第7回 知っておきたい退職後の税金


◆気になる退職後の税金

退職金は金額が多いので、税金も気になりますね。退職金の税金は、他の所得とは別枠で計算します。非課税額は勤続1年について40万円。20年より永く勤めていた人は、アップします。(表1)勤続30年の人は、1500万円までは所得税がかかりません。

公的年金にも所得税がかかります。公的年金は「雑所得」になりますが、年金すべてが所得税の対象になるのではなく、公的年金控除という特別の非課税枠があります。65歳未満の人は70万円、65歳以上の人は140万円の最低保障額がありますが、2005年度からは65歳以上の人は120万円になります。

注意しておきたいのは、住民税です。住民税は前年の所得を基準に支払うので、退職直後の1年は負担になるでしょう。しっかり支出として予定しておきましょう。

なお、雇用保険からの失業給付には全く税金はかかりませんので、安心してください。

◆確定申告で、払いすぎた所得税を取り戻す!

公的年金からも所得税が源泉徴収されます。源泉徴収されている場合は、所得税を払いすぎになっていることがありますので、確定申告で払いすぎた所得税を取り戻します。また、再就職した場合は、年金と給与という二つの所得がありますので、確定申告が必要です。

どちらにしても、年金をもらっている人は、毎年きちんと確定申告しましょう。会社にいる間は、すべて会社がしてくれていた納税。年末調整時に、扶養控除申告書など出せばいいぐらいのことでした。ところが、退職後は自己責任となります。払いすぎた所得税は、黙っていては戻ってきません。

◆相続対策もお早めに!

早めに考えておきたいのは、自分の財産を誰にどう引き継ぐのかということです。受け継ぐ人が負担する相続税についても、財産を残す者の責任として考えておきたいものです。

相続税にも非課税枠があって、例えば相続人が妻と子ども二人という場合は、8000万円以下の財産であれば相続税の心配をする必要はありません。(非課税枠は5,000万円+1000万円×法定相続人の数)

後に残った人にとって困るのは、評価の高い不動産を相続する場合。財産を受け継ぐ妻や子は、納税のためのお金がなければ相続税を払えません。都合よく処分できないのが不動産です。その対策のひとつとして、相続税のための生命保険加入という方法もあります。

贈与とは、生きているうちに財産をわたすこと。基礎控除の110万円枠の利用ができます。財産の種類などによって対処の仕方も異なりますので、よく検討しましょう。

相続が「争族」になってしまうのは、まれなケースではありません。そうならないためにも、財産のある人は早めに対策を考えておきましょう。