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知っておきたい年金のはなし    第300号 2012年11月27日発行

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知っておきたい年金のはなしも300号をむかえました。
読者のみなさま、ありがとうございます。

最近は月に1、2回のペースになっていますが、これからも続けています。

さて、今日は300号ということで、いつもと違う内容でお届けします。

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第300号 アニマル星 コブタ王国の話
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「アニマル星」にはいくつかの国があり、アニマル星人たちが穏やかに暮らしていました。
「コブタ王国」はアニマル星の中でも温暖な位置にあり、人々は平和に暮らしていました。

コブタ王国では、豊かな土地で農作物をたくさん作っています。
ただ、海のない国なので、隣のコリス王国から海の幸を買い入れ、産業の発展したキリン国から、工業製品を買い入れています。

コブタ王国の王様は、代々、庶民の暮らしを大切に考えてきました。
王様といっても、質素な暮らしをして、国の平和と庶民の暮らしぶりを第一にしてきました。

コブタ王国では高齢者を大切にしているので、家族が支えきれないときは、国が支えてくれます。だから、人々はいつまでも安心して暮らせるのでした。
コブタ王国の人々は幸せに暮らしてきましたが、長寿が進み、だんだんと高齢者が増えていきました。

世の中の発展にともない、コブタ王国の財政は少しずつ苦しくなってきました。
もともと農業を中心とした国だったので、他国からいろいろな必需品を買い入れなければなりません。
コブタ王国も農業に変わる産業を発展させていかねばならなくなってきました。

現在の王様は、病気で亡くなった父の後を継いで王様になりましたが、ひとりの弟がいます。
弟は、兄より自分の方が優秀だと思っていました。
弟は自分が王様になれないことに不満をいただいていましたが、これまでは兄の王様を助けてきました。

あるとき、弟が王様に意見を言いました。
「王様、コブタ王国の財政はだんだんときびしくなってきています。工業や商業を発展させるために、さらなる投資が必要です」

「政策は取っているではないか」と王様が言います。

「これでは不十分です。もっと投資が必要です。それに高齢者が増えて、その生活保障のために財政がきびしくなっています」

「しかし、彼らはこの国に尽くしてきたのだから、国が守っていかねればならない。代々の王様もそうしてきたではないか」

「王様、それでは財政が破たんします。これは他国でも取り入れている制度ですが、若いものがお金を出し合って、高齢者を支える制度を作ってはいかがですか。
もともと子どもが親の面倒をみるとなれば、子どもが費用を負担するのです。その費用をまとめて、子どものいる人もいない人も支えあうようにすればいかがでしょうか。
もちろん、国民まかせではありません。国がその制度を維持していくお金を出します」

「う〜ん」と王様は考えました。

国民がお金を出し合って支えあう制度であれば、国の負担も減り、産業の発展などにお金をまわせると思い、この助け合い制度を実施することにしました。

そして数年がたちました。
その間に、王様が亡くなりました。
王様の跡継ぎはまだ幼かったので、弟が王様になりました。

新しい王様は、前の王様とは違った人でした。
コブタ王国を強い国にしようと、産業の発展にも力を入れましたが、隣の強国であるライオン王国に負けないように軍備も増強しました。

代々の王様は質素な暮らしをするものとなっていましたが、外交上必要だといって、立派な宮殿を建てました。

王様はコブタ王国の産業の発展に力を入れたのですが、もともと農業国だったので、遅れたスタートです。他国との競争も激しくなって、ますます財政が厳しくなってきました。
物価も上がってきました。
その上、天候が悪く、農作物にも大きいな被害を受けました。

これまで幸せに暮らしてきたコブタ王国の人々は訴えます。
「王様、お考えください。私たちは暮らしていけません」

王様は福祉的な政策を見直し始めました。
高齢者の生活は国の財政とたすけあいの制度で守っていましたが、財政が苦しくなって中で、これまでのようにお金を出せません。

人々の生活も苦しくなり、とりわけ働けない高齢者の生活は苦しくなってきました。
「これでは生活できません。手立てを講じてください」という訴えもひっきりなしにやってきます。

高齢者の訴えに、「それでは若者が出すお金を増やしたらよいではないか」と王様は考えました。

しかし、これには若者が反対しました。
「これ以上、高齢者のためにお金は出せません。私たちだって苦しいのです」

王様も思いました。
「国はこれ以上、高齢者のためにお金は出せない」
でも、これは言いませんでした。

このあと、高齢者と若者は、お金の配分をめぐって争いを始めました。
高齢者は生活できるだけの配分を求めましたが、若者は、お金は渡せないと言います。

前の王様につかえてきた長老が、
「王様、宮殿で使うお金を節約し、戦争の準備をやめて、そのお金をまわせば、少しは解決できるのではないでしょうか。争いはなくなるのではありませんか。」

王様はそれに激怒しました。
「宮殿での費用は外交のために必要なのだ。軍備も必要だ。ライオン王国が攻めてくればどうするのだ。軍備を増強しておくことによって、力の強いライオン王国をけん制しているのだ」

その後も王様はその政策を続け、コブタ王国の国民の間で争いが絶えませんでした。
隣のコリス王国ともだんだん仲が悪くなりました。

そして、その隙に、ライオン王国が攻めてきました‥・

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前回のメルマガで、年金減額法について書きました。
特例水準の解消のために、これから3回にわたって年金額を減額していくという法律が通ったという内容です。

この特例水準の解消については、いろいろな意見があります。
年金財政が破たんするので、年金を減額すべきという意見はよく聞きます。

私は、普通の生活をしていくのに年金額は充分ではない、その年金を減額すればもっと困るという趣旨で書きました。

ある方から、ご意見をいただきました。
年金の財政を検証せずに、年金減額を批判するのはいただけないというご意見でした。

私は国家財政の専門家ではありません。
年金財政を詳細に検証したわけでもありません。また、すぐにできることではありません。

私が言いたいことは、コブタ王国の高齢者と若者のように、同じ「パイ」をめぐって争っていても解決しないということです。
それこそ、国民のことを考えない王様の思うつぼなのです。

給付と負担をいう前に、国は何にお金を使うのか、その姿勢が問われるということを言いたかったのです。
その結果、給付が少なくなることも、負担が多くなることもあるでしょうけれど。

お断り
コブタ王国の話は、私の作り話です。
ふざけた話と感じられる方がおられるかもしれませんが、まじめに考えた作り話です。
ちょっと、韓国ドラマの見すぎという感じはしますが・・・
次回より、通常のメルマガに戻します。

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