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知っておきたい年金のはなし    第337号 2015年9月24日発行

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10月から共済年金が厚生年金に一元化(統合)されます。
最近の年金セミナーでは、一元化に関する質問が多いです。
やっぱり気になりますね。

一元化は共済年金に加入している人にだけ関係すること、厚生年金に加入している人は関係ないと思っていませんか。
共済年金に加入したことがない人も無関係ではなく、一元化の影響を受けます。

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第337号 年金一元化
★★★ 厚生年金保険料、何が変わる? ★★★
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律子さんはある会社の人事部で仕事をしています。
社会保険の手続きや給与計算が主な仕事ですが、社員の出入りが多いので、仕事は大変です。
年中、社員の出入りに関する仕事をしているという感じです。

入社したばかりの社員が1ヵ月もしないうちに辞めてしまうということもあります。
社会保険料1か月分を給与から引けないこともあります。

すぐに辞めるかもしれないので、数日待って社会保険の手続きをしようとすれば、健康保険証が届かないと苦情を言われ、人事の仕事は大変です。

律子さんは、会社は厚生年金に加入しているので、一元化には関係ないと思っていましたが、どうやらそうでもなさそうです。

●社会保険への加入

フルタイム等、社会保険の加入条件を満たした人は、入社日から社会保険に加入しなくてはなりません。
法律上は5日以内に手続きをすることとなっています。

●手続き後、すぐに辞めたら?

入社して数日で辞めてしまう人もいますね。
すぐに辞めたからといって、いったん手続きした社会保険への加入を取り消しすることはできません。

1日も出勤しなかったなど、勤務実態がない場合は別ですが、数日でも働いたのであれば、原則として取り消しはできません。

●保険料は?

例えば、月初めに入社して、同じ月の途中で辞めたという場合、1か月分の健康保険料と厚生年金保険料を納付しなくてはなりません。
本人負担分は給与から引きます。

●給与不足で引けなかったら?

数日しか働いていなければ、全額控除できないこともありますね。
そのときは、本人に請求して支払ってもらうしかありません。
請求しても本人が払わずに、会社が損をしてしまうこともあります。

●一元化で変わること

ところが、一元化で変わることがあります。
一元化がスタートする10月以降は、入社した月と同じ月の途中で辞めた場合、厚生年金保険料は還付されることになりました。
(健康保険料は納付します)

●二重加入の防止

例えば、4月1日に入社して、4月20日に退職した場合、4月21日からは国民年金に加入します。4月は厚生年金保険料と国民年金保険料を二重に支払うということになっていました。
(支払った分は年金額に反映されるので、損をしているわけではありません)

●もともと共済年金には二重加入なし

これは一元化前の共済年金の仕組みに合わせるためです。
一元化は、共済年金を厚生年金に合わせるということだけではなく、その反対もあるのです。

●20歳以上60歳未満

目的は二重加入の防止です。ですから、退職後、年金制度に加入しなくてもよい人に、この仕組みは関係ありません。
退職後、国民年金に加入しなければならない人は20歳以上60歳未満の人なので、すべての人にあてはまる話ではありません。

●再度注意を

原則として、入社した月に退職した場合は、厚生年金保険料を納付しなくてよいことになります。
(いったん納めてあとで還付)
ただし、年齢に注意をしてください。
また、健康保険料は納付しなくてはなりません。

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同じ月に入社して退職したといっても、月末退職の場合は、資格喪失が翌月1日となるので、厚生年金の保険料は1か月分必要です。
あくまでも、入社した月(厚生年金の資格を取得した月)に退職した(厚生年金の資格を喪失した)場合です。

制度としては複雑になりますが、これまではいったん加入した人については、必ず1か月分の保険料を控除していましたが、控除しなくてよいことも起きるわけです。

実務的には、このようなケースに該当した人については、会社に通知があり、保険料が還付されるということです。

引かなくてもよい保険料を給与から引いていた場合は、本人に返さないといけないので、かえってめんどうなことになるかもしれません。

年金制度は、改正のたびに複雑になります。
律子さんの仕事も、楽にはならないようです。

※この他にも死亡退職の場合など、いろいろなケースがありますので、必ず、個別に確認をお願いします。ここへ記載していることがすべてではありません。

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■□■ お知らせ ■□■

●アサヒSR年金研究会からのお知らせ
福岡会場での研修会が決定しました。
11月15日(日)13:30〜16:30 福岡市 中央市民センター
テーマは「障害年金 年金請求代行業務を失敗しないための進め方」
初診日に関わる作業、請求の方向付け、認定基準等
講師は大阪の社会保険労務士 小林賢介先生です。