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知っておきたい年金のはなし    第339号 2016年3月22日発行

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28年度の年金額は27年度と同額。
そのように発表されていますが、共済年金と厚生年金の一元化により、端数計算が変更になり、個人ごとの年金額は変更されます。

4月分(6月15日支給分)以降は、数円単位で、増える人、減る人が出てきます。

数円のことなので、気が付かないかもしれませんね。

一元化とは、共済年金以外の人には関係ないようも思われますが、実は厚生年金に加入している人にもいろいろと影響が出てきます。

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第339号 加入期間の合算
★★★ 厚生年金加入期間1年未満の人も! ★★★
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今年63歳になる洋子さんは、かつて15年間、小学校の先生をしていましたが、家庭の事情で退職しました。

その後、10か月民間の会社で正社員として働いたこともありますが、パートに変更し、ずっと夫の扶養の範囲で働いてきました。

共済年金の支給開始年齢(61歳)になって、共済年金を受け取っています。
金額は多くないのですが、パート収入プラス年金で、少しゆとりができました。

昨年、年金機構から書類が届いて、厚生年金の手続きをするようにということでした。
厚生年金に加入したのは10か月。

以前、年金記録を確認したときに、厚生年金加入期間は10か月なので、支給開始は65歳からだと言われました。

今ごろ、どうしてこのような書類が来たのでしょう。
早くもらうと年金が減るとも聞いているので、何もしていませんが、気になっています。

●60歳代前半の老齢厚生年金

老齢厚生年金の支給開始年齢は、生年月日や男女別に定められています。
60歳代前半は、原則として受給資格期間が25年以上あり、なおかつ、1年以上厚生年金加入期間がある場合に、支給開始年齢から受け取れます。

●10か月の厚生年金加入期間は?

洋子さんは、共済年金、厚生年金、国民年金に加入してきましたが、25年は満たしているので、年金を受け取る権利はあります。
退職共済年金はすでに受け取っています。

ところが、厚生年金加入期間は10か月しかないので、1年未満。
老齢厚生年金は65歳にならないと受け取れません。

●どうして手続きのお知らせが?

年金制度が一元化されたことによるものです。

●一元化で何が変わった?

平成27年10月、共済年金は厚生年金に統合されました。
ふたつの制度がいっしょになったことによって、一元化前は別々に取り扱っていたことを合算して取り扱うことになりました。
そのひとつが、60歳代前半の老齢厚生年金です。

●期間が合算される

共済年金と厚生年金の加入期間を合算して年金支給を判断するというものです。
洋子さんには15年の共済組合期間があり、10か月の厚生年金を合算します。
ふたつの制度を合わせると、1年以上という条件を満たすので、10ヵ月分の厚生年金についても支給することになりました。

●いつからもらえるの?

洋子さんの場合は、一元化によって老齢厚生年金の権利が発生するので、27年の10月分からです。

●手続きしても大丈夫?

大丈夫です。
これは、年金を早くもらうという仕組みではありません。
27年10月に年金の権利が発生するので、そこから受け取っても、損をすることはありません。

●手続きが遅れてしまったけれど・・・

今からでも大丈夫です。
27年の10月にさかのぼって受け取れます。10ヵ月分ですので、金額はわずかですが、長生きして、しっかり受け取ってくださいね。

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いろいろなところで影響する一元化。
こんなに複雑な制度なのかと思います。

いろいろな書類や案内が年金機構から送られてきて、よくわからないと言われる方も多いです。
思い込みや間違った情報で損をすることもあります。
よくわからない場合は、年金事務所等で確認しましょう。

「女性のための年金相談室」ではメールによる年金相談も受け付けています。
一定の範囲内のメール相談は無料ですので、ご利用ください。
(電話相談は有料です)

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●生協情報誌「クリム」 「財布のひも」毎月連載中