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知っておきたい年金のはなし    第286号 2012年2月1日発行

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家計管理の方法はいろいろあります。
家計簿をつけるといいのですが、家計簿は続かないという人も多いのではないでしょうか。

今、私はレシート仕分け法を試しています。
買い物をしたときに必ずレシートを受け取っておくのです。
レシートのないものはメモを作成しておきます。

1カ月経過したところで、そのレシートを仕分けするのです。
絶対に必要なもの、買わなくてもよかったもの、無駄なものと。
そうすると、買い物の傾向もわかります。
こんな簡単な家計管理からでもはじめてみませんか。

4月から年金額が下がります。
生活がらくになっているわけではありません。
年金額が下がるのは、年金生活者にとってはきびしい話です。

もともと十分な年金額ではないのです。
物価が下がると年金を下げるというしくみは、今に始まったことではなく、過去に改定された法律によるものです。

年金額が下がれば、もっときびしく、家計の仕分けをしなければなりませんよね。

今回は4月からの年金額についてお話します。

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第286号 年金額の改定
★★★ 物価が下がり、年金額も下がる ★★★
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3年前に夫が亡くなり、ふたりの子どもを育てている里子さん。
自営業の夫の死亡により遺族基礎年金を受け取っています。
子ども二人分で年間1,242,900円
もちろん、何もないよりはいいと思います。
しかし、これではやっていけません。

夫が生命保険に加入していたので、死亡保険金は受け取りました。それを取り崩して生活しています。
里子さんも働くようになりました。
しかし、これからの子どもの教育費などを考えると不安になります。
もし、死亡保険金がなければ、生活していけないところでした。

4月から年金額が下げると聞きましたが、こんなに大変なのに、遺族年金も下がるのですか。

●年金額の改定は複雑

物価が上がった場合、下がった場合など、改定にはルールがあって、とても複雑です。

●23年度消費者物価指数

23年の消費者物価指数はマイナス0.3%。
それにもとづいて、年金額が改定されます。

●4月からの老齢基礎年金

老齢基礎年金の満額は788,900円から786,500円となります。
障害基礎年金や遺族基礎年金などの年金額も下がります。

●遺族基礎年金

妻が受け取る遺族基礎年金は、
子どもひとりで1,015,900円から1,012,800円へ。
子どもふたりで1,242,900円から1,239,100円へ。
ふたりの場合、3800円下がります。
もともと少ない年金だから、少しのマイナスでもつらいですね。

●年金額の改定

厚生年金についても減額です。
加給年金額、振替加算など、全部下がります。

●下がらない年金額もある

付加年金、死亡一時金は物価スライド対象外なので、変更ありません。

●在職老齢年金の計算は?

今年は変更ありません。計算式は昨年と同様ですが、年金額が下がるので、受取り額は減りますね。

●10月から、また下がる?

法案が通ると、さらに10月から年金額が下がります。(予定)

●なぜ下げようとするの?

現在の年金額は、実際には本来水準より高いものが支給されています。
過去に物価が下がったときに年金額を下げなかったのです。
そのうちに、物価が上昇するだろうと予想されていたのですが、逆に下がっていまい、過去の水準を追い越すことができません。
そこで、その差を解消するために、さらに下げるというのです。

●今後、3年連続

一度に下げるのではなく、3年間にわたって下げるという法案です。

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年金額が改定になるたびに、日本年金機構のコンピュータもシステムを変更しなければなりません。
その経費がどのくらいかかっているのかわかりませんが、そういう話は見えてこないですね。

なにかといえば、年金財政がきびしい、このままでは破たんするというようなことが出されてきます。
しかし、それは不安をあおって、年金額を下げることと正当化しているように思えます。

家計だって見直しするのです。
年金財政にしても、支出を見直すべきです。

さらに重要なことは国のお金(税金)を何にどう使うかということです。
ほんとにお金がないのではなく、お金を社会保障に使いたくないのではないでしょうか。

年金というと老後の年金だけではありません。
里子さんのように、遺族年金を受給している人も、障害年金を受給している人います。
十分といえない年金額そのものを考えて直してほしいものです。

※参考までに(24年度価格)
加給年金額 226,300円 (子ども3人目から75,400円)
中高齢寡婦加算 589,900円
障害手当金 最低保障額 1,150,200円