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知っておきたい年金のはなし    第296号 2012年10月17日発行

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国民年金保険料の後納制度がスタートしました。
3年間の間に納めればよいと、のんびり考えている方はおられませんか?

しかし、のんびりしていられない人もいます。
平成14年10月分の未納については、今月中に納めないと期限がきてしまいます。

該当者にはお知らせが届けられています。
後納制度に関するご相談も増えてきていますが、まだまだ制度そのものが理解されていません。

さて、過去の未納期間をどうするか、いろいろな角度から考えてみる必要がありそうです。
後納は強制ではありませんが、強制ではないだけに、むずかしいのです。

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第296号 後納制度スタート
★★★ 保険料を納める? 納めない? ★★★
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59歳の良子さんはこれまで自営業や会社勤めで暮らしを立ててきました。
結婚はしていません。

3年前まで会社勤めをしていました。退職する少し前に届いたねんきん定期便には、年金額が書かれていませんでした。
年金事務所で調べましたが、年金を受給するのに必要な期間が不足していると言われました。

そして、会社を辞めました。
国民年金の保険料は払えない状態でしたので、何の手続きもしませんでした。
ここ3年間、納付書が届くこともありませんでしたし、ねんきん定期便も送られてきません。

60歳を前に、老後は少しでも年金をもらいたいと思いますが、過去の未納などがあり、このままでは無理でしょう。

過去の保険料を納付できるようになったと聞きましたが、どのようにするのがよいのでしょうか。

●未納と未加入

良子さんは59歳。定期便も来ない、納付書も届かないという状況です。
国民年金は「未加入」となっています。

●未加入ってあり?

日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金に強制加入となります。
未加入ということはありえないのですが、実際に良子さんのように「未加入」となっていて、納付書も届かないというケースがあります。

●加入しなくてもいいと思うよね

届いたねんきん定期便に「未加入」と書いてある人もいます。
それをみて、加入しなくてもいいのだ、保険料を払わなくてもいいのだと思ってしまう人もいます。

●良子さんはどうすればいい?

良子さんは平成21年以降、未加入となっています。
今、できることは、収入がないのなら、保険料免除を申請すること。
免除期間のサイクルは7月から翌年の6月までなので、今申請をして認められれば、今年の7月以降は免除期間となります。

●納付義務は消えない

7月から免除となったとしても、過去2年のうち、免除となっていない月については、保険料の納付義務が残ります。

●2年以上前の未納分は?

2年を超える期間については、保険料を納付できません。
ただし、今月から過去10年以内の未納期間について保険料を納付できる後納制度がスタートしました。

●後納制度を利用する

良子さんは後納制度を利用することができます。
そうすれば、会社を辞めたあとの未納期間を埋めることができます。

●それでも足りない

良子さんの場合は、それでも6ヵ月、月数が不足します。
60歳以降任意加入すれば、6ヵ月納付したところで、年金の受給権が発生します。
最短で60歳と半年で年金がもらえることになります。

●後納制度にはお金がいる

過去の分を計算してみると、50万円程度のお金が必要です。
そして、なおかつ、任意加入。
無職の良子さんには、大変なお金です。
現在は、お母さんの世話をしながら、お母さんが受け取っている遺族年金で生活しています。

●年金はほしいが、お金はない

年金はほしいし、後納制度も利用したいが、お金がないのです。
もともと、お金があるのに保険料を払わなかった人と、お金がないので保険料を払えなかった人がいます。
お金がない人は免除制度を利用すればよかったのですが、それすら、知らない人がいるのです。

●良子さんは救済されない?

後納制度や任意加入制度を利用せずに救済される方法があります。
平成27年10月より、受給資格期間10年で年金を受け取れるようになります。
平成27年というと、良子さんは62歳になっていますが、ここまで待って、年金を受け取るというのも方法です。

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お金を借りてでも後納制度を利用するのがよいか、それとも、平成27年10月を待って、年金を受け取るか。
(後者を選択する場合は、少なくとも10年の受給資格期間がないと年金はもらえませんのでご注意ください)

良子さんは法改正のおかげで、今後まったく年金を受け取れないということはありません。
後納制度を利用して任意加入して、受け取るのがベスト。
しかし、そのお金がないというのであれば、27年10月まで待つのも方法です。

年金額についても考えてみましょう。
後納することにより年金額は増えます。

さて、どうするか。難しい問題です。

いずれにしても、未加入はよいことではありませんが、本人だけの問題とも言えないですね。
「未加入」という状態を作るのが、問題です。

たいだい、日本に住んでいて「未加入」はおかしいです。
国にも責任があると思います。

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■□■ お知らせ ■□■

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