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知っておきたい年金のはなし    第338号 2015年11月24日発行

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西日本新聞、毎週土曜日の「やりくり家計術」、継続しています。
メルマガの間隔があいてしまっていますが、こちらの方も、ペースを取り戻さなければと思っています。

さて、介護保険の改定にともない、今後、介護保険と年金のかかわりがさらに密接になってきます。
今回は、介護保険にかかわる話をお届けします。

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第338号 介護保険と年金
★★★ 年金収入が増えると、介護保険の負担も増える? ★★★
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冬子さんは65歳になりました。
20年前に離婚したあと、ひとりで生活してきました。
現在は個人で子ども服のお店を経営しています。

老後はひとりで生活することになるので、老後に備えています。
公的年金は、65歳以降、繰下げを希望して、待期しています。

しかし、冬子さんは心配になってきました。
年金額を増やせるのはいいけれど、年金収入が多くなれば、介護保険の利用料が2割負担になるとか。
繰下げはやめたほうがよいのでしょうか。

●冬子さんの公的年金

冬子さんは過去にお勤めしていた期間がありますので、老齢厚生年金を受け取れます。
60歳から65歳になるまでの5年間は老齢厚生年金を受け取りました。

国民年金の保険料は全期間支払いましたので、満額の老齢基礎年金が受け取れます。

●国民年金基金

自営業を始めてからは、国民年金基金に加入しました。
国民年金基金は、最大の保険料枠を使えるように加入しました。
保険料月額68,000円まで、プランを組み合わせて加入できます。
65歳から国民年金基金からの年金を受け取りはじめました。

●個人年金

その他、民間の個人年金にも加入しました。65歳から受け取りをはじめています。

●しっかり準備した老後資金

冬子さんはひとりになってはじめて、将来のことを考えました。しっかり準備ができてよかったと思います。

冬子さんは、ひとりで暮らせなくなったら、老人ホームへ入ろうと思っています。最近はいろいろな施設があるので、元気な高齢者でも入居できて、自由に暮らせて、介護が必要になればサービスを受けられるようなところを希望しています。

●介護保険の利用者負担

介護保険の利用者負担は、平成27年7月までは、かかったサービス費用の1割でしたが、8月から一定以上の所得者は2割となりました。

●一定以上の所得とは?

単身の人の場合、合計所得金額160万円(年金収入のみでは280万円)以上は2割となります。
年金収入のみの場合、年金収入280万円から公的年金等控除額120万円を引くと、合計所得金額が160万円となります。

●冬子さんは繰下げ希望

冬子さんは、現在はまだ事業収入もあり、国民年金基金や個人年金も入ってくるので、老齢厚生年金と老齢基礎年金は繰下げをすることにしました。

●年金増額の効果

70歳まで待てば42%の割増が加算されるので、その金額に見合った施設探しをするのもよいかと思ったのです。

●年金額が増えると・・・

冬子さんは、繰下げで年金額が増えると、介護保険の負担が2割になるのではないかと心配になってきました。
合計所得金額をきちんと計算する必要がありますが、2割になるのであれば、繰下げをしないほうがよいかもしれないと思い始めました。

●2割負担

介護保険の利用者負担が2割の人でも、上限額がありますので、上限額以上に負担することはありません。
1割負担の人と比較して、単純に負担が2倍になるということではありません。


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さて、冬子さんはどうすべきでしょうか。

冬子さんの場合、正確に計算してみる必要がありますが、繰下げのデメリットに加えておきたいのが、介護保険の2割負担です。

年金だけで280万円を受け取れるという人は、それほど多くはありません。
しかし、200万円程度の年金の場合、70歳まで繰下げをすると、280万円を超えることになります。

介護保険を利用しなければ問題はないのですが、介護保険の利用は誰にも考えられること。
そうなると、1割負担となるようにしておくほうが、結果として、手出しは少なくなるということにもなりますね。

だんだんとむずかしくなってきました。
正解はありません。どう選択するか、結果がどうなるかです。

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