会社を辞める人へ

Q1.退職を考えています。社会保険・雇用保険などで注意しておくことを教えてください。

雇用保険から失業給付をもらえるか、もらえる条件がある場合は、どのくらいの金額になるか、よく確認しておくことが、まず大切なこと。⇒Q6、7へ
次に、健康保険は任意継続できるかどうかということ。⇒Q2へ
住民税は退職したからといって減額されることはありません。前年の所得によって支払うことになりますので、退職後のマネープランを考えるときは住民税の支払い分も計算に入れておくことが大切です。

Q2.退職後の健康保険はどうすればいいでしょうか。

現在の健康保険を継続するか、国民健康保険に加入するか、どちらか選択します。ただし、任意継続の場合は、現在の健康保険に2ヵ月以上加入していないとできません。
どちらを選択するか、保険料が選択のポイントになります。任意継続の場合は保険料は全額自己負担になります。つまり退職時の2倍になりますが、26,600円を超える場合は26,600円となります。(介護保険料を負担する人は、30,828円) 
※平成23年3月現在。全国平均9.5%の保険料率で計算した場合。健康保険料率は都道府県別です。介護保険料率は全国一律で1.51%。
国民健康保険は市町村によってことなり、前年の所得が基準になりますので、確認してください。
平成23年度も22年度に引き続き、、解雇や倒産などで退職した場合は、国民健康保険料の減免措置があります。 対象者の前年の給与所得を100 分の30 とみなして保険料を計算します。すなわち、保険料が安くなる、ということです。離職票などを持参して、国民年金課で、保険料を確認しましょう。

Q3.退職後、健康保険の扶養家族になれますか。

退職後の健康保険は、家族の中に健康保険に加入している人がいれば、健康保険の扶養家族(被扶養者)になれば、保険料の節約になります。夫婦の場合は、国民年金の第3号被保険者にもなれます。ただし、扶養家族として健康保険に加入するには、収入130万円未満(60歳以上や障害のある人は180万円未満)でなければなりません。収入とは、雇用保険からの給付金や年金も含まれます。
雇用保険からの基本手当が3,611円(60歳以上は5,000円)を超える場合は、給付が終わるまで扶養には入れません。

Q4.基本手当は1日4000円、90日分です。健康保険の扶養に入れますか。

健康保険の扶養家族として認定されるのは、60歳未満の人は収入130万円未満です。 基本手当が4000円、給付日数が90日の場合、90日全部給付を受けたとしても、36万円にしかなりません。雇用保険からの給付の見込みは最大36万であり、130万円未満といえます。
ところが、扶養家族として認定する場合、基本手当日額4,000×360日で判定します。4000円を1年間(360日)受け取ったらという仮定で判定するのです。したがって、給付日数が短くても、1日分が3611円を超える場合は、扶養として認定されません。

Q5.健康保険・厚生年金の資格喪失日と保険料の関係は?

月末に退職した場合、翌月1日が資格喪失日です。3月31日に退職した場合は、4月1日が資格喪失日になり、社会保険料は3月分までを最後の賃金から引かれることになります。しかがって、健康保険を任意継続した場合、任意継続の保険料は4月分から支払うことになり、国民年金の保険料も4月分からとなります。ところが、3月30日で退職した場合は、3月分の保険料を賃金から控除されることはありませんが、自分で支払わなくてはなりません。つまり、任意継続被保険者としての期間は、3月は1日のみですが、1月分の保険料を支払わなばなりません。退職は月末が有利です。

Q6.雇用保険からの失業給付をもらえる条件は?

失業して仕事がみつからない期間にもらえる給付金が基本手当です。基本手当をもらうための条件は、1年以上の雇用保険の被保険者期間が必要です。ただし、途中で病気でしばらく休んだなど、休職期間がある場合は注意して確認してください。
解雇倒産などの場合は、6ヵ月の被保険者期間です。

Q7.雇用保険からの基本手当の金額、日数は?

退職する半年間にもらった毎月の賃金の合計を180で割ることによって、賃金日額を計算することができます。その金額の45%〜80%が基本手当日額です。(ただし、上限、下限はあります)
では、これを何日分もらえるか? それは年齢や雇用保険に加入していた期間によって異なります。また退職の理由によっても異なります。リストラや会社都合で退職した場合の給付は、自己都合で退職したときよりも多くなっています。
離職票の「離職理由」は、本人が確認して印鑑を押すようになっています。必ず確認してください。
退職前6か月間の給与が多いほど、雇用保険からの給付も多くなるということです。(上限まで)
退職前に欠勤したり、あるいは、退職前1ヵ月は年次有給休暇を使用し、時間外手当がない、通勤手当がないという場合は、基本手当日額も少なくなります。

Q8.退職金に税金はかかりますか

退職金に関する課税は、「退職所得」として、他の所得とは別に計算されます。
勤続年数が20年までは1年につき40万円が非課税(最低80万円)、20年を超える部分については1年につき70万円が非課税となっています。つまり20年間勤めた場合は800万円まで、21年なら870万円までの退職金なら、課税の対象にならないということです。(1年未満の端数は1年として計算します)

Q9.退職した年度の所得税はどうなりますか

退職し、その後その年の12月末までに再就職しなかった場合は、確定申告で所得税がもどってくる場合があります。雇用保険からの給付は非課税ですので、所得税には関係ありません。辞めた会社から源泉徴収票をもらい、確定申告しましょう。ただし、扶養家族が減るなど変更があった場合は、必ずしも税金がもどってくるとは限りません。

Q10.退職後の住民税に減免制度はありますか。

退職のみを理由とした住民税の減免できないと考えてください。
ただし、住民税は、「地方税法」という法律をもとに、各市町村が定める条例(「市税条例」など)で具体的に定められています。市町村によっては、いろいろな減免制度を定めている場合があります。病気療養による失業などの場合は減免を認めている市町村もあります。お住まいの市町村で調べてください。
退職後の住民税の支払いは、毎月ではなく、4半期に一度です。3ヵ月分をまとめて納付することになりますので、在職時よりも負担感が増します。退職後の生活費として、住民税の支払いも予定しておきましょう。

Q11.現在厚生年金に加入していますが、退職後はどうなりますか。

国民年金に加入しなければなりません。市町村役場の国民年金課で手続きしてください。いろいろな事情で国民年金の保険料を納めることが困難な場合は、免除制度もありますので、国民年金課で相談しましょう。 国民年金の免除規準は前年の所得ですが、失業の場合は、本人の所得についてはないもの(ゼロ)として免除を判定します。




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