年金トピックス 2009   
ここでは報道された年金関連記事などの情報を提供します。

  年金記録の照合は「70歳以上」を優先へ 2009/11/13

厚生労働省の「年金記録回復委員会」は、8億5,000万件に上る年金記録の照合作業に関して、70歳以上の人の記録を優先的に照合する 方針を決定した。記録の誤りが多いとされる年齢層から着手することにより、作業の効率化を図りたい考え。


  「宙に浮いた年金記録」問題 自治体に協力要請へ 2009/11/13

社会保険庁は、「宙に浮いた年金記録」の調査に関して、地方自治体に協力を要請する方針を示した。自治体が持つ国民健康保険や介護 保険の情報を基にして、電話や訪問などで確認を行う考え。同庁では、対象件数約8万件のうち最大6万件の回復を見込んでいる。


  年金記録の空白期間「2年以内」は救済へ 2009/11/12

厚生労働省の「年金記録回復委員会」は、社会保険庁に保険料の納付記録がない「消えた年金」について、国民年金の加入空白期間 が1年以内である場合や、2年以内で他に未納期間がない場合には、証拠なしでも原則として救済対象とする方針を明らかにした。年明け にも実施の予定。


  無年金者に年金記録確認の通知を送付へ 2009/11/12

社会保険庁は、63歳以上で年金を受給していない約50万人に対して、今年12月から年金加入期間の確認を促す通知を送付することを発表 した。約23%の人が、手続きを行えば年金を受給できる可能性があるとみられている。


  年金記録を別人と統合のミス約200件 2009/11/10

社会保険庁は、持ち主不明の年金記録(約5,000万件)についての統合作業の際、誤って約200件の記録を別人の記録と統合するミスが あったとの内部調査結果を発表した。記録の見間違いなどが原因とみられている。


  住民税の公的年金からの天引き制度がスタート 2009/10/15

地方自治体に納付する住民税の公的年金からの天引きが、10月15日から開始された。公的年金からの天引きは今年度か導入された制度 で、住民税の納付義務のある人に限定して適用される。対象者は公的年金受給者(約2,800万人)のうち約23%(約650万人)。


  年金改ざん「幹部の責任明らかに」=有識者委の文書、一転公開−社保庁 2009/10/1

 社会保険庁は1日、厚生年金の標準報酬月額改ざん問題で、歴代幹部の責任を明らかにするよう提言した「年金記録問題拡大作業委員会」(委員長・磯村元史函館大客員教授)による文書を公表した。舛添要一前厚生労働相は「会議資料」との認識から文書を公表していなかったが、長妻昭厚労相が公表を指示した。
 文書は、改ざん問題の背景として、現行の厚生年金保険法が零細企業も含めた全法人を適用対象としている点を指摘。改ざんについて「保険料の滞納の解消と事業所側の倒産回避との板挟みにあった現場職員による現実的選択だった、という面は否定できない」と分析した。
 さらに「現場職員を処分するならば、当時の幹部(退職者を含む)の責任を併せて明らかにする必要がある」とし、歴代幹部に対し「釈明ないし見解の提出を求め、社保庁が公表すべきだ」と提言した。 


  住宅手当、1日から受け付け=住居失った失業者対象 2009/9/30

 仕事とともに社宅などの住居を失った失業者に最長6カ月間、住宅手当を支給する「住宅手当緊急特別措置」の受け付けが1日から、一部を除く全国自治体の福祉事務所などで始まる。
 支給対象は2年以内に離職し、ハローワークに求職申し込みをしている人。2人以上の世帯の場合、預貯金が100万円以下であることなどが条件。生活保護の住宅扶助と同水準額を上限に支給する。東京都の2人以上世帯なら月6万9800円。同手当の申請者は、都道府県社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度で敷金や礼金といった入居費用などを無利子・低利子で借りられる。


  厚年基金代行部分の保険料率を据置きへ 2009/7/22

厚生労働省は、来年度以降における厚生年金基金の代行部分の保険料率について、現行のまま据え置くことを容認する方針を明らかにした。公的年金の予定利率引上げに伴い本来は料率引下げとなるが、財政難の基金が多いことから特例措置を導入する。

  年金国庫負担2分の1に 2009/6/20

基礎年金の国庫負担割合を、3分の1強から2分の1に引き上げる改正国民年金法が6月19日、成立した。少子高齢化が進むなか、公的年金の財政を持続可能にすることが目的。だが、2分の1引き上げに必要な年2.3兆円は、向こう2年間は「埋蔵金」頼み。消費税を念頭に置いた「安定財源」確保への道筋は、不透明なままだ。
 制度維持のため、国庫負担2分の1引き上げが法律に検討課題として明記されたのは、15年前の94年改正。
 04年改正では給付と負担のあり方を見直した。
(1)上限を固定したうえで、保険料の引き上げ(厚生年金は労使折半で料率18.3%、国民年金は月額1万6900円)
(2)モデル世帯における年金は、将来にわたり現役世代の手取り収入の50%を超える給付水準を確保――。こうした「約束」の財政的な裏付けとして「2分の1」が不可欠となった。
 04年改正で、引き上げ時期は「09年度までに」と明記された。その前提として、「安定財源を確保する税制抜本改革」が必要とされたが、歴代政権は安定財源の消費増税を避けてきたため、期限ぎりぎりで2分の1引き上げにこぎつけた。
 引き上げに必要な年2.3兆円は消費税1%相当。09年度と10年度は財政投融資特別会計の「埋蔵金」を流用し、その後は、消費税を含む税制の抜本改革で安定財源を確保することとなっている。

  年金加算法、利息軽減法が成立 2009/4/24

 社会保険庁の記録漏れで年金が未払いになっていた人に対し、遅延加算金を上乗せして支給する年金加算金法案が24日午前、参院本会議で可決、成立した。企業が厚生年金などの社会保険料を延滞した際の利息を軽減する与党の利息軽減法案も成立した。
 加算金法案は民主、社民、国民新の野党3党が提出。過去5年を超える未払い期間を対象に物価上昇分を上乗せして支給する。対象となる年金受給者は初年度で260万人。加算分は平均で1万6000円となる。必要な財源は560億円の見通しで年金特別会計から支出する。施行は公布から1年以内だが、社保庁のシステム開発が必要なため、来春になる見通しだ。
 一方、利息軽減法案は厚生年金、健康保険料、雇用保険料などの延滞利息を現行の年14・6%から引き下げ、国税の延滞利息(今年は年4・5%)並みにする。景気悪化で資金繰りに苦しむ中小企業からの「利息が高すぎる」との訴えに配慮した。来年1月1日に施行される。

  <年金関連3法案>衆院で可決 2009/4/17

 年金関連3法案が17日、衆院本会議で可決され、参院に送付された。3法案のうち、基礎年金の国庫負担割合(現行3分の1)を2分の1に引き上げる国民年金法改正案は与党の賛成多数で可決。野党4党は反対した。野党が多数の参院では否決される可能性が高いが、与党側は衆院で再可決する構え。記録漏れが分かった年金に物価上昇分を上乗せする年金遅延加算法案(野党提出)と、滞納保険料の延滞料を引き下げる延滞金軽減法案(与党提出)は全会一致で可決された

  年金記録訂正 却下された申請の9割「直接的な証拠なし」 2009/4/13

 保険料を払った記録がなくなる「消えた年金」問題で、07年7月から08年12月までに厚生年金保険料の記録訂正を認められなかった9363件の9割以上は、給与明細や賃金台帳などの直接的な証拠がなかったことが分かった。13日に開かれた総務省年金記録確認第三者委員会の中央と地方50の各委員長の会合で報告された。直接的な証拠なしに厚生年金特例法によって認めたケースは1852件。第三者委は直接的な証拠なしでも幅広く救済することを目的に設置されたが、実際には認められにくい現状が浮かんだ。
 一方、年金第三者委は4月7日までに9万8431件の申し立てを受け付け、6万240件を処理。記録訂正を認めたケースが2万3053件(38.2%)で、認めなかったのは3万4495件(57.2%)だった。
 記録訂正が認められないケースが6割近いことについて、梶谷剛・中央第三者委員長は「各委員会は誠実に判断しているが、本人の思い違いなどもある」と述べた。

  ねんきん定期便 3日から発送 納付状況など確認を 2009/4/2

 公的年金の加入者に加入歴や年金見込み額をチェックしてもらうため、社会保険庁は3日から「ねんきん定期便」の発送を始める。宙に浮いた記録の持ち主を探すために全受給者・加入者に送られた「ねんきん特別便」より詳細な内容で、改ざんが問題となった厚生年金の標準報酬月額も記載される。
 定期便は毎年、加入者の誕生月に発送する。年金の合計加入期間や、厚生年金保険料の基準となる標準報酬月額や納付状況、国民年金の保険料納付状況、年金の見込み額などが3ページ以上にわたって記載されている。
 通常はA4サイズの水色の封筒が使われるが、年金記録が漏れたり、標準報酬月額が改ざんされたおそれがある場合は、オレンジ色の封筒で送られる。
 記録漏れのおそれのある人には、本人のものとみられる記録の加入・脱退日を記した注意喚起の文書を同封。改ざんが疑われる場合は、実際より引き下げられた可能性がある標準報酬月額を赤字で記した「お知らせ」を送る。
 初回の今年度は全加入者に過去の全記録を送付するが、来年度からは35、45、58歳の加入者以外には直近1年の記録を届ける。

  担当職員2000人増員 「宙に浮いた年金」なお3割未解明 2009/3/31

 政府は31日午前の年金記録問題関係閣僚会議で、4月以降の新たな記録問題への対応策を発表した。現在約8000人の社会保険庁の担当職員を2000人以上増員し、後継組織の「日本年金機構」が発足する来年1月までに一定の確認作業を完了させるほか、総務省の年金記録確認第三者委員会で平成20年度に年金受給者から受け付けた申し立てを21年度中に審査を終えることなどが柱になっている。
 麻生太郎首相は関係閣僚会議で「記録確認を終えても年金支払いに時間がかかっている問題などは年金機構がスタートするまでにぜひ決着をつけておきたい」と述べ、高齢者への対応を優先させるよう指示した。
 一方、社保庁は基礎年金番号に未統合の「宙に浮いた年金記録」約5000万件について、現時点での解明状況も報告。持ち主が判明するなど一定の解明が済んだ記録が2626万件と、初めて全体の半数を超えた。ただ、3分の1にあたる1695万件は未解明のままで、問題の全面解決には時間がかかりそうな状況だ。

  学生無年金訴訟で元学生10人の敗訴が確定 2009/3/17

成人学生の国民年金加入が任意だった時期に加入しないまま障害を負ったため、障害基礎年金を受け取れない大阪、兵庫、奈良の3府県の元学生10人が、国に不支給処分取り消しなどを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は17日、元学生の上告を棄却した。原告敗訴の1、2審判決が確定した。
 学生無年金訴訟は全国9地裁で起こされたが、今回の判決で一連の訴訟は終結した。
 平成3年の制度改正まで、20歳以上の学生だけを強制加入とせず、救済措置をとらなかったことについて同小法廷は、これまでの無年金訴訟での合憲判断を踏襲、「憲法違反でないことは明らか」と判断した。

  現役の50%台、何とか維持=今後100年間の年金給付水準−社保審部会 2009/2/23

社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)年金部会は23日、5年に1度実施する公的年金の財政検証の結果をまとめた。現役世代の平均手取り収入に対する厚生年金の給付水準(所得代替率)について、今後おおよそ100年にわたり、政府が最低限保証するとしている50%台を何とか維持できると試算した。
 検証では、将来の公的年金に関する財政状況の見通しを経済成長率、出生率などの組み合わせから9パターン作成。このうち、合計特殊出生率1.26、賃金上昇率2.5%、年金積立金の運用利回り4.1%とする最も可能性の高い「基本ケース」で、給付水準が政府の約束する下限の50%を辛うじて上回る50.1%を確保できるとの試算を示した。 

  年金は2020年代に破綻、国庫負担率引き上げなければ 2009/2/19

厚生労働省は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げが実現しなければ、2020年代に年金積立金が枯渇して基礎年金が給付できなくなるとする試算をまとめた。
 試算には現在の世界的な金融危機の影響を織り込んだため、年金財政の破綻(はたん)が20年程度、早まった。こうした内容を盛り込んだ公的年金の財政検証を月内にも公表するとともに、今国会に提出している国庫負担割合を引き上げる国民年金法改正案の早期成立を目指す方針だ。
 試算ではまた、3分の1から2分の1への引き上げが実現すれば、夫が平均収入の会社員、妻が専業主婦というモデル世帯の給付水準(所得代替率)が将来にわたり、現役世代の平均収入の50%台を維持できるとした。04年の年金改革の際、政府・与党は「50%」以上の水準確保を約束している。ただ、2055年の合計特殊出生率は1・26、年金積立金の運用利回りは名目で4・1%を試算の前提としており、楽観的という指摘もある。

  イタリアとの社会保障協定に署名、社会保険料の二重払い問題解決へ 2009/2/6
日本政府は6日、イタリアとの社会保障協定に署名した。相手国に一時的に派遣される企業駐在員など被用者に課される社会保険料の「二重払い」問題の解決等が目的。これにより、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者は、原則として派遣元国の年金制度および雇用保険制度にのみ加入することとなる。 


  09年度年金額引き上げせず 厚労省発表 2009/1/30

厚生労働省は30日、09年度の公的年金額を08年度と同額に据え置くと発表した。基礎年金は満額で月額6万6008円、厚生年金の夫婦のモデル世帯(夫が40年加入、妻が専業主婦)で同23万2592円。名目手取り賃金の上昇などに伴い、本来なら09年度の年金額は0.9%引き上げのはずだった。だが、物価が下落傾向にあった00〜02年度の3年間で年金額を累積で1.7%引き下げる必要があったのに、与党の政治判断で据え置きとなった。この分を少しでも解消するため、09年度の値上げを見送った。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/nenkin01/21.html

  <遺族年金>「近親婚の妻へ」認める 東京地裁判決 2009/1/30

内縁の夫だった叔父の死去を巡り、兵庫県明石市のめいの女性(69)が「近親婚は民法で禁じられている」として遺族厚生年金を不支給とした社会保険庁の処分取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は30日、支給を命じる判決を言い渡した。杉原則彦裁判長は「支給を受けられる配偶者に当たる」と述べた。
 民法は3親等以内での婚姻を禁じるが、同種裁判で最高裁が07年3月「3親等の傍系血族(おじとめい、おばとおい)間の近親婚の場合、特段の事情があれば受給権が認められる」と判断。今回は「特段の事情」があるかどうかが争われた。
 判決は「内縁関係は親せきや地域に抵抗なく認められ、38年にわたり円満な夫婦生活を継続し、反倫理性は低い」と指摘して「特段の事情」があると認めた。

  基礎年金:国庫負担1/2案を提示 厚労省が与党に 30日に閣議決定 2009/1/27

 厚生労働省は27日午前、基礎年金の国庫負担割合を09年度から2分の1に引き上げるための国民年金法などの改正案を与党に示し了承された。所要財源約2・3兆円を09、10年度は「埋蔵金」の財政投融資特別会計の金利変動準備金でまかない、11年度以降は消費税増税を想定した「税制の抜本的改革」で充当することが骨格。ただ、早期の増税が困難視されていることを踏まえ、11年度からの税率アップが不可能な場合は「臨時の法制・財政措置」により2分の1を維持する内容となっている。
 30日に閣議決定し、今国会に提出する。
 基礎年金は09年度から国庫負担割合(現在約37%)を2分の1に固定することを前提に設計されている。このため法案には、11年度から「安定財源」と見込む消費税の増税分を充てられない事態に備え、他の財源を使ってでも2分の1を維持することを明示した。埋蔵金のさらなる流用や、一時的に借金でしのぐ「つなぎ国債」の発行を想定しているが、安定財源にはほど遠いのが現状だ。
 国庫負担が2分の1になると、国民年金保険料を全額免除されている人の年金額は、今の約2万2000円(月額)から約3万3000円(同)にアップする。このほか、法案の付則には基礎年金の「最低保障機能強化」を検討することを盛り込んでいる。

  オランダとの社会保障協定、今年3月1日から発効 2009/1/13

日本とオランダ両政府は12月19日、社会保障協定の公文を交換した。これは、駐在員の社会保険料の二重払い問題などを解消するためのもので、 発効は今年3月1日から。これにより、派遣期間が5年以内の一時派遣被保険者は、原則として派遣元国の年金制度にのみ加入し、保険期間を通算して年金受給権を確立できることとなる。今回の発効は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカなどに続き9件目。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1219-2.html

  国民年金保険料 強制徴収 所得200万円台も 2009/1/7

社会保険庁が国民年金保険料の未納者に財産差し押さえを含む「強制徴収」を実施する際、対象者の選定基準を年間課税所得200万円以上と通知で定めていることがわかった。社保庁は従来、高所得の未納者に限って強制徴収する方針を示してきたが、この基準では、月収20万円前後の人まで差し押さえが広がる恐れがある。
昨年4月、同庁は国民年金事業室長補佐名で強制徴収手続きに入る基準を全国の社会保険事務局に通知した。通知では、対象者を選ぶ基準として「対象者または配偶者もしくは世帯主のいずれかの所得金額(控除後)が、おおむね200万円以上」と明示。それぞれが200万円以下でも、「合計額が200万円以上である時は選定しても差し支えない」と記していた。
 社保庁によると、この基準を明記した通知は06年度から毎年繰り返し出している。通知にある「所得金額」は住民税の課税所得を指し、前年の収入から必要経費などを引いて総所得を算出したうえで、配偶者控除など各種の所得控除を差し引いてはじき出す。
 社保庁はこれまで、未納者を「高・中・低所得」に分け、低所得者には「申請免除の周知」、中間所得者には「強制徴収を前提とした督励」を基本姿勢とし、高所得者だけを対象に強制徴収の早期着手を実施する方針を示してきた。だが、課税所得200万円という基準では、単身者で控除前の年間所得200万円台、夫婦と子供2人の4人世帯では同300万円台でも対象となる可能性がある。