★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第314号 2013年9月2日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ まだまだ30度を超す日中。 それでも、ちょっと涼しくなったと感じるのはなぜ? 40度近い毎日が続くと、30度を超す程度では、暑いと思わなくなってしまいます。 ほんとに暑い夏でしたね。 さて、お給料が上がればうれしいけれど、保険料が上がれば暮らしは大変。 生活必需品の価格が下がればうれしいけれど、年金額が下がれば暮らしは大変。 上がるもの、下がるもの、いろいろありますが、今日は上がる保険料と下がる年金額についてお話しします。 …………………………………………………………………………………………… 第314号 保険料と年金額 ★★★ 上げる、下がる ★★★ …………………………………………………………………………………………… 45歳の里香さんは病気のために障害厚生年金3級をもらいながら働いています。 病気の治療があり、服薬を続けています。 そのため、フルタイムで働くことができません。 ほんとは病気治療に専念すればよいのでしょうが、高齢になった母親とふたり暮らしていて、母親の遺族年金と自分の障害年金だけでは生活できないのです。 そんなわけで、週に4日程度働いています。毎日の労働時間は7時間ですので、会社で健康保険と厚生年金保険に加入しています。 幸い、会社は病気への理解もあって、休みがちな里香さんを見守ってくれています。 里香さんは時給で働いています。病気で欠勤すれば給料は少なくなります。 里香さんは給与明細をみるたびに、社会保険料は高いなあと思います。 ただでさえ高いと思っているのに、会社の人から、また保険料が上がると聞きました。 それに年金額が下がるとも聞いています。 給料の手取りも減る、年金額の手取りも減る、今でもぎりぎりで生活をしているのに、これから先、どうなっていくのか、里香さんは心配です。 ●厚生年金保険料 厚生年金保険料は毎年0.354%ずつアップすると決まっています。 変更は毎年9月からです。 今年は17.12%(一般)となります。(本人負担分はこの半分) ●どこまで上がるの? 18.3%に達するまで上がります。 平成29年9月には18.3%になる予定です。 18.3%で固定することになっていますが、どうなることやら・・・ ●9月の給料から手取りが減る 9月分の保険料は10月に支給する給与から控除します。 つまり、10月に支給される給与より保険料率が上げることになります。 しっかり給与明細をみてくださいね。 ●下がる年金額 10月分から、年金額が下がります。 「なんで今ごろ?」 「年金額は4月に改定になるのでは?」 と思う方もあるでしょうが、今年は10月から1%下がります。 ●なぜ下がるの? それは特例水準の解消によるものです。 ●特例水準ってなに? 本来年金額は、物価が上がれば年金額も上げる、下がれば年金額も下げるとなっていました。 ところが、平成11年から13年にかけて物価が下がったときに、年金額を下げませんでした。(特例水準の年金額) ●なぜ下げなかったの? 政治的は配慮もあったのでしょう。 ●平成16年の法改正 平成16年に年金改正があり、年金額の計算式も変わりました。(本来水準) しかし、本来水準と比較すると特例水準の年金額が多いので、特例水準による年金を支給してきました。 ●当時の思惑 本来水準よりも高い年金額を支給するけれど、今後物価は上がり、近い将来、本来水準の年金額が多くなるだろうと予想していました。 高い水準はまもなく解消されると考えていたのでしょう。 ●物価は上がらない ところが、物価が上がらないので、本来水準の年金額が特例水準の年金額を超えることはありませんでした。 また、その差が広がるばかりです。 そこで、特例水準を解消するように法改正されました。 ●3年度にわけて 現在2.5%高い水準の年金を、今年10月、来年4月、再来年4月と、段階的に下げていきます。 今年の10月が第一弾なのです。 ●下げるのは1% 具体的には、満額の老齢基礎絵年金786,500円が778,500円になります。その差8,000円。 老齢厚生年金も下がります。 傷害年金も遺族年金も同様です。 ●年金の水準、高くないのでは? 実感としては高い年金をもらっているとは思えませんね。 計算上、高い水準にあると国は言っているのです。 …………………………………………………………………………………………… 特例水準解消のあとには、マクロ経済スライドの発動が控えています。 マクロ経済スライドとは、平均寿命の伸びや被保険者数の減少によって年金額を下げていくしくみです。 物価スライド特例が解消されない間、マクロ経済スライドも発動されないことになっています。 ところが特例水準が解消されたあとは・・・ 予想がつきますね。 特例水準のあとへ続く、年金額の改定(減額)のしくみをしっかりみておくことも大切です。 また、年金額が減ったとおっしゃる場合、今回の改定にように一律減額となる場合、在職中に減額となる場合、住民税・国民健康保険料・介護保険料が変動して手取りが減額となる場合、いろいろです。 何が原因で減ったのか、見ておく必要がありますね。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●書斎りーぶる主催 「やさしくためになる すがのみわこの くらしとおかねカフェ」 9月18日(水) 19:00〜20:30 お仕事帰りにお立ち寄りください。 福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて 参加費500円(コーヒーとクッキー付き) 「病気や介護にかかるお金」 病気になったときのお金、介護が必要になったときのお金についてお話します。 お申し込みは「書斎りーぶる」へ。 http://www.shosai-livre.com/main/welcome.html ●保険市場にて年金コラム担当中「女性と年金」 女性にとって役立つ情報をお届けします。 http://www.hokende.com/static/pension/features/woman/ ●FP専門家ネットワーク「マイアドバイザー」にてコラム掲載中 「ライフプラン別コラム」女性と社会保険を担当しています。 http://www.my-adviser.jp/column/index_cat.php?cat=5 |