第10回 持つべきものは友


◆人とのかかわりが心のリハビリ効果

定年退職した男性を対象に「男の料理教室」を主催されている方のお話。料理が作れるようになるということだけではなく、孤独になりがちは定年退職後の男性に、地域社会とのかかわりを作るきっかけにしてほしいという目的があるそうです。しかし、料理教室など外に出て行こうとする人はまだいいけれど、問題は、そこに来ることができず、孤独な生活を送り、元気がなくなってしまうようなケースです。人とのかかわりは、実は心のリハビリになっています。

平成15年生命簡易表によると、女性の平均寿命は85.33才。男性は78.36才。平均寿命の男女差には、身体の構造の違いや社会的状況の違いなど、多くの要因があると思いますが、男性より女性が「心のリハビリ」上手なこともあるでしょう。地域や子どもとの関係、趣味を通じてなど、あらゆるところで、ネットワークや友達を作っているのは圧倒的に女性です。「自由時間のすごし方」についてのアンケート調査でも、「知人・友人とすごす」と答えている女性は、年代によっては男性の2倍近い数字です。そんな女性の生き方も「長生き」につながっているのかもしれません。

◆遠くの親戚より近くの友人

老後は子どもと暮らすのがあたりまえの時代もありました。現在は、住宅事情や生活スタイルの違いなど、同居型は減少しています。「老後、子どもといっしょにくらしたいか」についてのアンケートでは、「子どもと別居する」が「子どもと同居する」を超えています。特に女性の思いは顕著です。その背景には、同居による気苦労を背負いたくないという思うや、まわりの友人やネットワークに支えられて生きていきたいという気持ちもあるでしょう。

困ったときに助けあえるのは、近くの友人です。困ったときばかりではなく、人生楽しく生きていくために、人とのかかわりは欠かせません。困ったときも、楽しいときも、何かにつけてたよりになるのが「友」の存在です。

◆何よりも大切なネットワークづくり

セカンドライフに向けて準備しておきたいことのひとつは、ネットワークづくりです。

お金、健康、生きがい、どれも大切です。生きがいづくりで大切なのは、人とのかかわり。サラリーマンのセカンドライフは、急に会社という組織から離れて孤独になりがちな生活です。人とのかかわりが、その後の生活を支えてくれるし、元気の元にもなるはずです。

介護が必要になると、ますます、孤独になりがちです。デイサービスやグループホームで、人とかかわることで元気を取りもどす高齢者もいます。

仕事以外のネットワークづくり、むずかしいことではありません。外にむけて、ちょっと発信すれば、手ごたえがあるでしょう。