第5回 定年に伴う社会保険の手続き


◆定年後の健康保険は3つの選択肢から

定年後の健康保険には、3つの選択肢があります(表1)。ただし、家族の健康保険の扶養に入るという方法は、働いている家族がいることが条件であり、誰にでも選択できる方法ではありません。また、雇用保険からの基本手当の日額が3,612円以上であれば、扶養には入れません。したがって、これまで入っていた社会保険を継続するか、国民健康保険に加入するか、どちらかになります。医療費が3割負担になった今、どちらを選ぶかは、保険料を中心に考えましょう。任意継続する場合、保険料の会社負担がないことをあらかじめご承知おきください。ただし、上限があるので、最高限度額以上にはなりません。

国民健康保険料は、市町村ごとに異なります。住民票のある市町村役場で問い合わせてください。一般的に、定年退職の場合は、任意継続を選んだほうが保険料の負担は少なくてすむ場合が多いようです。

任意継続のポイントは、退職後20日以内に協会けんぽ(健康保険組合)で手続きすること!

◆年金は手続きしないともらえない!

年金で大切なことは、自分の年金の支給開始年齢を確認すること。厚生年金に加入していた男性で昭和28年4月1日以前生まれ(女性は昭和33年4月1日以前生まれ)の人は、60歳から報酬比例部分の年金がもらえます。つまり、60歳が年金の出発点。あとでもらおうと待っても、年金は増えません。年金の出発点に立ったら、必ず手続きしましょう。

手続きはお近くの社会保険事務所で。年金手帳、住民票、戸籍謄本、銀行の通帳、印鑑が必要です。また、配偶者のいる人は、配偶者の所得証明も必要です。必要書類は個人個人で異なりますから、事前に問い合わせておきましょう。

あらかじめ、これまで届いたねんきん特別便・ねんきん定期便で加入歴を調べておくと年金の手続きがスムーズにできます。

◆雇用保険は早めにハローワークで手続きを

雇用保険の手続きは、住所地を管轄するハローワークで。会社から離職票を受け取ったらそれを持って行きます。離職票に記載されている賃金に間違いがないか、退職の理由が「定年」となっているか、確かめましょう。

仕事を探している間、もらえるのが「基本手当」です。定年の場合は、3カ月の給付制限なしで、基本手当の対象となります。最初の振込みは、手続きに行ってから約1ヵ月半後になります。ただし、失業給付はあくまでも働く意思のある人が対象ですから、お間違えなく。

雇用保険からの基本手当と65歳までの老齢厚生年金は、両方はもらえません。ハローワークに行って雇用保険の手続きをすると、年金のほうが多くても年金はストップしてしまいます。

やはり、60歳になる前に、年金の加入歴や年金額を調べておくことなど、事前の準備が大切ですね。