私は純粋に社会保険労務士になりたいとおもって資格に挑戦したのではありません。勉強をはじめるまでは、社会保険労務士という存在さえよく知らなかったのですから。 出産のあと、パートで働きに出ました。10ヵ月の子どもがいて、その子をかわりにみてくれる人もいない環境のなかでは、短時間労働を選択せざるをえませんでした。 働きはじめて、同じ職場の男性をみて、私自身との賃金の格差にがくぜんとしました。この差はいったいどこからくるのだろう。私は子どもを生み育て、そんな人間としてあたりまえのことをして、「社会」から遠ざかっているうちに、この差がついてしまったのではないかと思いました。 そう思うと納得できませんでした。おかしいよという気持ちが強くなりました。いったん家庭に入り、しかも小さな子どもを持つ女性に、なかなか条件のよい仕事はありません。これは、もう何か資格をもつしかないと思うようになりました。 そこでやれそうだなと興味をもったのが、社会保険労務士だったのです。私が私として認められるために、資格取得に挑戦しました。 勉強するにはめぐまれた条件ではありませんでした。通学講座にも通えません。通信講座で、しかも、子どもを寝かせたあと、眠気とたたかいながらの勉強でした。でも、ここでくじけてはいつまでたっても社会的な自立ができないのではないかと、そういう思いが支えとなりました。それがなければ、くじけていたかもしれません。 今だからいえることだと思うし、誰にでもあてはまらないでしょう。しかし、強い動機をもつこと、そして決してあきらめないこと、それが一番だと思います。 |