★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第293号 2012年7月4日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 7月24日に「書斎りーぶる」さんの主催で、「ねんきん定期便がよくわかるセミナー」を開催します。 ねんきん定期便は届くけれどよくわからないという方も多いです。 福岡市での開催なので関係のない方には申し訳ありませんが、コーヒーとクッキーでくつろぎながら、きっと役に立つ話を聞いてみませんか。 詳細は書斎りーぶるさんのHPでどうぞ! http://www.shosai-livre.com/main/welcome.html さて、年金制度は複雑で、他の制度ともからんでくると、ますますすわからなくなってしまいます。 今回は、年金と傷病手当金についてのお話です。 …………………………………………………………………………………………… 第293号 老齢厚生年金と傷病手当金 ★★★ 退職後はどうなる? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 梅子さんは64歳。定年退職後、次の職場で働いてきましたが、病気になってしまいました。 治療のため休職。すでに10ヵ月にもなり、復帰できる見込みはありません。 働きたい気持ちはありましたが、このままでは職場にも迷惑をかけると思い、退職することになりました。 梅子さんにはわからないことがあります。 60歳で年金を受け取っていましたが、再就職後、年金は減額されています。 給料があるときは減額されてもしかたながないと納得していましたが、病気で休業し、給料がゼロになっても、年金は減額のままです。 傷病手当金をもらっているからでしょうか。 退職後は、年金は元の金額に復活しますか。傷病手当金を引き続き受け取ることはできますか。 また、失業するので雇用保険から何かもらえますか。 こんなふうに、梅子さんにはいろいろなことが心配になってきました。 ●梅子さんの年金 梅子さんの60歳から年金額は80万円、64歳から年金額が増えて150万円になりました。 梅子さんは昭和22年生まれなので、64歳から2階建の年金になります。 ●在職中は年金カット 梅子さんの年金は月に12.5万円。再就職後の給料は総支給で30万円。梅子さんは看護師です。 再就職後、受け取れる年金は月に5.25万円でした。 ●病気休職中の年金 年金の支給額はかわらず5.25万円。 給料はゼロですが、減額はかわりません。 ●減額のまま? 年金の支給額は、実際支給されている給料をもとにして計算しているのではなく、定められた基準額(標準報酬月額)で年金額は計算されます。 休業したからといって、基準額が下がるわけではありませんので、年金額は変わりません。 ●傷病手当金 病気休業中は健康保険から傷病手当金が休業保障として支給されます。 梅子さんの場合、30万円の給料(標準報酬月額)ですので、3分の2が支給されます。1月約20万円です。(実際には日数で計算しますが、ここではわかりやすくするために月額としています) ●これまでの梅子さんの収入 年金5.25万円、傷病手当金20万円で生活をしてきたわけです。 ●退職後 傷病手当金と年金は両方全部もらえません。 老齢厚生年金を受け取れる場合は、傷病手当金は打ち切りです。 ただし、老齢厚生年金が傷病手当金より少ないときは、その差額が支給されます。 つまり年金の月額が12.5万円ですので、傷病手当金は差額のみ支給となり、結局、月に入ってくるお金は20万円ということです。 ●退職すれば受け取り額が下がるの? そうです。在職中、年金と傷病手当金は調整されませんが、退職後は調整されます。受け取り額でいうと、梅子さんは在職し続けるほうがよいということになります。 ●支払う保険料 在職を続けると、梅子さんは30万円の給料に対する健康保険料や厚生年金保険料を負担しなければなりません。 退職すると、年金の保険料は必要ありませんから、健康保険のみ。 昨年休職し、所得が少なくなっていますので、国民健康保険に切り替えたほうが保険料は安いかもしれません。 ●退職後の負担は軽くなる 梅子さんは退職する方が保険料の負担といった点では軽くなるでしょう。 ●雇用保険はどうなる? 病気で退職する梅子さんは、退職後、すぐに雇用保険の失業給付は受け取れません。 傷病手当金を受けているということは、働けないということです。 働けない人には、失業給付は支給されません。 働けるという診断書がない限り、受け取れませんが、とりあえず、ハローワークで延長申請をしておきましょう。 …………………………………………………………………………………………… 退職か、このまま休職を続けか、いずれが有利なのか、それは入ってくるお金、出ていくお金を計算しなければなりません。 ただ、復職の見込みのない人を会社はいつまでも雇用できませんので、退職もしかたがないことでしょう。 梅子さんがこのような制度を理解した上で、納得した上で、選択できればいいですね。 会社としては梅子さんのような人が退職する場合、年金はどうなるのか、傷病手当金はどうなるか、しっかり伝えてあげてほしいと思います。 あとでトラブルになるかもしれませんから。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●ねんきん定期便がよくわかるセミナー 7月24日(火) 19:00〜20:30 福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて お仕事帰りにお立ち寄りください。 自分自身のねんきん定期便の読み方がわかります。 年金額を誤解している方は、とても多いのですよ。一度確認してみませんか。 参加費は500円(コーヒー&クッキー付き) 連絡先092-713-1001 ●アサヒSR年金研究会からのお知らせ アサヒSR年金研究会は大阪の社会保険労務士である小林賢介氏主催の年金研究会です。 福岡開催 7月29日(日)(会場は福岡市中央市民センター) テーマは「年金問題について国民はどこまで理解しているのか?」 今回は、社労士ばかりではなく、FPの方にもおすすめです。 http://www.asahi-sr.com/ |