光彦さんは確かに、昔、勤めていた会社で企業年金のことを聞いたことがあります。
しかし、それは昔の話で、すでにその企業は倒産しています。

どうやって調べたらよいのか、このまま年金の手続きをしてもよいものかどうか、光彦さんはわからなくなってきました。

●企業年金もいろいろ

一口で企業年金といっても、その種類はいろいろあります。
しかし、ねんきん定期便で確認できるのは、厚生年金基金のみ。
その他の企業年金は、企業などへ問い合わせるしか方法はありません。

●定期便でわかること

厚生年金基金については、ねんきん定期便をみるとわかります。
これまでの厚生年金加入記録をみてください。
初年度に届いた定期便で、すべての記録が書いてあるものを見てください。
直近1年分しか記載のないねんきん定期便ではわかりません。

●厚生年金基金加入期間がありますか

厚生年金基金加入期間は「いつからいつまで」と書いてあります。
そして、厚生年金加入月数の下にはかっこ書きで基金加入月数が書いてあります。
これも直近1年の定期便ではわかりませんので、ご注意ください。

●加入期間があれば

基金から年金を受け取れるということです。

●会社は倒産しているけれど大丈夫?

会社の倒産と厚生年金基金は別だと考えてください。
会社が倒産しても、資産は、企業年金連合会へ移管されて、お金は残っています。

●基金そのものが解散したのでは?

基金が解散しても、一時金で受け取っていなければ、お金は残っています。

●とにかく確認してみること

定期便に基金加入期間と記載があれば、企業年金連合会等に電話で問い合わせてみましょう。
住所変更などの手続きが必要であれば案内してもらえますし、年金請求の書類も送ってもらえます。

●手続きは2か所

厚生年金基金加入者の年金手続は2か所です。
厚生年金基金(企業年金連合会)と年金事務所。
基金への手続きは、年金手帳の写しや住民票などが必要ですので、あらかじめ、確認しておきましょう。
請求書とともに郵送すれば手続きは完了します。

●定期便の見込み額には入っていない

50歳以上の人の定期便に書いてある年金見込み額には基金からの年金は入っていません。
つまり、基金加入者は2か所へ手続きをしないと、損をしてしまうことになるのです。

●受給資格のない人

老齢厚生年金は、原則25年の加入期間等がなければ受け取ることができません。
仮に期間不足で国からの年金がもらえない人でも、基金からの年金は受け取れます。
あきらめている人もいるのではないでしょうか。

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厚生年金基金に加入していたことを知らないという人はとても多いです。
現在お勤めの会社で基金に加入している人は、会社からの案内もあるでしょうが、問題は、やめてしまった会社で基金に加入していた人です。

加入していた基金がなくなっていても、受け取れるお金は残っています。
年金記録に「基金加入期間」とあれば、必ず確認してみましょう。

年金相談にこられた方については、本人の気が付かない基金加入期間があれば、その場で基金に電話をして確認するようにしています。
確かに受け取れる年金額があるということを確認します。

基金の記録の間違いもあるもの。
ねんきん定期便に基金の加入期間があると書いてあるので、電話で確認したところ、基金加入記録はないと言われたことがあります。
会社の名前もわかっていし、定期便に書いてあるのに、答は「ない」です。

基金の記録か、国の記録か、いずれかが間違っているのです。
このままでは、不利益を受けます。
このケースは基金に調査依頼をかけることにしましたが、基金も含めると、記録間違いはまだまだあるでしょう。

また、基金については、知らなくて請求していない人も多いです。
今、一度確かめてみましょう。

その他の確定給付企業年金とか、確定拠出年金については、ねんきん定期便をみてもわかりません。

今後、本人もわからない年金が増えていくと、どんなことになっていくのか、心配です。

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