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知っておきたい年金のはなし    第301号 2013年1月4日発行

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あけましておめでとうございます。
今年も、知っておきたい年金のはなしをよろしくお願いします。

年金制度も改正が続きます。
新しい情報はその都度お届けしますが、基本を振り返りながら、お話していきたいと思っています。

今回は、扶養に関するお話です。
年末調整や確定申告の時期になると、よく質問を受けます。

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第301号 遺族年金を受給する母
★★★ 扶養と言えども、いろいろ ★★★
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59歳の里子さん、一昨年夫を亡くしました。夫のいない二度目のお正月でした。

夫は公務員でした。
専業主婦である里子さんは遺族共済年金を受け取ることになりました。
年金額は135万円。
遺族年金としては多い方だと言われました。65歳まで、おおよそこの水準です。

現在、里子さんは30歳の息子といっしょに暮らしています。
会社員である息子は、今回の年末調整で、母親である里子さんを扶養家族として申告しました。
そのため、税金の戻りが多かったと息子は言っていました。

里子さんは、健康保険も息子の扶養に入りたいと考えていましたが、それはできないと言われました。

そのあと、所得税の扶養家族にはなれるとわかって、年末調整前に届出をしたと息子は言っていますが、なぜ、健康保険の扶養家族になれないのか、里子さんは不思議でなりません。

息子にたずねてもわかりません。
現在、国民健康保険料を負担しているので、息子の健康保険の扶養家族になれるとありがたいと里子さんは思うのですが・・・

●遺族年金は非課税

老後の年金は、所得税の対象になりますが、遺族年金は非課税です。
どれだけ遺族年金を受け取っても、税金はかからないということです。

●所得はゼロ

遺族年金を受け取っても、里子さんの所得はゼロ。
だから、同居している息子が、里子さんを扶養家族として申告できるのです。
58歳の母親であれば扶養控除は38万円。
息子の所得から38万円が差し引かれて所得税が計算されます。

●税金と社会保険の違い

健康保険の扶養家族になれるかなれないかは、収入によって判断します
収入とは、「入ってくるお金」と考えるといいでしょう。
課税であろうと、非課税であろうと、入ってくるお金(臨時の収入は対象外)で判断します。

●遺族年金も収入

遺族年金は定期的な収入です。

●130万円未満が要件

健康保険の扶養として認定されるには、収入が130万円未満という条件があります。
遺族年金額が130万円未満であればよいのですが、130万円以上であれば、扶養家族として認定されません。

●130万円の壁

里子さんの遺族年金は年間135万円と、わずかですが、130万円の壁を超えていますので、息子の健康保険の扶養家族にはなれません

●60歳以降

59歳の里子さんは扶養家族として認められませんが、60歳になればOKです。
健康保険の扶養家族としての収入要件は、60歳以上は180万円未満となるのです。
このまま息子といっしょに暮らし、60歳になれば、あらためて、手続きしましょう。
認定されるはずです。

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健康保険の扶養家族として認定されなかったので、所得税の扶養控除も受けられないとあきらめている人もいるのでは?

健康保険の扶養家族として認定されない場合であっても、里子さんのようなケースでは、所得税の扶養控除を受けられます。

思い込み、あきらめで、損をすることもあります。
気になった方は再度確認してください。

税金と社会保険では、考え方が違うのです。

※ 収入130万円(180万円)未満で、被保険者の年収の2分の1未満あるときに、健康保険の扶養家族として認定されます。詳細は個々のケースでご確認ください。

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■□■ お知らせ ■□■

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今年も月1回開催をめざします。
今回は「ねんきん定期便の見方」
何度聞いても新しい発見があるかもしれません。
ねんきん定期便の「節目年齢」が変更になります。新しい情報もお届けします。
このセミナ−は、一度だけ参加されても大丈夫です。連続ではありませんので、お時間のあうとき、興味のあるテーマのときに、ご参加ください。

1月15日(火) 19:00〜20:30 お仕事帰りにお立ち寄りください。
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