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知っておきたい年金のはなし    第340号 2016年7月25日発行

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梅雨も明け、暑い毎日が続きます。
みなさま、おかわりありませんか。

さて、10月から法改正により、これまでより多くのパートタイマーが社会保険(健康保険と厚生年金)に加入するようになります。

困っている人、迷っている人、まだ関係ないと思っている人、さまざまですが、今回はパートタイマーの社会保険加入についての情報をお届けします。

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第340号 パートタイマーの社会保険加入
★★★ 収入130万円未満、それでも加入? ★★★
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真梨子さんは48歳。パートで働く会社は全社員が2000人程度の大企業です。そのうち半分程度が短時間のパートタイマーです。

会社で説明会があり、10月から、条件に該当する人は、現在扶養家族となっている人であっても社会保険に加入しなければならないと言われました。
それがいやなら、契約時間を減らすというのです。

真梨子さんも対象者のひとりです。
真梨子さんは社会保険料の負担などを考えて、夫の扶養範囲内で働いてきました。

現在の時給は900円。
週に25時間の契約です。年間130万円未満になるような働き方をしています。
子どもの教育費もかかるので、収入が少なくなっても困ります。

このまま夫の扶養範囲内で働く方がいいのに、どうしても、加入しなければならないのでしょうか。

●501人以上の事業所

今回の法改正で対象となるのは「特定適用事業所」に勤務するパートタイマーです。
特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が501人以上の事業所です。

●事業所ってなに?

ここでいう事業所とは法人単位(法人番号単位)です。

●500人前後で人数が変動するときはどうなる?

500人前後で人数が変動する場合もありますが、1年間で6ヵ月以上、500人を超えることが見込まれる場合、特定適用事業所に該当します。
年金機構からお知らせが届きます。

●国の機関で働く人

国の機関については、すべてをあわせてひとつの単位としますので、国の機関で働くパートタイマーは対象になります。

●加入の要件

特定適用事業所で働くパートタイマー(学生を除く)は、次のすべてに該当すると、社会保険に加入しなければなりません。
@ 週の所定労働時間が20時間以上であること
A 雇用期間が1年以上見込まれること
B 賃金月額が8.8万円以上であること

●週に20時間以上とは?

週の所定労働時間が20時間以上とは、雇用保険の加入基準と同じです。
雇用契約書等で定められた勤務時間で判断します。
臨時的な時間外労働は含めません。
1週間の所定労働時間が変動する人は平均で判断します。

●雇用期間

採用が決まったときに、1年以上の雇用が見込まれる場合は、最初から加入します。

法律が施行される平成28年10月より前から雇用されている人は、法律の施行日(10月1日)に1年以上見込まれるかどうかで判断します。

●賃金月額8.8万円以上とは?

残業手当、通勤手当、ボーナスなどは含めず、あらかじめ働くことが決まっている労働時間(所定労働時間)で計算します。
時給の場合は、「時給×1ヵ月の所定労働時間」を基本にして判断します。

●現在は夫の扶養家族になっているけれど?

以上の条件に該当するパートタイマーは、社会保険に加入することになります。
年収130万円未満で、夫の扶養家族として、健康保険や国民年金に加入していても、勤務先の会社で加入しなければなりません。

●500人以下の会社は関係ない?

厚生年金に加入している人数が500人以下の中小企業で働くパートタイマーについては当面は関係ありません。ただし、この基準は見直すとなっていますので、今後は中小企業も対象となる可能性はあります。

●社会保険加入で手取りは減る?

社会保険に加入すると、保険料負担が発生します。毎月の給料の総支給額が10万円(標準報酬月額9.8万円)の場合、厚生年金保険料の自己負担分は8,736円、健康保険料(全国平均)の自己負担分は4,900円(介護保険なし)です。
※厚生年金の保険料は9月から上がります。

●社会保険加入のメリットは?

健康保険加入のメリットは病気休業などの場合に休業保障があることです。厚生年金保険加入のメリットは、将来受け取る老齢厚生年金が増えることです。

●どうしたらいい?

厚生年金保険等に加入したくなければ、勤務先との契約を変更して、働く時間を短縮するなどで調整するしかありません。

厚生年金保険等に加入するのであれば、加入後は収入調整することなしに可能な限り働いて、手取り収入を増やすことですね。

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社会保険加入によって、将来の老齢厚生年金が増えるなどメリットはあります。しかし、時給などの条件がそのままであれば、手取りは減ります。

子どもの教育費など、少しでもお金が必要という人には、「未来の年金」より、「今のお金」が必要となるかもしれません。

時給が上がれば手取りの減少は緩和されますが、企業はあらたな社会保険料の負担に、時給を上げるゆとりもなくなるかしれません。

人数の少ない企業に転職するということを考える人もいますが、よい条件の企業に転職できるとは限りません。

悩ましい問題です。
我が家の家計、生き方、働き方・・・ライイフプランから検討しましょう。

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