離婚を考えている女性の方へ

Q1.サラリーマンの夫と離婚を考えています。私はずっと専業主婦で自分で年金の保険料を支払ったことがありません。年金はどうなりますか。

昭和61年4月以降、国民年金の第3号被保険者の手続きをすれば、61年4月から離婚時までの期間は国民年金の保険料納付済期間となり老後の年金につながります。離婚してもその期間がなくなることはありません。ただし、年金をもらうには原則25年の期間が必要ですから、一度確認しておきましょう。

Q2.30歳。子どもはふたりいますが、離婚を考えています。今までパートで夫の扶養にはいる範囲で働いていましたが、将来のことを考えて時間をながくしたいと思っています。その際、社会保険に入るようにいわれましたが、とても保険料を払う余裕はないのですが。

離婚を考えているなら、社会保険に加入することをおすすめします。将来のことを考えると 厚生年金に加入し、年金額を少しでも増やすようにしたほうがいいでしょう。国民年金より厚生年金のほうがずっと給付がいいのです。
また、お子さんがおられるので、あなたに万が一のことがあった場合、遺族厚生年金が支給されます。そのことも考えあわせて、社会保険加入をすすめます。

Q3.長い間がまんしてきましたが、夫の定年退職後離婚しようと考えています。私は64歳、夫は60歳。夫は35年会社勤めをしています。私は働いたことはありません。年金はどうなりますか。

20年以上厚生年金に加入した夫に妻(条件あり)がいる場合、加給年金といって、年金の配偶者手当がつきます。あなたの場合、夫は加給年金の対象になります。
加給年金は妻が65歳まで夫の年金について、妻が65歳になるとなくなり、そのかわり、妻自身の年金にふりかわります。これを振り替え加算といって、あなたは65歳以降自分の年金として受け取ることができます。
ただし、65歳前に離婚してしまうともらえません。反対に65歳以降離婚しても、いったんもらいはじめた振り替え加算はなくなることがありません。年金のことを考えるなら、離婚は65歳以降がよさそうです。

Q4.夫はサラリーマン。私はずっと専業主婦。離婚にあたって夫の年金をもらえるようにしたいができますか。

夫は厚生年金に加入しているので、老齢基礎年金、老齢厚生年金と2階建ての年金がもらえます。
ところがあなたは夫の扶養になっていたので、国民年金にのみ、加入。65歳から老齢基礎年金(満額でも788,900円…平成23年度価格)しかありません。平成19年4月、離婚時の年金分割制度がスタートしました。平成19年4月以降に成立した離婚が対象です。
ただし、年金額には期待しないほうがいいでしょう。財産分与についてよく検討してください。

Q5.サラリーマンの夫と離婚しました。今まで夫の扶養に入っていました。夫は会社で扶養をはずす手続きをしたようです。年金の手続きはどうすればいいですか。

年金は、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者にかわります。住所地の市町村役場の国民年金課にいって、「種別変更届」を出してください。今後、厚生年金のある会社に就職したら、そのときは第2号被保険者となります。それまでは、第1号として保険料を納めなければなりません。



離婚時の年金分割について

Q1.離婚時の年金分割では、制度がスタートする以前の婚姻期間も分割対象になりますか。

平成19年4月より離婚時の年金分割が可能になりました。制度発足前の婚姻期間も対象となります。たたし、平成20年4月にスタートした「第3号被保険者期間の分割は、平成20年4月以降の第3号被保険者期間が対象となります。

Q2.ずっと専業主婦でした。夫は会社員です。夫の年金の半分もらえうるのですか。

分割できるのは、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分です。老齢基礎年金は分割することができません。また、最大2分の1に分割可能ということであり、分割割合は、話し合いや裁判所の決定によります。 平成20年(2008年)4月からは、第3号被保険者期間については自動的に分割されることになりますが、平成20年4月以降の第3号被保険者期間のみです。それ以前の期間については、合意や裁判所の決定が必要です。

Q3.夫は自営業です。離婚したら、夫の年金を半分もらうことはできますか。

老齢基礎年金は、年金分割の対象にはなりません。自営業の夫と別れても、年金分割とは関係ないということです。

Q4.分割された年金はいつどのようにもらうことができるのですか。

現金での精算ではありません。妻自身の受給権がスタートしたときに、分割された年金が上乗せされるというイメージです。ですから、年金分割することになっても、自分の年金受給権が発生しないと、分割された年金をもらうことはできません。

Q5.年金分割したのち、別れた夫が死亡した場合はどうなりますか。

別れた元夫の生死にかかわらず、分割された年金は、妻が生きている限り、受け取ることができます。年金分割を受けた妻が再婚しても、変わりはありません。

Q6.年金分割したのち、再婚すれば、分割した年金はもらえませんか

再婚による影響は受けません。いったん分割された年金が元にもどることはありません。

Q7.2008年4月以降の婚姻期間については合意や裁判なしに自動的に分割されるのですか。

2008年4月以降の第3号被保険者期間については、合意や裁判所の決定がなしに、2分の1に分割されます。 第3号被保険者であっても、2008年3月までの期間については合意か裁判所の決定が必要になります。
ただし、自動的に2分の1となるのは、第3号被保険者期間のみです。第3号以外は、合意や裁判所での決定が必要です。

Q8.分割の請求はいつまでにしなければなりませんか

離婚後2年以内です。

Q9.共働きの場合も年金分割できますか

分割することはできますが、夫婦の年金額(婚姻期間)の差額を半分にするというイメージで考えてください。夫の年金半分ではありません。賃金が同じぐらいで年金の差がないような夫婦の場合、分割する意味はないと言えます。

Q10.分割後の年金額について知りたいのですが

離婚時の年金分割についての情報提供を受けることができます。50歳以上の場合は、分割後の年金額の見込みを知ることができます。
情報提供を受けるためには、社会保険事務所へ、戸籍謄本、年金手帳を持って行きます。必要な書類は、個人によっても異なりますので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

Q11.按分割合とはなんですか

年金をどのように分けるかという割合です。
最大50%です。専業主婦とサラリーマンの夫という場合は、0%〜50%の範囲で按分割合を決定しますが、共働き期間のある場合は、下限は0%とはなりませんので、必ず、事前に調べておくことが大切です。30%〜50%という範囲の夫婦が、20%と決定しても、無効となります。

Q12.按分割合を40%とすると、夫の年金の4割をもらえるということですか?

分割することができるのは、夫の報酬比例部分(婚姻期間のみ)です。専業主婦の場合、按分割合を40%とすると、夫の報酬比例部分(婚姻期間のみ)の40%と理解していいですが、共働き期間がある場合、40%と考えると間違いです。

Q13.私は会社員、夫は自営業です。夫から年金分割を請求されますか。私の年金が減るのですか。

年金分割は夫から妻へとは限りません。このようなケースでは、妻から夫へということになります。しかし、分割には合意か裁判所の決定が必要ですので、そこで話し合うしかありません。


年金分割のための情報通知書について

Q1.第1号改定者、第2号改定者とはなんですか。

第1号改定者は年金分割で年金が減る人です。第2号改定者は年金分割で年金が増える人です共働きの場合は、妻が第2号改定者になるとは限りません。

Q2.対象期間標準報酬総額とはなんですか。

対象期間(婚姻期間)における標準報酬月額や標準賞与額(再評価後)の合計です。共働きの場合は、この総額の多い方が第1号改定者となります。

Q3.按分割合の範囲とはなんですか

この範囲内で分割の割合を決定しなければなりません。
婚姻期間がすべて専業主婦であったとしたら、按分割合の範囲は0%〜50%となります。

Q4.情報提供は何度でも請求できますか

原則として、一度請求すると、3ヵ月は請求できないことになっています。

Q5.夫には内緒で情報提供を受けたいと思いますが、それは可能ですか。

離婚前は、夫婦のうちどちらか一方が請求しても、相手方へ連絡が行くことはありません。

Q6.夫の基礎年金番号がわかりませんが、情報提供を受けることはできますか

基礎年金番号がわからなくても請求できます。


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