★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第308号 2013年5月7日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。 いつもと変わらず仕事という方もたくさんおられたでしょう。 私もそうでした。 さて、先日、ご相談を受けていた障害年金の手続きをすませました。 いろいろと時間がかかりました。 障害年金は複雑なことが多いです。 手続きにも時間がかかります。 これでは、あきらめてしまう人もいるだろうと思います。無理もありません。 ただし、障害年金の請求にはコツがあります。 …………………………………………………………………………………………… 第308号 障害年金の要件 ★★★ 初診日はいつ? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 直美さんは夫の病気のことが心配です。 直美さんの夫は、3年前に、うつ病と診断され、休職や復職を繰り返しましたが、1年前に会社を退職しました。 その後、治療を続けて、再就職できましたが、再就職先で人間関係がうまくいかず、病気が悪化しました。 結局、仕事は続けられず、自宅療養とありました。 そして、だんだんと病状が悪くなり、今は入院しています。 これからも治療に専念しなければなりません。 直美さん夫婦はふたり暮らしです。子どもは独立し、家のローンも終わっていますが、これから先も、夫が働けないとなると、経済的に苦しくなります。 直美さんもパートの仕事を増やしたいと思っていますが、夫の看病もあるので、思うようにはいきません。 そんなとき、障害年金を請求できるかもしれないと聞きました。 しかし、直美さんは何から手をつけてよいかわかりません。 障害年金はどのようにして手続きすればよいのでしょうか。 ●初診日 直美さんの夫はうつ病と診断されていますが、その病気ではじめて病院でみてもらったのはいつでしょうか。 3年前でしょうか。それ以前に同じ症状で受診していませんか。 まず、初診日を確定することが第一です。 ●なぜ初診日が大切なの? 障害年金の場合、厚生年金加入中に初診日があれば障害厚生年金を受給できるのです。 国民年金加入中に初診日があれば障害基礎年金です。 ●大きな違い 障害厚生年金は3級まで。障害基礎年金は2級まで。 この差は大きいです。 2級は日常生活に制限を受ける程度でないと認定されないのですが、3級は働くことに制限を受ける程度なので、かなり違います。 ●すでに退職していても障害厚生年金なの? 初診日が厚生年金加入中であれば、その後、退職していても問題ありません。 直美さんの夫も厚生年金加入中に初診日があるとよいのですが。 転職などをしている人は要注意です。 ●初診日を厚生年金加入中に持ってきたほうがいいね! 初診日は自分で決められるものではありません。 厚生年金加入中にA病院で初診日があったとき、それがほんとに初診日であれば問題ありません。 しかし、以前に同じ病気でB病院にかかったことがあるというのであれば、B病院が初診日になります。 ●保険料納付要件もある 初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていなかければなりません。 3分の1以上未納期間がない人はまず大丈夫。 未納期間が長くても、初診日までの直近1年間に未納がなければよいという救済措置もあります。 保険料未納期間がある人は、初診日によっては、障害年金をもらえないこともあるのです。 ●初診日はわかるの? カルテを追っていければわかります。 はじめて病院にかかったとき、たいてい聞かれますね。 これまで同じ症状で他の病院を受診したことありますかと。 受診したことがあるというと、カルテに記録されますから、そのカルテを追っていけば、どこが初診か、ある程度の判断がつくでしょう。 要するに、自分で勝手に都合のよいときを初診日として年金請求できないということです。 ●初診日の証明 このように初診日は障害年金請求において大切なポイントですので、障害年金を請求しようとする病気の初診がいつだったか、しっかりと思い出す必要があります。 ●受診状況等証明書 初診日の証明は、年金事務所で「受診状況等証明書」という様式を受け取って、病院で証明を書いてもらいます。 ●受診した病院がないときは? 何十年も前のことであれば、すでに廃院していることもありますね。 そうした場合は、初診日証明を取れない理由書などを提出することになります。 詳細は年金事務所で相談することになりますが、証明が取れないからといってあきらめないでください。 ………………………………………………………………………………………… 自分でも忘れてしまっていたり、関係のないことと思っていたり、初診日を確定するのは意外にむずかしいものです。 初診日証明を書いてもらい、「○○病院から転院」と書いてあれば、さかのぼって前の病院で証明を書いてもらうことになります。 「健康診断で再検査との結果で受診した」などと書いてあることもあります。 そのときは、健康診断を受けた病院で証明をもらうことが必要です。 初診日が最近のことであればよいのですが、かなり前で、はっきりしないということきは、初診日の確定は大変な作業になります。 着実に病院をさかのぼっていかねばなりません。 ほんとは病気で困っている人がこんなにむずかしい手続きをするということがおかしいのですが、あきらめないでくださいね。 方法はみつかるはずです。 ※本文では、詳細は省いていますのでご了解ください。障害年金にはいろいろなケースがあり、準備する書類も異なりますので、個々のケースでご確認ください。 ………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●FP専門家ネットワーク「マイアドバイザー」にてコラム掲載中 「ライフプラン別コラム」女性と社会保険を担当しています。 http://www.my-adviser.jp/column/index_cat.php?cat=5 ●保険市場にて年金コラム担当中「女性と年金」 http://www.hokende.com/static/pension/features/woman/ ●書斎りーぶる主催 「やさしくためになる すがのみわこの くらしとおかねカフェ」 5月20日(月) 19:00〜20:30 お仕事帰りにお立ち寄りください。 福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて 参加費500円(コーヒーとクッキー付き) 「年金空白時代にどう備えるか?」 「くらしとおかねカフェ」が始まります。毎月第3月曜日を予定しています。 ●エフピー研究所 継続教育研修 福岡にて開催します 5月25日(土)10時〜16時 講師は菅野美和子です。 「5時間でわかる公的年金」2013年改正ポイント徹底分析編 研修というより、「知識の仕入れ」です。 最近(2012年〜2013年)の法改正、実施予定(2016年まで)の法改正について、成立した4法案を中心にお話します。年金空白世代への対応についても解説します。 この機会に年金改正点をマスターしましょう。 http://www.kyoukara.jp/school/detail.php?id=51 FPの継続教育研修(5単位取得)ですが、どなたでも参加できます。 |