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知っておきたい年金のはなし    第302号 2013年1月14日発行

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今年も福岡の「書斎りーぶる」さんで「ワンコイン年金セミナー」を開催します。
気軽に年金の話を聞いていただきたいと、参加しやすいセミナーをめざしていますので、お近くの方はどうぞお越しください。

遠方の方には申し訳ありません。
有料ですが、セミナーのご依頼は、全国対応しています。

さて、年金記録問題はまだまだ続いています。
本人が気づかない記録が残っているのです。

「みつかっても金額はわずかでしょう、大変そうだからいいですよ」
と言われる方もいます。

確かに、毎年の年金額はわずかであっても、年金は一生続きます。
長生きすれば大きなお金になることもあります。

今日は期待以上に年金額が増えたというお話です。

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第302号 65歳からの老齢厚生年金
★★★ 3ヵ月の年金額がなぜ多い? ★★★
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五郎さんは19歳からずっと同じ職場で働いてきました。
59歳で病気をして、定年より少し早く退職しました。

五郎さんは共済年金に加入していたので、60歳から退職共済年金を受け取りました。
元の職場の人事課へ問い合わせたところ、担当者が親切で、共済年金の手続きまでしてくれました。

五郎さんは言われたことをしただけでした。共済年金だけだったので、安心して年金の手続きをすませました。

ところが、65歳になる直前、年金の請求用紙(老齢基礎年金)が送られてきました。
もう年金の手続きはしなくてよいものと思っていた五郎さんは、なんだか難しそうに思えて困ってしまい、年金相談に行きました。

そこで、五郎さんは、共済年金以外に厚生年金の加入期間があることがわかったのです。
3ヵ月ですが、アルバイトをしていたのです。
アルバイトだから、関係ないと思っていたのですが、厚生年金に加入していたいのです。

「年金額なんてたいしたことはないでしょう」
五郎さんは、年金額には期待していなかったのですが、3ヶ月分の年金は、思った以上に多かったのです。

●厚生年金加入期間はどうなる?

60歳から退職共済年金を受給している人に厚生年金加入期間がみつかると、60歳からさかのぼって年金をもらえるのでしょうか。

●厚生年金加入期間1年以上

厚生年金の加入期間が1年以上あれば、五郎さんは60歳から老齢厚生年金を受け取ることができました。5年の時効が来る前に、いそいで手続きする必要があります。

●厚生年金加入期間1年未満

ところが、五郎さんの記録は3ヵ月です。
厚生年金の加入期間が1年未満の人は、65歳からの受給となります。

●特別支給の老齢厚生年金

60歳代前半に支給される老齢厚生年金は「特別支給」であって、厚生年金加入期間が1年以上という条件付きです。
1年未満の人は生年月日にかかわらず、65歳からとなります。

●65歳からの3ヶ月分の厚生年金は?

五郎さんの老齢厚生年金(報酬比例部分)は当時の給料(標準報酬月額)を今の水準に置き換えたのちに、年金額を計算します。
報酬比例部分は2900円ほどでした。
年間2900円です。1ヵ月あたり240円ほど年金が増えるという計算になります。

●ところが合計は7800円

ところが、老齢厚生年金の合計額は7800円となっていました。
3ヶ月分の年金が7800円です。
「これほど増えるのですか」と、五郎さんもびっくり。

●年金が増えるわけは?

それは今回みつかった厚生年金の加入期間が20歳前の加入期間だったからです。
20歳前、60歳以降の厚生年金加入期間は老齢基礎年金には反映されません。
老齢基礎年金としてもらえない分、「経過的加算」として老齢厚生年金に加えてあげようというのです。

●経過的加算がものをいった

五郎さんの年金額が思った以上に多かったのは、この経過的加算があったからです。

●20歳未満だから?

そうです。
経過的加算の話は複雑になるので省略しますが、五郎さんの3ヶ月分の厚生年金加入期間は、1階の年金(経過的加算)と2階の年金(報酬比例部分)、両方につながったと考えるとわかりやすいかと思います。

●20歳以上であれば?

20歳以上であれば、老齢厚生年金はたいしたことはないですが、老齢基礎年金としてカウントされますので、結果として年金額は増えます。

●なんだかむずかしいですね

五郎さんの場合は、共済年金と国民年金で20歳から60歳まで480月加入していますので、今回みつかった20歳未満の厚生年金加入期間は、2階だけではなく1階の年金を追加するような形で増えたのです。

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3ヵ月だから年金は100円か、200円くらい増えればよいだろうと、五郎さんは思っていました。
しかし、年金額を聞いてびっくり。

共済年金受給者で、20歳未満の厚生年金加入期間がみつかったというケースだったので、思った以上に多かったということでした。

要するに、自分の思い込みは大きな間違いとなることもあるということを伝えたいのです。
正確に計算してみないと、わかりません。

五郎さんのように、年金額が増えるケースもありますので、年金記録の数ヶ月ぐらい、たいしたことはないだろうと考えずに、調べてみてください。
まだまた、統合されていない、持ち主のわからない年金はありますよ。
あなたのものかもしれません。

よくわからない場合は、年金相談をご利用ください。

※ 経過的加算の説明はむずかしくなってしまうので、かなり省略しています。ご了承ください。

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■□■ お知らせ ■□■

●書斎りーぶる主催 ワンコイン年金セミナー

今回は「ねんきん定期便の見方」
何度聞いても新しい発見があるかもしれません。
ねんきん定期便の「節目年齢」が変更になります。新しい情報もお届けします。
セミナ−は、連続ではありませんので、一度だけ参加されても大丈夫です。
お時間のあうとき、興味のあるテーマのときに、ご参加ください。
1月15日(火) 19:00〜20:30 お仕事帰りにお立ち寄りください。
福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて 参加費500円(コーヒーとクッキー付き)

●アサヒSR年金研究会からのお知らせ

3月3日(日)13:00より 福岡市中央市民センターで開催します。
大阪の社会保険労務士 小林賢介先生が主催される年金研究会です。
「平成24年年金改正(平成25年〜28年に施行される20項目)」
今後の法改正についてまとめて学びたい方におすすめです。

会員の方は無料です。
会員外の方も参加できますが、有料となりますので、お問い合わせください。
アサヒSR年金研究会 http://www.asahi-sr.com/