★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし    第25号 2003年11月11日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

ゆっくり行楽を楽しみたい季節ですね。
さて、総選挙がおわり、年金制度改革は一気に論議がすすむでしょう。どうなるか、気になるところです。
「年金改革案」は今月中旬に公表されるようです。その「年金改革案」へもりこむ方針が11月3日に発表されていました。前回のメルマガでお話した、離婚夫婦の年金分割も盛り込まれるということです。
4回にわたって年金制度改革案についてお話してきましたが、もちろん、もっと他にもいろいろな案があがっています。今回発表された内容を含めてお話しましょう。

……………………………………………………………………………………………
第25号 これからどうなる? 年金制度(第5回)
★★★ 制度改革あれこれ ★★★
……………………………………………………………………………………………

最近、健康保険・厚生年金の手続きで、夫を妻の扶養に入れるということが増えています。
こんな事例がありました。妻は会社員。夫は作家の修行中で、無収入に近い状態です。保育園に通う子どもがふたりいて、夫が「主夫」しています。会社員の妻の収入も手取りが20万円ぐらいで、それで一家4人生活しています。夫を妻の扶養に入れました。
もうひとつの事例。夫は大工さん。最近仕事が少なくて、月に7〜8万円の収入しかありません。妻は会社員。その妻も手取りで15万円ぐらいの収入です。高校生の子どもが2人います。この場合も、夫を妻の扶養に入れました。
夫は健康保険もこれでOK,。国民年金は第3号被保険者として、国民年金の保険料を払わなくてすみます。 このふたつの事例ですが、くらし、大変だと思います。
こんな状況では、第3号被保険者の制度も必要だなあと感じます。

●第3号被保険者制度はどうなる?

「女性と年金」については、メルマガ6号をごらん下さい。

今回の制度改革では、第3号被保険者の制度を廃止するようなことはないでしょう。また、サラリーマンの配偶者から保険料をとる、あるいは、保険料をとらないけれど年金を減らすという選択肢は、結局選ばれないような気がします。(あくまでも私の予想です)
それで、パートタイマーの厚生年金加入で、第3号の数を減らそうということになるのではと思っていましたが、厚生労働省の坂口さんは、「来年から一律にはやらない」と言っています。「慎重に対応する」と言っています。

●第3号被保険者制度のはじまりは?

さて、「女性と年金」がなぜ問題になっているのかということをたどれば、第3号被保険者制度があるのですね。
第3号被保険者制度、つまり、サラリーマンに扶養されている配偶者は保険料を払わなくても払ったこととして、年金がもらえる制度は、昭和61年4月からはじまりました。
これは現在の2階建て年金制度のはじまりです。国民がすべて年金制度に入ることになりますよということなのですが、それまで、入ってもいい、入らなくてもいい、どちらでもよかった、サラリーマンの配偶者からいきなり保険料をとることはできないと考えたのでしょう。

●もともと矛盾のある制度です

第3号被保険者制度はもともと矛盾をかかえています。発足当時は「専業主婦」にとってはありがたい制度だったし、今でもそうなのですが、一方では自営業の妻は支払っているわけですし、第3号被保険者からも同じように保険料を取らない限りは、不公平感はなくならないでしょう。

●今回の改革でも

4つの案がでていますが、どれにしても、矛盾は残ります。
パートタイマーの厚生年金加入にしても、第3号の数は減るけれど、数が減ればそれで問題は解決するものではありませんよね。
「第3号は廃止してしまえばいい」という声もあります。でも、最初に書いたような家庭のことを考えると、これで、保険料を払いなさいというのは、つらいなあと思います。

●サラリーマンの配偶者だけではなく

ほんとに生活の苦しい人を救済する制度はあっていいと思います。免除制度があるではないかと言われますが、将来もらう年金額は減ります。老齢福祉年金のように、誰でも最低これだけは年金を保障しますよという制度があってもいいのではないか、サラリーマンの配偶者だけでなくてもいいのではないかというふうに思います。

●国民年金の滞納者

サラリーマンの配偶者には第3号被保険者という有利な制度がありますが、そのほかの人は生活がくるしいときは、免除申請するしかありません。
免除が認められず支払えない、また免除申請もわからずそのままにしていると、滞納者になります。

●370万人!

国の公式発表の滞納者数です。これは、2年間全く保険料を払わなかった人。全くじゃないけれど、数ヶ月は滞納している人を含めれば、もっと多いでしょう。
●滞納対策を強化する

国民年金、支払ってないと、督促状がきます。でも、罰金もないし、2年の間に払えば保険料だってそのままで増えることはないし、払わないからといって、差し押さえもありません。 税金だったら、こんなわけにはいきませんよね。「差し押さえ」があります。 そこで、保険料の徴収を強化しなければならないということも検討されています。 ●年金への税金

年金へ課税されるのは、老後の年金だけです。障害年金や遺族年金は非課税です。しかし、これも、見直そうという案がでています。
そして、老後の年金への課税も検討課題です。年金をもらっている人には「公的年金控除」といって、年金すべてが税金の対象になるのではなく、一定の控除があるのです。その控除を引き下げてもいいのではないかという案なのです。
●70歳以上の働く人へは

現在は70歳になれば、厚生年金に加入しなくてもいいし、年金はカットされることなく、全部もらえます。ところが、70歳以上の人へも拡大して、年金を一部減額しようという方針を固めたようです。
そして、60歳以上、厚生年金に加入しながら働いている人の年金カットの方法も見直しが検討されるということです。

……………………………………………………………………………………………

いろいろな方針が出ています。全体的にいえることは、見直しといいながら、私には、年金給付の「切り下げ」に思えます。
いかにして安心して暮らせる制度を作ろうかという案ではないように思います。
何度もいいますが、知らないうちにかわってしまったというのは一番こわいことです。
これから発表される「改革案」に注目しましょう。
情報はその都度お届けしたいと思います。
それから、メールによる質問はいつでもどうぞ! 個人的な年金のご質問には、必ず、性別と生年月日をお知らせください。
仕事の混み具合で、すぐにお答えできない場合もありますが、必ずお返事します。

……………………………………………………………………………………………
■□■ おすすめコーナー ■□■
★福岡SOHOフェア2003ビジネス交流会★
11月27日(木)13時から17時まで 参加は無料、どなたでもどうぞ。
会場:福岡市中央区 西鉄ホール(ソラリアステージビル6階)
ビジネス商談コーナーに「すがのみわこコンサルティングオフィス」として出展します。
社会保険労務士・FPとしてのお仕事を紹介します。社会保険労務士にどんな仕事を依頼できるのか、依頼するメリット、情報の提供など、私の仕事のご紹介コーナーがあります。もちろん、私がいます。パンフレットやニュースもそろえてお待ちしていますので、興味のある方はおこしください。

★セミナー「資産税・不動産ビジネス最前線」★
日時:12月6日(土)14:00〜17:00
会場:福岡市中央区天神 都久志会館 601号室
講師は、株式会社バード財産コンサルタンツ 代表取締役 山浦邦夫氏(税理士・CFP)
WEB上で山浦氏のお仕事内容がご覧になれます
財産ドック事業(不動産FPコンサルティングサービス)の始め方
http://www.bird-net.co.jp/rp/ZAISANCON.html
バードレポート  http://www.bird-net.co.jp/index.html
保険選びネット  http://www.hoken-erabi.net/index.htm

会費:3,150円(事前振込) その後懇親会を予定(懇親会費は別)
連絡先: 境  mailto:sakai-yo@kumin.ne.jp
件名を「12月6日の勉強会参加希望」とし、懇親会の出席の有無もあわせてご連絡を。
主催:ライフサポートネット 協賛:オフィスJ