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知っておきたい年金のはなし    第328号 2014年8月29日発行

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厚生年金保険料が9月分(10月納付分)からまた上がります。

毎年0.354%ずつアップすると決まっていて、今回もその定期的なアップです。

少しとはいえ、上がっていく保険料の負担はきびしいです。毎年ですから。

厚生年金保険料アップは、企業にとっても大きな負担になります。

だから、社会保険(健康保険・厚生年金)は嫌い、入りたくない、なるべく入らないですむようにしようと考える経営者も出てくるのです。(それはできない相談ですが)

社会保険料は必要経費として考えていただきたいです。

特にパートタイマーは社会保険に加入しなくてもよいと考え違いをされている方もあります。

一般社員より働く時間が短いパートタイマーも、一定の条件に該当すれば社会保険に加入しなければなりません。

その条件がちょっとわかりにくいのです。

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第328号 パートタイマーの社会保険加入
★★★ おおむね4分の3とは? ★★★
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恭子さんは出産で退職。その後は専業主婦でしたが、子どもが小学生になったので、仕事を再開しようと思っていました。

恭子さんはこれまで夫の扶養になっていますが、扶養からはずれる働き方でもよいのです。
子どもはやがて親から離れてきます。恭子さんは仕事で輝きたいと思います。

数社の面接を受けていましたが、やっと採用が決まりました。
パートとして採用され、1日7時間、週4日働きます。

社会保険はどうなるのかな、将来の年金を考えると厚生年金に加入してもいいなと思っていましたが、職場からは対象外と言われました。

恭子さんはいろいろと調べてみて、労働時間や労働日数が正社員のおおむね4分の3あればパートも社会保険に加入することがわかりました。
しかし、自分自身はこの基準にあてはまるか、あてはまらないのか、わかりません。

●パートタイマーの社会保険(健康保険・厚生年金)加入基準

1日の所定労働時間、1ヵ月の労働日数が正社員のおおむね4分の3あれば、パートタイマーも社会保険に加入しなければなりません。

●おおむね?

わかりにくいのが、「おおむね4分の3」。
雇用保険の加入基準のように週20時間などと決っていないので、あいまいです。

●正社員の働き方と比べて

パートタイマーの加入基準は、その会社で働く正社員と比較してということです。
正社員の所定労働時間が1日8時間であれば、4分の3は6時間。
正社員の所定労働日数が週5日であれば、4分の3は週4日。

ただし、これは目安であって、総合的に判断されます。

●恭子さんの労働時間

恭子さんが勤務する会社では、正社員の所定労働時間は7.5時間です。
恭子さんは7時間なので、4分の3は満たしています。

●恭子さんの労働日数

正社員が週に5日とすれば、恭子さんは週に4日ですので、4分の3を満たしています。
ところが、勤務先の正社員は、7.5時間の日が4日、午後がお休みになる4時間の日が2日となっています。つまり、正社員は週に6日出勤します。

●恭子さんはどうなる?

正社員が週に6日の場合、週に4日出勤するパートタイマーは、労働日数において4分の3を満たしません。
結果は社会保険加入対象外です。

●なんだか変です・・・

恭子さんの勤務先の正社員が週5日であれば、パートタイマーである恭子さんも加入となりますが、週6日なので加入できません。
パートしての働き方はかわらないのに、加入できたり、できなかったり、なんだかすっきりしない仕組みです。

※社会保険加入については、年金事務所の決定によりますので、ご注意ください。
この事例は、実際に年金事務所で確認した事例ですが、年金事務所の判断が異なる場合があります。個々の事例については、管轄の年金事務所で確認をお願いします。

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パートタイマーの社会保険加入基準については、平成28年10月に改正されます。
しかし、この4分の3基準がなくなってしまうわけではありません。平成28年10月以降もこの基準は残ります。

しかし、あいまいな基準は混乱をまねくばかりです。
改正するなら、根本的な改正をしてほしいと思います。

さらに、国は厚生年金保険の加入逃れを防ぐため、指導を強化する方針です。
国税庁が持つ企業の納付情報から未加入企業を割り出し、指導するとしています。

もし、加入指導されたにもかかわらず応じない場合は、強制的に加入となることもあります。最大で2年間さかのぼって加入ということにもなりかねません。

ルールどおりに加入することはあたりまえですが、そのあたりまえを再度認識してほしいなと思うことがよくあります。

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