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知っておきたい年金のはなし    第309号 2013年5月20日発行

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年金制度は、平成16年までは5年に一度の大きな改正がありました。
そのあと、5年に一度の改正はなくなりましたが、毎年のように、改正があります。
大改正がなくなったので、かえってわかりにくくなっているかもしれません。

毎年の年金改正、自分に関係のあることは、しっかりチェック!
損をしてしまうと大変です。

福岡では、今週の土曜日(5月25日)に、平成25年度の改正点についてのセミナーを開催します。
私までご連絡いただければ、お席を確保しますので、ご希望がありましたら、お知らせください。

さて、最近、「年の差婚」のご相談を続けていただきました。
年の離れた夫婦、さて年金はどうなるのでしょうか。

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第309号 年の差婚と年金
★★★ 遺族年金、老後の年金はどうなる? ★★★
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厚子さんは40歳です。
20歳代で結婚しましたが、1年で離婚。子どもはいません。
その後は、結婚したいと思わず、英会話教室の講師を続けてきました。委託契約のため、厚生年金ではなく、国民年金に加入しています。

少し前のこと、厚子さんは英会話教室に通っていた男性にプロポーズされました。
共通の趣味もあり、話は合うし、思いやりのある男性で、この人ならと厚子さんは思えます。

しかし、彼は59歳。定年まぢかです。
若々しい人ですし、65歳までは働くといっているし、しっかり貯えもあるとのことですが、年の差が気になります。

平均寿命で考えると厚子さんがひとりで暮らす期間も長いでしょうし、これからのお金のことが心配です。

彼は4年前に離婚。年金分割しているといいました。子どもはひとりいますが、すでに成人しています。
結婚後、厚子さんの年金はどうなるのでしょうか。

●万が一の場合

厚子さんのように年の差のある夫婦の場合、平均的に生きるとすれば、妻がひとりで暮らす期間が長くなります。
そこで遺族年金ですが、サラリーマンの夫が死亡した場合、妻は遺族厚生年金をもらえます。

●厚子さんの場合

彼は大学卒業後、ずっとサラリーマンでした。
ですので、保険料納付要件に問題ありません。
結婚後、夫が死亡したとき、妻である厚子さんが遺族厚生年金をもらえます。
子どもがいないので、遺族基礎年金はもらえません。

●結婚期間は短くてもいいの?

結婚の期間の長短は関係ありません。妻であり、いっしょにくらしていれば問題はありません。

●元妻や子どもは関係ないの?

別れた妻は関係ありません。
子どもはすでに成人しているので、子どもが遺族年金を受け取ることもありません。
高校を卒業するまでの子どもがいて父親が仕送りをしているようなことがあれば、子どもが遺族年金を受け取ることになります。

●年金分割は関係ないの?

年金分割で、彼の年金記録は書きかえられています。
半分に分割したのであれば、婚姻期間については、元妻に半分の年金を渡したことになります。
残りの少ない年金で遺族年金を計算するので、 ●第3号被保険者になれる?
厚子さんは結婚すれば、現在の英会話教室の仕事は無理だろうと思います。夜の講座が多いのです。
仕事を辞めれば第3号被保険者になれます。
(厚子さんは雇用保険に加入していませんが、雇用保険に加入していた人は失業給付を受ける間は第3号になれないこともありますので、ご注意ください。)

●第3号の期間は短い

彼は65歳になるまで、会社で働く予定です。
できれば65歳以降も働きたいと希望しています。
仮に夫が65歳以降働いたとしても、厚子さんが第3号被保険者になれるのは、夫が65歳になるまでです。あと6年です。

●そのあとは?

第1号被保険者として、60歳になるまで国民年金に加入します。
年の差がある分、厚子さんが国民年金保険料を負担する期間も長くなります。
ただし、負担があるだけではなく、加算もあります。

●夫の老齢厚生年金には配偶者加給年金額がプラス!

厚子さんの夫は65歳以降、老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されます。年の差である19年間、配偶者加給年金額が加算されて、これはお得。
1年間に約39万円として、19年間で約740万円です。生きていればの話ですが。

●長生きするしかない

加算もあり、負担もあります。
夫婦で長生きがお得でしょう。
遺族年金はもらえるけれど、金額としては期待できません。
厚子さんの生活が心配なら、保険に入るなどの対策も必要でしょう。

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夫が年上で、年の差がある場合は、妻ひとり期にそなえておくことが大切です。
離婚分割していなくても、遺族厚生年金だけで生活してくのはちょっときびしいでしょう。
離婚分割していればなおさらです。

お互いのことを考えて、準備できることはしておくといいですね。
生命保険に加入するといっても、病気があればむずかしくなりますので、どのような方法がよいのか、検討してみることです。

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■□■ お知らせ ■□■

●エフピー研究所 継続教育研修 福岡にて開催します
5月25日(土)10時〜16時 講師は菅野美和子です。
「5時間でわかる公的年金」2013年改正ポイント徹底分析編
研修というより、「知識の仕入れ」です。

最近(2012年〜2013年)の法改正、実施予定(2016年まで)の法改正について、成立した4法案を中心にお話します。年金空白期間への対応についても解説します。
この機会に年金改正点をマスターしましょう。
FPの継続教育研修(5単位取得)ですが、どなたでも参加できます。
※開催日が近いため、講師へご連絡いただければお席を確保します。

●FP専門家ネットワーク「マイアドバイザー」にてコラム掲載中
「ライフプラン別コラム」女性と社会保険を担当しています。
http://www.my-adviser.jp/column/index_cat.php?cat=5

●保険市場にて年金コラム担当中「女性と年金」
http://www.hokende.com/static/pension/features/woman/