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知っておきたい年金のはなし    第318号 2013年11月23日発行

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高校生のための年金教材案という資料を見ることがありました。
(出典:社会保障教育推進検討会 細野真宏委員提案の年金教材)

クイズ形式になっているのですが、こんなクイズがありました

Q  保険料を払える収入があるのに払わない人の状況について、正しいと思うのには○、間違っていると思うのには×をつけなさい。

1、法律違反
2、税金の払い損

答、わかりますか?


「税金の払い損」とはどういうことかと思いました。
年金の一部は税金によってもまかなわれているので、将来まったく年金がもらえなければ、税金を払っているのに年金をもらえないことになり、税金の払い損になると解説してありました。

答は、「法律違反」は○、「税金の払い損」は○、どちらも○と書いてありました。

こんな考え方もあるのですね。

さて、この教材は案ですので、採用されるのかどうかわかりませんが・・・

きょうは、退職後の国民年金についてのお話です。
将来、払い損にならないように!

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第318号 退職後の国民年金
★★★ 健康保険の扶養家族と第3号被保険者 ★★★
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彩子さんは子育てが一段落してからお勤めを再開し、ちょうど10年になりました。
現在55歳。少なくとも60歳までは働く予定だったのに、予定変更です。

3年前、健康診断がきっかけで、がんがみつかりました。
その後、入院・手術。

いったんは元気になりましたが、再発していることがわかりました。
しばらく療養しなければなりません。
いつまでも会社に迷惑をかけられないと、彩子さんは退職を決心しました。

幸い、傷病手当金を受給できる期間があと5か月残っています。退職後も引き続き受給できそうです。

入院中の彩子さんは、医療費の負担を考えて、会社での健康保険を継続しています。
ところが、しばらくして、国民年金保険料の請求が届いたのです。

年金のことまで考えていませんでした。
夫の扶養に入っているわけではないし、国民年金の保険料はどうしたらよいのか、彩子さんはわからなくなってしまいました。

●退職後の医療保険

退職後の医療保険は、これまでの健康保険を継続する、国民健康保険に加入する、健康保険の扶養家族(被扶養者)となる、から選択できます。

●保険料から考えると

保険料を考えると、扶養家族が一番いいです。

彩子さんの夫は会社員なので、夫の健康保険に扶養家族として入るという選択もできます。

●扶養家族には条件がある

扶養家族となるためには、収入130万円未満(60歳以上の人や一定の障害のある人は180万円未満)という条件があります。
彩子さんのように傷病手当金を受け取っている人であれば、それも収入とみなします。

●彩子さんは?

彩子さんの傷病手当金の額からみると、彩子さんは扶養家族にはなれません。

●では損をしているということ?

高額な医療費負担が考えられる人は、退職後もこれまでの健康保険を継続することにより医療費の負担が軽減されることがあります。(詳細は省きますが、高額療養費の仕組みです)
保険料だけでは判断できません。

●国民年金は?

彩子さんは健康保険の任意継続を選択しました。では、国民年金は?
退職後は、自分で保険料を納付する第1号被保険者か、配偶者の扶養家族として加入する第3号被保険者となります。

●第3号になれる?

第3号被保険者の条件は、健康保険の扶養家族と同じで収入130万円未満という条件がありますので、一定以上の傷病手当金を受け取っている間は第3号にはなれません。

●第1号被保険者になるしかない

傷病手当金が終了するまでは第1号被保険者です。
彩子さんは病気の治療で大変ですが、夫に収入があるので、免除も無理でしょう。
保険料を払うしかないのです。

●傷病手当金が終了したら?

収入がゼロになるので、第3号被保険者となれます。
健康保険の扶養家族の手続きをせずに、第3号被保険者の手続きだけをします。
健康保険の扶養家族=第3号被保険者ではないのです。
健康保険は任意継続を続けながら、第3号被保険者にもなれます

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この仕組み、知らない方も多いのでは?

ちょっと心配なのは、第3号の手続きは会社を通じて行うこと。

健康保険の扶養家族と第3号被保険者はセットだと考えている人も多いので、会社で第3号の手続きだけをしてくださいと依頼しても、理解してもらえないこともあるかもしれません。
できませんなんて、言われるかもしれませんが、できますよ。
書類はいろいろと必要ですが、困ったときは、年金事務所で相談してみましょう。

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■□■ お知らせ ■□■

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5時間でわかる公的年金 〜年金達人FPになるために
2013年11月30日(土)10:00〜16:00
福岡市中央区天神 書斎りーぶるセミナールーム

基礎を確認しながら、最新情報まで学びます。
年金アドバイスはFPにとってかかせません。
この機会に復習と情報のインプットをしませんか。
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http://www.my-adviser.jp/column/index_cat.php?cat=5

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来年は1月を予定しています。
1月22日(水) 19:00〜20:30 
福岡市中央区天神 「書斎りーぶる」にて 参加費500円(コーヒーとクッキー付き)
詳細は次号でご案内します。