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知っておきたい年金のはなし    第299号 2012年11月27日発行

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国民年金改正法(年金減額法)が成立しました。

11月16日午前の参院本会議で、年金支給額を2013年10月から3段階で減額する改正国民年金法が可決、成立となりました。

国会解散前に駆け込みで成立させるのは、ちょっといただけません。
その上、年金が減額になることは、ニュースや新聞で大きく取り上げられていません。
「いつのまに?」と思うくらいです。

今ここで年金減額法が成立したことを取り上げると、選挙に影響すると考えたからでしょうか。

年金減額については賛否両論あり、早く減額すべきだったという意見もあります。
でも、よいことであれば堂々とお知らせしていいですね。
後ろめたさがあるから大きな声で言えないのではと勘ぐってしまいます。

さて、なぜこのように年金が減額されるのかをお話しましょう。

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第299号 年金減額法成立
★★★ 今の年金は払い過ぎ? ★★★
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信彦さんは年金減額法が成立したことを、ネットのニュースで知りました。
もう少し詳しく知りたいと思いましたが、新聞をみてもよくわかりません。

なんでも、今は年金を払い過ぎているとか。

信彦さんは67歳です。
学校を出て就職し、長い間働いてきました。
定年後も継続して65歳まで働きました。

年金は現在月に20万円足らずです。
そこから住民税や国民健康保険料、介護保険料を引かれるので、実際に振り込まれる額はもっと少ないです。

実際には15万円程度で暮らしをたてていくのですが、病気がちな妻の医療費もかかるし、信彦さんのお母さんの生活費を補てんしているので、ぎりぎりです。

貯蓄はありますが、この先、住宅改修費や医療費も必要ですし、何か起こるかわからない老後のために、全部使ってしまうわけにはいきません。

それでも信彦さんは年金が多い方でしょう。
信彦さんが同窓会にいくと、友達はもっと少ない年金でふうふう言いながら暮らしています。

「年金が払いすぎ」と聞きましたが、信彦さんは冗談じゃないと思います。

では、なぜ、年金を減額するのでしょうか。

●毎年の年金額はどうして決める?

年金は物価などに連動して上げたり下げりするようになっています。
毎年4月が改定時期です。

●物価が下がっても年金を下げなかったことがある

かつて、物価が下がったのに、年金を下げなかったことがありました。
当時、物価が下がったといって年金を下げるのは影響が大きいと考えたのです。
実際に下げた時の年金額と、下げなかった年金額は1.7%の開きがありました。

●景気の低迷で

その年金額の差は、物価が上昇していけば、解消していくはずでした。
ところが景気が低迷し、その読みがはずれました。
物価は下がり、年金額の差は、追いつくどころが開いていくばかり。

●差額を解消するために

そこで、年金の差額を解消しようと、年金減額法の提案となったのです。

●3段階で差額を解消

平成25年10月に1%、26年月に1%、27年4月に0.5%と下げるという内容になっています。
本来は、24年の10月から実施する予定でしたが、国会で継続審議となっていました。

●実際にはもっと下がるかも!

しかし、実際にはこれ以上に下がるでしょう。
平成24年度の物価指数しだいですが、来年4月に年金額が下がる可能性があります。
詳細は1月に発表されますが、おそらく下がるのではないでしょうか。

●来年度は4月と10月年金額改定

物価下落となれば、4月に年金額が下がり、また10月に年金額が下がります。

●手取りはさらに減る

年金だけではありません。
来年からは復興増税分、税金の負担が増えます。
つまり、手取りが減ることになります。

もちろん、復興のためにお金は必要ですので、それを否定するものではありませんが、もともと苦しい生活をしている人にはきびしい話です。
こんなふうに、年金生活者に入ってくるお金は減っていきます。

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年金はほんとうに払い過ぎなのでしょうか。

払い過ぎとは、本来の年金水準と、現在の年金水準を比較しているにすぎません。
もし、現在の年金水準を本来の年金水準に改定してしまうのなら、「払い過ぎ」ということは起こりえません。

もともと、今の年金水準は生活するに充分な水準ではありません。

現在の「特例水準」を「本来水準」に変更することもできるのです。
法律とは、手順を踏めば、どのように変更することも可能です。
しようとするか、しようとしないかの違いではないでしょうか。

年金水準を下げないと年金財政が破たんするというのはとほんとうでしょうか。
年金の水準を上げることが必要なのではないかと思います。

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