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知っておきたい年金のはなし    第307号 2013年4月15日発行

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年金制度は複雑怪奇な世界です。
100%理解できる人はいないと思います。私も100%は理解できていません。

落とし穴にはまることもあります。
勘違いして損をすることもあります。

そんな年金制度を知ってもらおうと、「年金ミステリー劇場」と題するセミナーを開催します。
こんなテレビ番組があってもいいかもしれませんね。

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第307号 社会保険料と在職老齢年金
★★★ 給料が多いと損? ★★★
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敏夫さんは商品を販売する営業の仕事をしています。
給料は基本給と歩合給で、売上げが上がると給料も増えるしくみです。
敏夫さんがこれまで仕事を続けてこられたのも、コンスタントに売上げを上げてきたからです。

昨年60歳になりました。定年はありますが、特に条件の変更もなく、引き続き働いています。

年金の手続きをしました。
年金額が振り込まれると、ねんきん定期便で確認していた年金額ではなくて、大幅にカットされていることに気がつき、びっくり!
年金事務所では、今の給料が続くなら全額は受け取れないと説明されました。

一足先に60歳になった同僚の中には、4月から6月は、あまり売上げを上げないほうがいいという人もいて、いったい年金とはどうなっているのだろうと思います。
ほんとうに売上げを上げないほうがいいのでしょうか。

●標準報酬月額

標準報酬月額とは、社会保険料の計算をするときや年金額などを計算するときの、基準となる給料なのです。
社会保険上の仮の給料と考えてください。
実際に支給された給料ではありません。

●毎年1回見直す

標準報酬月額は毎年1回見直すことになっています。
給料にも変動があるから、いつまでも同じ基準を使い続けるわけにはいきませんよね。
だから、原則として毎年1回です。(大幅な変動があったときは随時です。)

●その決め方

4月、5月、6月に支給された給料の平均で、9月からの標準報酬月額を決めます。
実際に支給された月ですので注意してください。
3月分の給料を4月に支給されるのであれば、3月分の給料から3カ月分ということです。

●社会保険料

3か月の平均が低ければ9月からの保険料も下がります。

●在職老齢年金

働きながら年金を受け取っている人は、標準報酬月額が下がれば年金受取額も増えます。
4月から受け取る3カ月分の給料が、その年の9月から翌年8月までの保険料や年金額を決定するのです。
9月から標準報酬月額が下がれば、9月分の年金額が改定され、受取年金額も増額します。

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敏夫さんは売上げに応じた給料を受け取っています。
給料が変動することも多いです。
もし、この3カ月の給料が下がったら年金受取額が多くなる可能性もあります。

たとえば、この3カ月を調整して、あとの月で売上げをあげて挽回すれば、結果として年収は同じとなり、社会保険料は減り、年金額は増えるということになります。
得をするように思えますね。

しかし、敏夫さんが勤務する会社の立場で考えるとどうでしょうか。
営業を担当する全社員が保険料のために、そんな働き方をすれば困るでしょうし、また、そう都合よくいくとは限りません。

コンスタントに営業をしていて、はじめて売上げも上がるものだと思います。
契約をしたいというお客様に、社会保険料のために、ちょっと待ってください、来月にしてくださいとは言えませんよね。

デメリットもあります。
標準報酬月額が下がるということは、年金額や健康保険からの給付も減るということです。
もし、病気になって会社を休むようなことになったら、傷病手当金をもらえますが、傷病手当金は標準報酬月額が多いほど、給付額も多くなるのです。

標準報酬月額が下がる9月に病気で1ヵ月入院したという場合は、低い標準報酬による給付金です。

どこで何が起こるかわかりませんし、100%お得になるということはありません。
自分が何をどう選択するかということですね。

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■□■ お知らせ ■□■
●ファイナンシャルラーニング社にてコラム掲載中
「専門家でつなぐ介護コラム」で介護保険とお金の分野を担当しています。
http://www.flkk.co.jp/

●FP専門家ネットワーク「マイアドバイザー」にてコラム掲載中
「ライフプラン別コラム」女性と社会保険を担当しています。
http://www.my-adviser.jp/column/index_cat.php?cat=5

●書斎りーぶる主催 ワンコイン年金セミナー
福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて 参加費500円(コーヒーとクッキー付き)
今回は「火曜 年金ミステリー劇場」
複雑怪奇な年金制度。ミステリアスなこともたくさんあります。年金制度の真実に迫ります。
ワンコイン年金セミナ−は今回が最終回です。
5月以降は「くらしとお金カフェ」が始まります。第3月曜日を予定しています。

●エフピー研究所 継続教育研修 福岡にて開催します
5月25日(土)10時〜16時 講師は菅野美和子です。
「5時間でわかる公的年金」2013年改正ポイント徹底分析編
研修というより、「知識の仕入れ」です。

最近(2012年〜2013年)の法改正、実施予定(2016年まで)の法改正について、成立した4法案を中心にお話します。年金空白世代への対応についても解説します。
この機会に年金改正点をマスターしましょう。
http://www.kyoukara.jp/school/detail.php?id=51
FPの継続教育研修(5単位取得)ですが、どなたでも参加できます。