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知っておきたい年金のはなし    第336号 2015年7月21日発行

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地域限定の話題になってしまいますが、西日本新聞で、毎週土曜日に連載を担当しています。

タイトルは「やりくり家計術」

むずかしい話は一切なしです。
毎日の暮らしの中で、お金にかかわるテーマを取り上げて、わかりやすくお話しします。

年金についても、これからたくさん書く予定ですので、お読みいただけると幸いです。

さて、国民年金保険料を過去10年分納めることができる後納制度は9月末までです。
未納があるのはわかっているけれど、ためらっている方は、考えてみませんか。

年金機構によると、後納制度利用可能な人約2,000万人にお知らせを送り、これまで制度を利用した人は約117万人だそうです。
6%に満たない割合ですね。

さて、迷っている人はどうしましょうか。

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第336号 10年後納制度は9月末まで
★★★ 最後のチャンス? ★★★
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静香さんは、過去の未納分の保険料を納付するかどうか、まだ迷っています。

静香さんは今年11月5日で60歳の誕生日を迎えます。
現在は第3号被保険者ですが、夫の自営業時代など、国民年金の保険料を納付していませんでした。
督促もあったと思いますが、そのままになっていました。

年金情報の流出事件などがあって、ますます年金制度を信用できない気持ちになってきました。

この先、ほんとうに年金はもらえるのでしょうか。
保険料を納付する価値はあるのでしょうか。

●静香さんの年金加入歴

厚生年金加入8年。国民年金の保険料納付済期間は60歳になるまでの第3号被保険者期間を含めて15年です。 その他には全部未納期間です。

●カラ期間はないの?

カラ期間とは、保険料を納付していないけれど、年金を受け取るのに必要な25年にカウントされる期間です。
静香さんは結婚したのも遅かったので、サラリーマンの妻としてのカラ期間はありません。
大学にも行っていないので、20歳以降に学生期間もありません。

●25年に不足!

全部で23年。年金を受け取るために必要な25年に不足しています。

●本来ならば60歳から受け取れる年金が・・・

静香さんは今年60歳になる女性です。
厚生年金加入期間があります。
25年を満たしていれば、60歳から厚生年金分をもらえます。

●あと2年不足

不足の2年をどうしたらよいのでしょうか。
60歳以降は第3号にはなれません。
60歳以降、国民年金に任意加入するという方法もあります。
●静香さんこそ後納制度利用を!

今、ここで後納制度を利用して、過去の未納2年分を納付すれば、年金の受給が可能になります。
60歳から受け取れます。

●10年で年金をもらえるようになるのでは?

これは消費税アップと連動していますので、平成29年の4月の予定です。
確かに後納制度を利用しなくても、消費税が上がれば、平成29年4月分の年金からもらえるようになります。

●それまで待つ?

それまで待ちますか?
今、納付することによって、60歳から(27年12月分から)年金を受け取れますよ。
それにもし消費税が上がらなかったら、いつまでももらえないということになります。

●保険料の払い損にならない?

保険料を払うことによる効果は、長生きによります。
長生きすれば価値がわかります。
早く死んでしまえばもったいなかったということにもなりますが、死んだあとにくよくよ考えることはありませんね。

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静香さんは9月末までに2年分を納付してしまいましょう。

10年後納制度は10月になれば利用できません。
10月以降、5年後納できる制度が実施される予定ですが、10年後納は今だけです。

静香さんのようなケースは、過去にもよくご相談を受けました。

後納するか、10年でもらえるようになるのを待つか。

当時は27年10月から10年で年金を受け取れるようになる予定でした。
「消費税が上がらなければ10年にはなりませんよ」と説明しました。
10年にならないことが分かった時点で後納制度を利用してくださいとお話しました。

無料の年金相談会でのお話でしたので、その後のフォローはできません。
お客様はどうされたのか、気になっています。

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■□■ お知らせ ■□■

●日本FP協会大分支部 継続教育研修
「年金相談事例から学ぶFPとしてのアドバイス方法」
大分市男女共同参画センター
7月25日(土)(申し込み締め切り)

●公的年金の基礎知識・給付までの実務セミナー
7月28日(火)10:00〜17:00(6時間) 福岡にて開催
主催:一般社団法人 日本経営協会