年金トピックス 2008   
ここでは報道された年金関連記事などの情報を提供します。

  年金国庫負担増、来年4月実施=財源は「埋蔵金」で−政府・与党方針  2008/12/19

 政府・与党は10日、来年4月から基礎年金の国庫負担割合を、現行の三分の一から2分の1に引き上げ、財源には「埋蔵金」と呼ばれる財政投融資特別会計の金利変動準備金を充てる方針を固めた。引き上げに必要な2.3兆〜2.5兆円を2009年度予算案に計上する。法律では引き上げの前提として「安定財源の確保」を定めているが、消費増税のめどが付かないまま「埋蔵金」流用で見切り発車する。 

  豪州との社会保障協定、来年1月1日から発効  2008/12/3

 日豪両政府は3日、駐在員の社会保険料の二重払い問題などを解消するための社会保障協定の公文を交換した。発効は来年1月から。これにより、派遣期間が5年以内の一時派遣被保険者は、原則として派遣元国の年金制度にのみ加入し、両国での保険期間を通算してそれぞれの国で年金受給権を確立できることとなる。今回の発効は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカなどに続き8件目。

  在職老齢年金 社保庁が余分に減額 厚労省と連携悪く  2008/9/10

 07年4月にスタートした70歳以上で働いている人の厚生年金をカットする制度(在職老齢年金)をめぐり、厚生労働省は10日、社会保険庁が制度の趣旨を十分理解していなかったため運用を誤り、1年半にわたって約500人に対し、約5000万円を余分に減額していたと明らかにした。
 同制度をめぐっては先月、約12億円の支給漏れが発覚したが、今回の給付漏れは単純な誤りとは異なり、年金記録漏れ問題の元凶でもある組織の連携不足が原因だけに深刻だ。
 在職老齢年金は、60〜69歳と70歳以上で仕組みが異なる。60〜69歳は保険料を納付でき、その分将来の年金が増えることから、年金の減額は「退職日の翌日の月まで」続く。
 これに対し、07年度に施行された70歳以上の制度は保険料を納付できず年金に反映されないため、減額は「退職日の当日の月まで」と60〜69歳よりゆるやかに設定されている。
 ところが、あえて違う基準を設けた厚労省の意図が社保庁には伝わっておらず、新設の70歳以上の制度も既存の60〜69歳の制度と同じと勘違いしていた。例えば8月31日に退職した場合、本来は8月でカットが終わるはずなのに、9月分まで減らされていた。

  年金改ざんで社保庁、2500万人に記録通知へ  2008/9/9

 厚生年金の記録改ざん問題で、社会保険庁は、約2500万人の受給者に対して、標準報酬月額などの記録を来年中に郵送で通知する。
 関連情報をインターネットで確認できる仕組みも、今年度中にスタートする予定。社保庁職員の記録改ざんへの関与が判明したため、受給者に改めてチェックを呼びかけることにした。
 記録が改ざんされていると、老後の年金が本来の額よりも少なくなることがある。このため、保険料算定の基準となる標準報酬月額や、加入時期などの記録に間違いが見つかった場合は、社会保険事務所側の処理や事業主の対応について、社保庁が調査を行う。
 標準報酬月額の記録は、来年度から現役加入者に送付される「ねんきん定期便」にも記載されることになっている。
 社保庁ではこのほか、オンライン上のすべての厚生年金記録のうち、標準報酬月額が不自然に引き下げられている記録や、制度から脱退した時期がさかのぼって訂正されている記録などを抽出し、該当者に通知して確認を促す方針も決めている。

  国民年金保険料の実質納付率、過去最低の47.3% 19年度  2008/8/19

 社会保険庁は19日、国民年金保険料の納付率について、所得が低いなどの理由で全額免除や猶予された人も含めて算出した実質納付率が、平成19年度は前年度比1・7ポイント減の47・3%となったことを、民主党の厚生労働・総務部門会議に報告した。
実質納付率はデータが残っている13年度以降、毎年減り続けており、19年度も過去最低を更新したことになった。

  無年金 入力ミスで13年 73歳、記録見つけ受給資格  2008/7/22

厚生年金保険料の納付期間がひと月だけ足りないとされ、無年金だった東京都内の男性が今月、漏れていた記録を見つけ受給資格を回復した。69年に勤めた会社の記録に、誤った名前の読みが入力され放置されていた。社会保険庁は13年前にさかのぼり、月額7万5000円を支給する。ずさんな記録管理による「宙に浮いた年金」問題で、最も深刻な「無年金とされている人」の記録が訂正され、受給資格を取り戻したのが明らかになるのは初めて。

  基礎年金の国庫負担引き上げ 先送りか  2008/7/17

厚生労働省は17日、8月の来年度予算の概算要求で、基礎年金の国庫負担(現在約37%)を09年度に50%へ引き上げるのに必要な約2.3兆円について、引き上げ時期を09年4月から先送りすることも視野に、全額でなく、4000億円分の要求にとどめる検討を始めた。財源には1%増で約2.5兆円の税収増を見込める消費税をあてることを想定していたが、福田康夫首相が消費税増税について「2〜3年とか長い単位で」などと発言し、財源確保のメドが立たなくなっているためだ。
 ただ、09年度の引き上げは年金改革関連法に明記されており、完全な見送りは難しい。与党内では財源として、赤字国債発行のほか、「10年1月」など国庫負担割合の引き上げ時期を、年度途中に先送りする案も出ている

  年金財政 国民年金2年ぶり赤字 時価ベース279億円 2008/6/23

 厚生労働省は23日、厚生、国民両年金の06年度の財政状況をまとめた。05年度に時価ベースで黒字に転じた国民年金は2年ぶりに赤字に転落した。株価の好調で市場運用益が大幅に増えた05年度の反動。収支は106.9%減となり、赤字幅は279億円となった。簿価ベースでは5年連続の赤字(1194億円)だった。
 厚生年金の時価ベース収支は前年度より66.2%減ったものの、2兆8103億円の黒字を維持した。簿価上も1兆1021億円の黒字。ただ、時価の運用利回りは、05年度の6.82%から3.10%にほぼ半減。運用収入は70.9%減の2兆4536億円に落ち込んだ。04年度の制度改正で始まった積立金の取り崩しも引き続き行われ、3兆4167億円を計上した。

  低所得者の保険料免除拡充を=国民会議が中間報告骨子 2008/6/12

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大大学院教授)は12日の会合で、負担と給付の在り方などに関する中間報告の骨子を取りまとめた。国民年金の未納問題について「現行制度の最大の問題」とした上、その対策として低所得者に対する保険料免除制度を積極的に活用すべきだと指摘。同制度を、最低保障額を税金で賄う「事実上の税方式」と位置付け、徹底・拡充を提言した。中間報告は19日にも了承される。
 骨子は、公的年金を「高齢期の所得保障の柱」とし、「継続的な未納者は将来無年金者となる可能性がある。未納の増加は年金制度の機能不全というべきもの」と言及。未納解消に「全力を尽くすことが必要」と強調した。
 その上で、納付率を向上させる具体策として、低所得者への免除制度のほか、(1)パート労働者の厚生年金適用拡大(2)確信的不払い者(中高額所得者)に対する徹底した強制徴収−の措置を講じるよう求めた。

  ねんきん特別便 65万人に届かず 転居先不明などで 2008/5/26

 社会保険庁は26日、年金記録漏れがある可能性が高い人に今年3月末までに送った「ねんきん特別便」について、住所不明などの理由で届かなかったのが4月28日現在で全体の約6%、65万人分に上ることを明らかにした。
 社保庁は昨年12月〜今年3月に約1030万人に特別便を送付。うち、受給者約1万人分、現役約64万人分が届いていないという。
加入者・受給者の転居により、社保庁が把握する住所情報が古くなっていることや、結婚による姓の変更などが原因とみられる。

  年金改革、税方式なら「消費税9・5〜18%」…政府試算 2008/5/19

政府の社会保障国民会議は19日の所得確保・保障分科会で、読売新聞社、自民党の議員連盟「年金制度を抜本的に考える会」、日本経済新聞社などが提案した年金改革案に基づき、それぞれの案に必要となる消費税率などを計算した財政試算を発表した。
 その結果、2009年度に改革を行う場合、日本経済新聞社などが提案した基礎年金を税でまかなう「全額税方式」を導入すると、現行5%の消費税率に4・5〜13%(1%を2・8兆円で換算)の上乗せが必要となることが分かった。これに対して、税と保険料でまかなう現行の「社会保険方式」を修正した読売案では2%の消費税率上乗せにとどまった。
 政府が「全額税方式」の将来試算を行ったのは初めてで、試算にあたり、自民党の議員連盟や日経新聞などにより提案されている案を踏まえ〈1〉全員に基礎年金の満額(月6・6万円)を一律給付〈2〉過去の保険料未納分に応じて基礎年金を減額〈3〉全員に満額給付し、過去の保険料納付者に加算−−の3類型に分けた。

  年金記録訂正で『減額』でも受給額減らさぬ方針へ 2008/5/8

社会保険庁は、年金記録の訂正にて本人のものと特定できる年金記録が新たに判明し、かえって『減額』となるような場合には、これを減額訂正しないとの方針を固めた。
2008年5月から全国一律『減額修正なし』との扱いをする。
「わざわざ年金記録の確認に出向いたのに減額になるのは合理性に欠く」との批判等もあり、2008年5月からは本人の年金記録が見つかった場合に減額修正を行なわないということになった。
「年金記録どおりの給付」という法律どおりの運用ではなく、減額訂正の場合には黙認(年金記録を修正なしとして扱う)するということである。

  「年金保険料、あなたは払い過ぎ」 社保庁が通知検討 2008/5/2

 年金を満額受け取るのに必要な期間を超えて保険料を払った人について、社会保険庁は対象者に通知する方向で検討に入った。ただ、現在のシステムでは過払いの人を特定するのは困難で、システム改善に1年ほどかかるという。
5月から本人の申し出を受けて過払い分を返還し始めたが、「保険料を余分に取りすぎておきながら、申し出た人にしか返さないのはおかしい」という批判もあり、対応を改めることにした。
 年金を納めるのは原則として60歳まで。受け取る年金額を増やしたい人は、65歳まで「任意加入」して保険料を払うことができる。ただ、原則として40年分で年金額は満額になり、それ以上払っても年金額は増えない。05年4月の制度改正で過払いは起きなくなったが、それまでの過払いに気付いていない人は相当数いると見られる。
 任意加入した人で、過払いの有無を確認するには、5月末までに年金受給者全員に届く「ねんきん特別便」で可能だ。加入歴の下にある「国民年金」の欄に、「納付済月数」にある数字を確認する。1941年4月2日以降に生まれた人は、40年間に相当する「480」を上回った分が過払いだ。それ以前に生まれた人は、生まれが早い人ほど少なくなる。

  記録訂正後の年金見込み額、本人に通知・社保庁 2008/4/25

社会保険庁は5月1日から本人のものと特定される年金記録が新たに判明した場合に、記録訂正をした後の年金見込み額を本人に文書で通知する。年金受給者への情報伝達を強化する狙い。舛添要一厚生労働相が25日午前の閣議後の記者会見で表明した。
 年金の記録漏れを注意喚起する「ねんきん特別便」を受け取った人が全国の社会保険事務所で記録訂正手続きをとった際に、年金額がいくら増減するのかを文書で示す。また年金加入期間が25年に満たなかった人が年金受給権を得ることになった場合も年金見込み額を文書で通知する。
 文書には社保事務所の名称や担当者名、連絡先を載せて押印することで責任を明確にする。社保庁はこれまで訂正がどれくらいあるかを把握してこなかったが、社保事務所で処理したデータを集計することで、訂正した件数や金額の全体像を把握できる。

  国民年金保険料、パート天引き 未納対策で厚労省方針 2008/4/17

 国民年金の保険料未納問題で、厚生労働省は16日、パート労働者の保険料を事業主が給与から天引きで徴収し、低所得で免除となる人は本人からの申請がなくても社会保険庁が手続きできる仕組みを導入する方針を固めた。来年度中にも実施し、60%台の納付率を大幅に引き上げることを目指す。
04年成立の年金改革関連法で09年度以降、基礎年金の国庫負担率を2分の1に引き上げる。2.3兆円の財源が必要で、負担率引き上げの理解を得るには未納問題の改善が不可欠と判断した。近く開く厚労省の社会保障審議会年金部会で本格的な議論を始め、早期の法案提出を目指す。
新たな仕組みは、厚生年金の適用外となっている非正規労働者(週労働時間30時間未満)らについて、企業が保険料徴収の代行責任を負うようにする。企業が国税庁の代わりに所得税を源泉徴収するのと同様の仕組み。

  国民年金保険料、過払い分を返還 2008/4/16

 厚生労働省は16日、国民年金(基礎年金)の保険料を、給付額が満額となる40年間を超えて納め続けた人について、本人からの申し出があれば過払い分を全額を返還すると発表した。
 同省は従来、過払い分の返還は法律上困難としてきたが、運用の見直しで返還可能との立場に方針転換したものだ。16日付けで月内には全国の社会保険事務局に全額返還に応じる体制を整えるよう、年金局長名で通達を出した。
 返還の対象は60歳以上65歳未満を対象とした国民年金の任意加入制度に加入していた人の中で過払いがあった人だ。2006年度末で約27万人が任意加入している。厚労省によると対象者は127万人程度と見られるが、実際に過払いした人の数は分かっておらず、同省では今後、実態把握を進める方針だ。

  年金問題 時効停止に基づく国庫負担、すでに213億円 2008/4/8

 社会保険庁は8日の参院厚生労働委員会で、昨年7月に施行された年金時効停止特別措置法に基づき、国庫負担で支給された年金(一部は今後支給)が08年3月末時点で計2万8334件、213億1388万円にのぼることを明らかにした。政府は法施行時点の所要見込み額を60億円と推計していたが、すでに3.5倍に達した。
 同法は社保庁のミスで記録が漏れたのに、5年の時効で受け取れない年金がある人に時効を適用せず、税金で全額支給する内容。最高支給額は96歳の男性に対する2823万円(365カ月分)で、1000万円以上を受給した人は、昨年末時点で81人いる。
 厚労委でこの問題を取り上げた民主党の蓮舫氏は、99歳で1655万円、97歳で1487万円を受け取った人がいることや、最高齢は101歳の人である

  国民年金保険料の過払い問題・・・返還へむけて検討 2008/4/7

舛添要一厚生労働相は7日の参院予算委員会で、国民年金に60歳以降任意で加入し、年金を満額受け取れる権利を得た後も保険料を無駄に支払ってしまった人の過払い保険料について、「本人に戻すべきもの。運用によって何かできないか検討させている」と述べ、返還したい意向を明らかにした。松野信夫議員(民主)の質問に答えた。
 国民年金保険料の未納があった人は、任意加入制度を利用すれば60歳以降も保険料を納め、年金受給額を増やすことができる。しかし、2004年度までは、受給額が満額に達した場合に保険料の納付を停止する仕組みがなかったため、本人が気付かずに保険料を無駄に納める過払いが起きていた。 

  「ねんきん特別便」発送開始…150万通、緑の封筒で 2008/4/2

社会保険庁は2日午前、すべての年金受給者と現役加入者の計約9500万人に対し、加入記録の確認を求める「ねんきん特別便」(通称・全員便)の第一弾として、約150万通の発送を始めた。
 3月末までに発送された特別便は、名寄せ作業の結果、記録漏れの可能性が高い約1030万人が対象。全員便は名寄せでは記録の不備は見つからなかったものの、旧姓の記録が抜けているなどの記録漏れの可能性はあるため、同様に確認が必要となる。
 これまでは青い封筒だったが、今回は緑の封筒で届く。訂正がない場合でも、同封の「年金加入記録回答票」に氏名、電話番号や旧姓を記入して送り返す。

  年金保険料 窓口での現金納付全廃へ 2008/3/28

 社会保険庁は28日、年金保険料などの現金を社会保険事務所の窓口で受け取ることを5月から段階的に取りやめ、09年10月以降全廃することを決めた。職員による着服が「消えた年金」の一因となったことを受け、再発防止の狙いがある。
 まず5月以降、2カ月間の納付期限内の保険料について現金による領収を全廃。10月からは、納付場所を社保事務所窓口に指定したもの以外受け付けない。さらに09年10月以降は、強制徴収を除く保険料すべてが現金納付できなくなる。

  領収書ない記録訂正の基準決定 社保事務所受け付け 2008/3/28

 総務省の年金記録確認第三者委員会は27日、4月以降の審査迅速化のため、国民年金に関する申し立てのうち、保険料領収書など公的証拠がなくても社会保険事務所で受け付けた段階で記録訂正するための具体的基準を決めた。
 社保事務所で扱うのは▽確定申告書の控えや家計簿、保険料の口座振替記録が残る通帳がある▽未納期間が短期間かつ配偶者が納付済みなどの納付を認める積極的な事情がある−といった第三者委が記録訂正を認めてきたケース。
 これまで社保庁は公的証拠がある場合だけしか社保事務所での訂正を認めてこなかったが、第三者委の決定を受け、4月からは審査が困難な申し立てのみ第三者委に送付する。

  ねんきん特別便、約2万通に内容ミス 2008/3/27

 社会保険庁は27日、年金記録の確認を促す「ねんきん特別便」について、これまでに送付した1030万通のうち、1万9827通の加入履歴欄に内容ミスがあったことを発表した。
印刷業者に渡した年金データが混同したことが原因。社保庁は印刷し直して28日に再発送する。ただ、郵便事情によって一部地域には月内に届かない可能性もあり、「3月末までにコンピューター照合該当者に特別便を送る」とした政府公約が達成できるか微妙な状況となった。
 間違った内容の特別便が送られたのは、宙に浮いた年金記録5000万件のコンピューター照合で記録漏れの可能性が高いとされた遺族年金受給者のうち19日発送分。亡くなった親族の年金加入履歴に他人の記録が混ざっていたケースが9909通、加入履歴が全く記載されず空欄となっていたのが9918通だった。受け取った人からの問い合わせでミスが発覚した。
 社保庁によると、19日発送分については、印刷業者に加入履歴を納めた3種類の磁気テープを渡した。ところが、別々に印刷するよう指示しなかったため、業者はテープごとに印刷しなければいけないところを、一括してコンピューターに取り込んで印刷したため、他人のデータが入り込んだり、空欄になったりした。社保庁はミスのチェックもしていなかった。 
社保庁は28日に、謝罪文を入れて、正しい特別便を再発送する。内容ミス分は返信用封筒で返送してもらう。再発送に伴う追加費用約500万円は税金でまかなわれる予定。

  「ねんきん特別便」最終分を送付、人数は計1030万人に 2008/3/21

社会保険庁は21日、該当者不明の約5000万件の年金記録のうち、コンピューター上の照合で持ち主のわかった約1172万件に対する「ねんきん特別便」の発送を終えた。
 4月からは、残る年金受給者と現役加入者約9500万人への、ねんきん特別便(通称・全員便)の送付を始める。 この日までに発送を終えた1172万件を人数で見ると、年金受給者約300万人、現役加入者約730万人の計1030万人となる。 社保庁によると、4日現在で送付済みの約356万人のうち、記録を訂正した人は1割未満の約33万人で、約83万人は自分の記録に「訂正なし」と回答した。しかし、実際には、社保庁が「訂正なし」の回答者のうち記録の持ち主が一人に絞り込めた人に電話や個別訪問で確認したところ、約8割に記録漏れがあったことが分かっている。

  脱退手当金で初認定 年金認定第三者委 2008/3/17

 年金記録訂正の是非を判断する総務省の年金記録確認第三者委員会は17日、退職時に厚生年金を脱退した人に保険料を払い戻す「脱退手当金」に関する2件の申し立てを認めた。第三者委が脱退手当金に関する記録訂正を認めたのは初めて。
 昭和16年生まれの女性のケースでは、社会保険庁の記録上は昭和44年の退職時に脱退手当金が支給されていたが、(1)被保険者証に支給を示す「脱」の表示がない(2)退職から2年2カ月後に脱退手当金を申請している−などを理由に、脱退手当金が女性に支払われていないと認定した。
 今月7日現在、第三者委が受け付けた厚生年金に関する申し立て1万1916件のうち、脱退手当金を受け取っていないとの申し立ては1570件。本人の勘違いのほか、社保庁の記録ミスや会社が代わりに受け取りながら支給していないことなどが原因とみられている。 第三者委は個別ケースで事情が異なるため、2月に専門部会を設置し審査を進めていた。

  年金相談を一部委託 社保庁、社労士会に  2008/3/

 社会保険庁は、後継組織の日本年金機構が2010年に発足するのに合わせ、年金相談センターの一部を各都道府県の社会保険労務士会に業務委託する方針を固めた。組織のスリム化とともに、社労士会と日本年金機構がセンターの運営を競い合うことで、窓口相談のサービス向上を狙う。
 年金相談センターは現在、社会保険事務所の窓口の混雑緩和のため、大都市部を中心に54か所設置されている。計約400人の社保庁職員が勤務し、年金相談や記録の照会、受給手続きの受け付けなどを行っている。日本年金機構では、業務委託の実施状況に問題がなければ、委託するセンター数を拡大し人員削減にもつなげたい考えだ。
 また、経験年数など一定要件を満たす社会保険労務士事務所を「街角の社会保険支援センター」として認定し、厚生年金の届け出などの電子申請の代行や年金相談をできるようにし、事業主らの利便性の向上を目指すことも検討している

  旧日本軍工場の「旧令共済」、年金記録確認の申し立て急増  2008/2/17

 戦時中に旧日本軍の工場などで働いていた際の「旧令共済」と言われる年金記録の確認を社会保険庁に求める申し立てが、2007年度上半期(4〜9月)で2000件を超え、06年度1年間の約10倍に急増したことが16日、分かった。
 昨年、年金記録漏れ問題が起きたことがきっかけになったと見られる。旧令共済は厚生年金の加入期間に通算できる制度もあるが、十分に周知されてこなかった実態も浮き彫りになった。
 旧令共済は、旧日本軍の陸海軍の工場や朝鮮総督府と台湾総督府の事務組織で働いていた人たちが加入していた共済組合による年金。終戦で共済組合は解散し、「国家公務員共済組合連合会」に組織は継承された。また、1969年には、旧令共済の加入期間を厚生年金に通算できる特例が設けられた。
 しかし、旧令共済の加入記録そのものが、同連合会に引き継がれておらず、厚生年金に通算するには、厚生労働省や外務省などが保管する戦時中の人事資料で当時の職歴を探す作業が必要だ。職種や勤務形態によっては加入期間として認められないケースもあることから、同連合会で職歴を審査し、年金の受給権を認定している。
 ただ、05年度は申立件数は306件に過ぎず、このうち職歴が見つかったのは127件。06年度は206件の申し立てで、106件の職歴が分かった。
 ところが、年金記録漏れが社会問題化した07年度上半期は、申し立てが2003件に上った。旧令共済の加入期間の確認手続きは、社会保険事務所に「履歴申立書」が提出されてから、手作業で古い名簿から本人の人事記録を見つける。このため、確認には数か月から1年程度かかるが、06年度並みの比率であれば、1000件前後の職歴が分かる可能性もある。
 ただ、旧令共済に関する記録は、社保庁が管理する記録でないため、ねんきん特別便の対象になっていない。本人が申請しない限り確認されることはない。 記録の持ち主の大半は80歳以上の高齢者であることから、年金相談に応じている社会保険労務士などから「制度を知らない高齢者がかなりの数に上り、広報が不十分だ」との指摘も出ている。
 このため、社保庁では、旧令共済に関する情報のさらなる周知徹底を求められることになりそうだ。

  未払い年金 一括支給で税取り過ぎ4万人 社保庁が放置   2008/2/6

 社会保険庁は6日、年金の未支給が見つかった人に過去の未支給分を一括払いする際、本来は年単位の支給額に基づいて、各年ごとに源泉徴収額を計算すべきなのに、66年の源泉徴収開始以来、ずっと一括支給額で源泉徴収していたと発表した。
仕組みの誤りに気づきながらも長年、放置していたという。03年4月以降に限っても、推計で最大約4万人は一括支給額で課税されていた。まとまった金額に課税されたために、大半の人は所得税を余分に払っていたとみられる。
 未支給の年金が見つかった人に対し、社保庁は「本来は支払い済みの金」という理由で、分割払いはせず、一括で支給している。
 社保庁は89年以降、各年ごとの源泉徴収額を再計算した「年別内訳書」を発行。受給者はそれに基づいて確定申告を行い、過払いの税金を取り戻せたが、課税額が高くなると気付いて要求してきた人にしか内訳書は発行していない。こうした仕組みがあることも受給者に告知しておらず、多くの人は一括支給額で課税されていたとみられる。
 社保庁は一括支給額への課税が間違いであると認識していたが、「税務署が適切な処理をしていると考えていた」「システム改修が必要」などの理由で放置していたという。 今年1月に国税庁から指摘され、ようやく方針を転換した。8月までにシステムを改修し、対象者に各年ごとの正しい源泉徴収票を発行する。07年分の確定申告では、申し出があれば年別内訳書を出し、払い過ぎた税金は年金額に上乗せして還付する。ただ、債権の効力(5年)から、02年以前の過払い分をどう扱うかは未定という。
 03年4月〜07年12月までの間、未支給が見つかった受給者は約20万人。このうち複数年にわたって未支給分の支払いを受けた人が2割いたことから、課税額に誤りがあった人は最大で4万人と推計している。しかし「影響を受ける人の数や金額は調査中」と言う。 政府は05年以降、65歳以上の人への課税を強化。50万円の老年者控除を廃止し、公的年金等控除を縮小した。このため05年以降に、それ以前の未支給分を一括支給された人は、税金を過払いしている可能性がより高い。

 ねんきん特別便「過去の勤務先名までヒント」  2008/1/25

 舛添要一厚生労働相は25日、本人に確認を求める「ねんきん特別便」について、加入履歴の見方を詳しく説明する見本の書式や、窓口相談対応の基準といった具体的な見直し策を発表した。 特別便に同封される見本はA4判の一枚紙。朱書きで「年金に結びつく可能性のある年金加入記録がみつかりました」と注意を喚起。加入履歴欄については、資格取得と喪失の年月日にずれがある場所を矢印で指摘し、「1年間の空白」といった具合に、記録漏れ個所の見つけ方を分かりやすく説明した。 特別便に記載された加入履歴の前後期間の記録漏れについても「加入歴はございませんでしょうか?」と注意を呼びかけた。見本は2月6日発送分から同封し、発送済みの約108万人は再発送する。社会保険庁によると、再発送経費は約1億8000万円となる見込み。 一方、特別便を受け取った人への窓口相談の対応では、厚生年金の場合、同姓同名や同じ生年月日の人がいないといった、本人特定に結びつく可能性が極めて高いケースについては、過去に勤めていた具体的な勤務先名までヒントとして示して確認を促す。 これ以外のケースは、勤務先の所在地や業種などを伝え、記憶を呼び起こしてもらう。新対応は週明けから実施する。 舛添氏は、見本について「国民の反応を見て、また修正しなければいけないのであれば、できるだけの努力はしたい」と述べ、今後再見直しがあり得るとの考えを示した。また、「特別便の返答がない人には、社保庁側から出向くことも考えている」とも述べた。

  平成20年度の年金額について  2008/1/25

1月25日、総務省より、平成19年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率が0.0%となった旨発表された。
平成20年度の年金額については、物価の伸びが0.0%であることから、新規裁定者、既裁定者いずれも据え置きとなる。
新規裁定者の年金額は、本来、賃金の伸びで改定することとされているが、賃金の伸びはマイナス0.4%で、物価の伸びよりも低いため、物価の伸びで改定することとなる。
なお、平成12年度から14年度のマイナス物価スライド(累積マイナス1.7%)を据え置いていることから、現在の年金額は、本来水準よりも1.7%高い水準の年金額(物価スライド特例水準の年金額)となっている。
このため、引き続き、物価スライド特例水準の年金額が支給されることになる(平成19年度の年金額を据え置き)。
平成16年改正で導入されたマクロ経済スライドによる調整については、物価スライド特例措置による物価下落率の累積分(1.7%)が解消された後に開始されることとされており、平成20年度においては行われない。

  年金確認「ヒント」OK、特別便相談の窓口対応見直し  2008/1/22

 社会保険庁は21日、ねんきん特別便の相談者の窓口対応で、事業所の業種や所在地、加入期間という年金記録の統合に役立つ3情報を相談者に伝えることを許可する方針を決め、全国の社会保険事務局に通達を発送した。 社保庁はこれまで、他人による「なりすまし」防止を重視し、記録に関する情報を窓口で教えることは一切禁止してきたが、「ほとんど手がかりがないのに、過去の記憶を呼び起こすことは困難だ」と批判を受け、抜本的に方針を見直した。 社保庁は昨年12月14日に、窓口で記録に関する情報を伝えることを一切禁止する窓口対応マニュアルを作成していたが、通達に合わせて、月内にも内容を抜本的に見直した改訂版のマニュアルを作成する。


  ねんきん特別便「わかりづらい」 見直しの動き  2008/1/20

誰のものか分からなくなった約5000万件の年金記録をめぐり、記録漏れ確認の切り札と期待された「ねんきん特別便」が発送約1カ月でつまずきが明らかになり、政府内には早くも書式をわかりやすくできるかなど抜本的な見直しを検討する動きが出ている。記録訂正の必要の有無を回答したのは3分の1、しかも、大半が記録漏れの疑いがあるにもかかわらず「訂正の必要なし」と回答したからだ。「特別便はわかりづらい」という懸念が現実となった格好だ。
 こうした事態に社保庁は、「訂正の必要はない」と回答した1000人のサンプル調査を急遽(きゅうきょ)実施。記録漏れの可能性がさらに強まった人には、再確認の電話を始めた。
 今月16日発送分からは、確認を促す赤字の注意書きが特別便の封筒にスタンプで押された。
 舛添要一厚生労働相は18日、「(再確認では)マニュアルを作り、『このころ大阪にいなかったか』『(勤務先は)機械関係の工場だったか』などと誘導して記録を埋める」とヒントを与える考えを示した。これは、社保庁が固執した、本人が申し出てきてはじめて記録訂正を行う「申請主義」の転換ともいえる。
 政府では、書式変更が可能かどうかも検討する構えだ。特別便の回答率の低さや、予想以上に「訂正の必要なし」の回答が多いのは、その読みづらさに起因するとの見方が強まっているのだ。
 「特別便」といっても、加入記録がずらりと並ぶだけ。どこに注目し、何をチェックすべきかといったヒントは一切示されていない。社保庁は「ヒントを与えると高齢の年金受給者は、他人の記録でも自分の記録と思い込む可能性もある」(幹部)とし、あえて、自分で思いだすことが必要な"不親切"な書式を採用した経緯がある。
 専門家からは「数十年前に転職を繰り返した場合など記憶を呼び起こすのは困難だ」などとし、確認作業は進まないとの指摘もあった。民主党は当初から「注意すべきポイントなどヒントを入れた書式に変更すべきだ」と主張しており、国会での論議は確実だ。
 特別便は先月17日から年金受給者73万1842人に送られたが、昨年12月に送付した約48万人のうち、回答したのは約16万人。14万人が「訂正の必要なし」だった。
 送付を終えたのは、社保庁が「大半が訂正を求めてくる」(幹部)とみていた分。記録漏れがあっても、見落としてしまい、「訂正なし」と答えたケースが多いとみられる。未回答者の多くは、どう判断すべきかわからず、放置しているとも考えられる。「特別便を送りさえすれば、国民の協力で5000万件は大きく解決する」(社保庁幹部)という見通しは甘かったようだ。


  年金記録漏れに気付かず回答か、「特別便」見直し論も  2008/1/19

 政府が年金の記録漏れの可能性が極めて高い約48万人に送付した、年金の加入履歴を記載した「ねんきん特別便」に対し、約2万人しか訂正を申し出ていないことに厚生労働省はショックを受けている。 回答した約16万人の約85%に当たる約14万人が「訂正がない」と答えており、政府が該当者不明の約5000万件の年金記録の統合作業の切り札として導入した特別便は今後、内容の大幅な見直しを迫られそうだ。 社会保険庁によると、昨年12月中に特別便を送付した約48万人の大半は、コンピューター上の名寄せにより、該当者不明の約5000万件の年金記録の中から「氏名」「生年月日」「性別」が一致する記録が見つかった人で、該当者不明だった記録の持ち主とみてほぼ間違いないという。


  国民年金と厚生年金、2011年から死亡届の提出不要に  2008/1/7

社会保険庁は2011年4月から、国民年金と厚生年金の受給者が死亡した時に死亡届を出さずに済むように制度を見直す。住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使い、年金受給者の状況を把握して届け出を省略できるようにする。
 現在は年金受給者が亡くなった場合、遺族が近くの社会保険事務所などに死亡届を出す必要があるが、届け出を忘れるケースも少なくない。住基ネットは国民1人1人に11ケタの番号を付与して氏名、住所、性別、生年月日の4情報をオンラインで管理しており、国民の99%が登録されている。

  基礎年金国庫負担、1356億円引き上げ・来年度、自公幹事長合意  2007/12/14

 自民党の伊吹文明幹事長と公明党の北側一雄幹事長らは13日、国会内で会談し、2009年度までに基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるのに伴う国庫負担額の積み増しについて、08年度は今年度の1170億円を上回る1356億円とすることで合意した。08年度の国庫負担の割合は37.3%になる。所得税・住民税の定率減税廃止分を充てる方針だ。
 基礎年金の国庫負担引き上げを巡っては、05年度から毎年一定額を積み増している。
 与党合意を受け、厚生労働省は来年の通常国会に年金制度改革法改正案を提出する。基礎年金の給付費のうち、1000分の8にあたる1356億円を引き上げる