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知っておきたい年金のはなし    第327号 2014年7月11日発行

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年金制度は、次々に改正が行われます。
改正のたびに、複雑になっていきます。

「国民年金保険料の納付猶予制度の対象者を、30歳未満の者から50歳未満の者に拡大する」
少し先ですが、平成28年7月から実施される予定です。

これはいったいどういうことなのでしょうか。

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第327号 保険料納付猶予の拡大
★★★ 良さそうにみえるけれど… ★★★
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茂夫さんには苦い経験があります。

48歳で会社を退職しました。いろいろあったのです。
退職後、健康保険は継続し、国民年金は免除制度を利用しようと思いました。

茂夫さんの妻も働いています。
妻は教師をしていますので、収入もしっかりあります。

妻が働いているので、国民年金保険料を払えないことはありません。
しかし、茂夫さんは、妻に払ってほしいとも言えませんでした。

そりゃ、そうですよね。
妻の反対を押し切って退職したのに、国民年金の保険料の納付書なんて妻に渡せません。

免除制度を利用できたらと思いましたが、妻の所得が影響して対象外でした。

結局、自分で払いましたが、救済制度があってもよいのになあと思いました。

●保険料免除制度

収入が少ない、失業中であるなど、保険料を納付するのが困難なときには免除制度を利用できます。 ただし、収入など条件があります。

●世帯の所得

失業すれば本人の所得はゼロになるので、失業の場合は本人の所得はゼロとして免除に該当するかどうか判断されます。
しかし、世帯主、配偶者の所得が合算されます。

●共働きではむずかしい

茂夫さんのようなケースで、失業した人が配偶者の所得のために免除の対象外となってしまうということはあります。
「同じ家族の中でお金があるのだから払いなさい」ということですね。

●将来受け取る年金額

免除制度では保険料を2分の1払ったものとして年金を受け取れます。

●納付猶予制度

免除制度の他に、納付猶予制度があります。
現在は30歳未満の人を対象とした制度です。

●免除と猶予

免除と猶予の違いはなんでしょう。

猶予は「あとで払ってね。払わないと年金額に反映されないよ」というものです。
免除は「あとで払わなくても、半分だけ年金を支払うよ」というものです。

●免除が有利!

そうです。
払わないことは同じですが、免除は2分の1払ったものとして年金を受け取れるので断然有利です。

●納付猶予制度なんていらないのでは?

免除は世帯の所得が基準、猶予は本人と配偶者の所得が基準。
猶予は、免除より基準はゆるやかと考えてください。
免除に該当しなくても猶予であれば該当するという人もいます。

●30歳未満に限定?

そうです。現在は30歳未満に限定されています。

●改正されるの?

50歳未満に拡大されます。

●50歳までずっと納付猶予期間であれば

仮に20歳から50歳まですっと納付猶予制度を利用したとしましょう。
年金をもらう権利にはつながりますが、この30年間については年金ゼロ。
権利は発生するけれど、年金額にはつながりません。

●年金を支払う方からみると

納付猶予制度をどんどん使ってもらうと、未納の人は減りますが、国は年金を払わなくてすむということになります。

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免除はまだしも納付猶予期間が長くなると、結局、未納は防げるけれど、年金はもらえないのです。 つまり国は年金を出さなくてもよいのです。

困ったときに免除制度はたすかりますが、基本は払えるのなら払ったほうがよいと思います。

免除や猶予などの制度を長く利用していると、結局自分の年金額が少なくなります。

この改正は低い年金額の人をたくさん作る制度のような気がしてなりません。

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