★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第317号 2013年10月25日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 今年も年末調整の時期が近づいてきました。 この季節になると、夫の扶養範囲内で働く妻は、103万円調整や130万円調整で、仕事を休むこともありますね。 本人も気がかりですが、会社も大変です。 忙しいときに、限られた人数でやりくりしなければならないからです。 こういった仕組みがある限り、毎年、同じことを繰り返すのだと思います。 今回は、健康保険の扶養家族や国民年金の第3号被保険者と認められる「収入130万円未満」についてお話しましょう。 …………………………………………………………………………………………… 第317号 扶養家族の基準 ★★★ 130万円調整には意味がある? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 優子さんは高齢者施設(デイサービス)で看護師として働いています。 看護師だから、他のパートタイマーより時給は高いです。 働く時間は短くても、収入は多くなります。 今年は、正社員の看護師が退職して、優子さんの働く時間が増えてしまいました。 それにつれて、収入も増えています。 もともと夫の扶養の範囲で働くことにしています。 夫の会社には配偶者手当もないので、103万円は超えてもよいのです。 しかし、130万円以上になると、健康保険の扶養をはずれ、国民年金の第3号被保険者にもなれないので、扶養の範囲で働いてきました。 看護師の資格があるなら正社員として働くといいのにと人からは言われます。 しかし、長い間、総合病院で看護師として働いてきた優子さんは、以前のようにフル稼働したくありません。 今は、ボランティア活動をしたり、趣味の教室に参加したり、自分の生活も楽しんでいます。 ところが、今年は、5月から働く時間が増えて、現時点での収入は110万円。11月、12月支給分の給料で、かなり少なくしないと、130万円を超えてしまいます。 ちょっとのことで、扶養から外れて損をするのはいやなので、収入調整したほうがいいのでしょうね? ●健康保険の扶養家族の基準 健康保険の扶養家族(国民年金の第3号被保険者も同様)となるのは、「収入130万円未満の見込み」が条件です。 ※ 障害基礎年金(1、2級)をもらっている人、60歳以上の人は180万円となりますのでご注意ください。 ●収入とは? 入ってくるお金全部と考えてください。 パートタイマーで働く優子さんは、会社でもらう給料全部です ●通勤のためのバス代も? 通勤手当も入ります。 バスで通勤している優子さんは、バス代は非課税です。 しかし、非課税の通勤手当も健康保険等の扶養の基準である収入に入ります。 ●通勤手当を考えていなかった! 優子さんの会社の給与明細には、1月からの支給額の合計が書いてあります。 それをみて現在110万円だと理解していましたが、通勤手当が別にありました。 通勤手当を入れると、130万円に近づいています。 ●130万円を超える見込み 「見込み」とは、結果として130万円未満か、以上かということが問題ではなく、130万円を超えるような働き方をしたときから、扶養からはずれるというのです。 ●これは大変! いつから給料が増えたのでしょう。それを確認してください。 優子さんが調べてみると、ちょうど、4月末で正社員の看護師が退職し、5月から勤務日数が増え、給与は通勤手当も含めて12万円を超えています。4月までは8万程度でした。 ●いったいいつから? 優子さんにとって130万円を超える見込みとなったのとはいつからでしょうか。 給料が増えた5月からですね。 5月だけであとは元に戻るのであればよかったですが、結果として給料の多い状態が続いています。 ●正しくは5月から 5月から扶養をはずさねばならなかったと言えるでしょう。 ※健康保険制度(協会けんぽや健康保険組合等)がどのように判断するかですので、断定はしません。 ●今からでも103万円調整をしたほうがよい? 仮に12月支給分の給料をゼロにしても、130万円を超える見込みという事実があったことにはかわりないので、調整には意味がないと思われます。 …………………………………………………………………………………………… パートタイマーで130万円調整をしている人はけっこういます。 働きすぎたので、最後の月で働く時間数を減らし、130万円未満にするというやり方です。 でも、意味がないのではないかと思えるケースもあります。 優子さんのようなケースです。 勘違いして、源泉徴収票が130万円未満になればよいと思っている人もあります。 源泉徴収票は、課税所得ですので、非課税の通勤手当は入っていません。 本当は、源泉徴収票では、扶養の判断はできないのです。 夫の会社から妻の収入証明を求められることがあります。 この収入証明は、非課税通勤手当も含めた証明です。 この証明書では、合計金額の確認だけが目的ではなく、130万円を超える見込みとなった月を判定する目的があります。 収入合計が130万円未満であったとしても、扶養をはずされる可能性はあります。 正しく申告するに限ります。 扶養になるか否かの判定は、むずかしい問題でもありますので、必ず、年金事務所、協会けんぽや各健康保険組合等でご確認ください。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ お知らせ ■□■ ●書斎りーぶる主催 「やさしくためになる すがのみわこの くらしとおかねカフェ」 11月18日(月) 19:00〜20:30 お仕事帰りにお立ち寄りください。 福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて 参加費500円(コーヒーとクッキー付き) 「年金は何倍返し? 百倍返しになるか?」 払う保険料と受け取る年金、どうなっているのでしょうか。 意外なことに気が付くかもしれません。 お申し込みは「書斎りーぶる」へ。 http://www.shosai-livre.com/main/welcome.html ●保険市場にて年金コラム担当中「女性と年金」 女性にとって役立つ情報をお届けします。 http://www.hokende.com/static/pension/features/woman/ ●FP専門家ネットワーク「マイアドバイザー」にてコラム掲載中 「ライフプラン別コラム」女性と社会保険を担当しています。 http://www.my-adviser.jp/column/index_cat.php?cat=5 |