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知っておきたい年金のはなし    第340号 2016年8月16日発行

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パートタイマーの社会保険加入についてのお問い合わせが増えてきています。
前回に続いて、パートタイマーの社会保険加入のお話をします。

前回は501人以上の企業の場合をお話しましたが、500人以下の中小企業で働くパートタイマーは、これまでどおりで何も変わらないのでしょうか。

いいえ、変わることがあるのです。
気をつけておきたいですね。

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第341号 パートタイマーの社会保険加入
★★★ 中小企業で何が変わる? ★★★
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知代さんは歯科クリニックでパートタイマーとして働くことになりました。
正社員は月火木金が8時間勤務で、水土が4時間勤務です。働く日数は週に6日、働く時間は週に40時間です。

知代さんは、月火木金(週に4日)、1日7時間勤務です。
知代さんは社会保険に加入することを希望していましたが、加入できないと言われました。

知代さんの友人は別のクリニックに勤めていて、1日7時間、週に4日という同じ条件で働いますが、社会保険に加入しています。

友人は加入できるのに、なぜ私は加入できないのだろうと、知代さんは理解できません。
同じ28時間働いて、入れる人、入れない人が出てくるなんて・・・

●パートタイマーの社会保険加入基準とは?

パートタイマーの社会保険加入基準は収入ではありません。
労働時間と労働日数です。

●4分の3基準

パートタイマーの社会保険加入基準は、「1日または1週間あたりの所定労働時間、および1ヵ月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上」となっています。
「おおむね」という言葉が、あいまいに感じられますね。

●正社員が1日8時間、週5日働く職場では

正社員が1日8時間、週5日働く職場では、1日6時間、週に4日働くパートタイマーは、4分の3基準に該当すると考えられます。

●正社員が週に6日勤務する職場では

知代さんの職場では、正社員が週に6日勤務なので、6日の4分の3は4.5日。週4日勤務では4分の3基準に該当しません。

●週に6日の勤務は問題ないの?

週に40時間を超えず、休日が週に1日あれば問題ないので、知代さんの勤務先には、まったく問題ありません。

●正社員との比較

4分の3基準は、あくまでもその職場の正社員との働き方の比較です。
ですから、1日7時間、週に4日という同じ働き方でも、勤務先の条件によって加入できたり、加入できなかったりします。

●この基準が変わる

10月からは「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が4分の3以上」となり、「おおむね」という言葉も消えます。
加入基準が今よりはっきりするということです。

●30時間が目安?

正社員が通常働く時間が、週に40時間と決っているところでは、週に30時間以上になると、パートタイマーも社会保険に加入となります。

●週に30時間未満の契約なら加入できない

反対に週に30時間未満の契約なら社会保険に加入できないことになります。 知代さんの友人は1日7時間、週に4日で社会保険に加入していますが、10月以降はこのような条件では、加入対象外となります。

ただし、これまで加入していた人が社会保険をはずされるようなことはないようです。

●正社員の通常時間数が40時間より短いときは?

例えば、正社員の働く時間が週35時間の場合、4分の3は26.25時間。
パートタイマーの勤務時間が27時間の場合、社会保険加入となります

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もともと、基準があいまいだったと思います。
雇用保険のパートタイマーの加入基準は、通常の労働時間が週に20時間以上とはっきりしています。
このようなはっきりした基準があれば、わかりやすいし、混乱も起きません。

今回の改正で、一般的には30時間でパートも加入と説明されていますが、必ずしもそうでないことがわかります。
やっぱり、複雑です。

いろいろな枠組みを作っていくと、それに縛られる人が出てきます。
働き方で損得が生じるような仕組みは廃止していく方向で検討されてもよいのではないかと思いますが・・・

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